熊本地震3カ月:自宅再建めどなし7割 4割なお避難生活
(毎日新聞2016年7月13日 07時45分) 続きを読む 熊本地震3カ月:自宅再建めどなし7割 4割なお避難生活
熊本地震3カ月:自宅再建めどなし7割 4割なお避難生活
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避難所は、災害で家を失ったり一時的に住むことができなくなった被災者を収容・保護し、避難生活を支えるためのものですが、現実には衛生、栄養、プライバシー、育児、介護などの生活にかかわる諸課題が十分手当されないことにより、複合的な環境悪化が被災者を追いつめる傾向にあります。

熊本の被災地のとある避難所の様子
こうしたさまざまな問題を踏まえて平成 25 年6月、「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」も策定されました。
さらに平成28年4月に新たに「避難所運営ガイドライン」が発表されましたが、これは「福祉避難所の確保・運営ガイドライン」、「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」とセットで作成されています。全て内閣府防災担当「避難所の生活環境対策」のページよりダウンロード可能なので詳しくはこちらをご覧ください。
この「避難所運営ガイドライン」のポイントを下記に示しましたが、全体を通しての特徴もいくつかあります。
今回のガイドラインは、避難所の質を着実に確保できるようにするため、WBS(Work Breakdown Structure:作業分解構成図)という形で、必要な対策を実現させていくための手順が細かく示されている点や、縦割り行政を超えて、横断的に連携しながら避難所の開設・運営を支えていくための体制も示されている点(p7)です。国際的な人道支援の基準についても紹介されており、個別の対策にもその内容が反映されています。「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」には、国際的な諸基準をもとに、適切なトイレ配置のための計算シートも作成されました。
ちなみに当センター共同代表の浅野も、このガイドラインの作成に委員として関わらせていただきましたが、女性の避難所運営への参画・リーダーシップの促進がかなりしっかり書き込まれたことと、(災害対策基本法でいうところの要配慮者とは別に)女性と子どもも配慮対象としても示されました。すばらしい委員のみなさま方のご理解のもとで、この両方が同時に実現したことに意義を感じています。
熊本地震のとある避難所に設置された子どもの遊び場スペース
なお、災害時にはイレギュラーなことがさまざまに発生します。
例えば、熊本地震では余震が続く中、避難施設が足りずに車中避難を余儀なくされる人たちがたくさん出ました。民間支援でテント村が作られたり、トレーラーハウスを活用した障害者や妊婦用の避難施設が設置されたところもありますが、今後もさまざまな避難形態が出現することを前提に、柔軟な支援体制を取ることができるようにする必要があります。
いずれにしても、実際の災害時でも機能する避難所目指すならば、マニュアルを作成するだけでなく、運営に携わるだろう関係者に内容が事前にマニュアルの内容が認識され、一定の学習・訓練が行われていることが重要です。行政内の横断連携による避難所の支援体制づくり、行政職員および施設関係者への研修、地域住民の参加促進と学習・訓練の機会づくり、専門職やボランティア等との連携などが求められています。
「避難所運営ガイドライン」抜粋
Ⅰ 運営体制の確立(平時)
1.避難所運営体制の確立
行政による避難所支援の話し合いには、必要に応じてNPO・ボランティア等の参画を呼び掛ける、各避難所に避難者の代表・施設管理者・避難所派遣職員等からなる避難所運営委員会(仮称)を設置して運営体制を確立する、その際、女性がリーダーシップを発揮しやすい体制を作る、必要に応じてNPO・ボランティア等の代表の参画の呼びかけをするなど。2.避難所の指定
福祉避難所/スペース(一般の避難所の中に設ける要配慮者用の空間)を確保する、母子(妊産婦・乳幼児専用)避難所/スペースを確保する、避難所には障害者・外国人向けの案内掲示等を確保するなど。3.初動の具体的な事前想定
避難所マニュアルを作成する際に、地域住民代表・要配慮者等の多様な意見を取り入れ作成する、避難所の運営において女性の能力や意見を生かせる場を確保する、トイレの設置・運用訓練・使用ルール決めをする、手洗い用水を確保するなど。4.受援体制の確立
外部からの支援を受け入れやすくするために、平時から行政職員、ボランティア・NPO、保健・福祉関係者、医療従事者、警察などと住民が連携しあう形で備える。その際、女性の視点を取り入れることでより具体的な意見の反映が期待できる。5.帰宅困難者・在宅避難者
在宅避難者の安否確認方法・対応方針を検討する、在宅避難者のニーズ把握・生活支援方法を具体的に確立するなど。Ⅱ避難所の運営(発災後)
9.トイレの確保・管理
「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」を参考に計画を作成する、被災者の数に対して適切なトイレの数を確保する(国際基準も参考にした計算シート付き)、トイレの設置に際しては女性や要配慮者に意見を求める、高齢者・障害者用トイレの同線の安全性を確保する、防犯対策としてトイレの中と外に照明を確保し、鍵・防犯ブザーを設置する、手すりの設置・段差の解消をする、子ども用のトイレ(便座)を確保する、感染症患者が出た時の専用トイレを確保する、装具交換やおむつ交換のたえの折り畳み台を設置する、人工肛門・膀胱保有者のための装具交換設備とスペースの設置を検討する、など。11.避難者の健康管理
「避難生活を過ごす方々の健康管理に関するガイドライン」(厚生労働省)を踏まえ、健康管理体制の確立、感染症対策、その他の病気(食中毒・生活不活発病・持病の悪化・エコノミークラス症候群・熱中症など)の対策、暑さ・寒さ対策を行うなど。12.寝床の改善
健康維持にとって重要なため、寝床を整備できるよう資材を確保すること(寝具・間仕切り等の調達)、段ボールベット等簡易ベッドの設置を検討することなど。Ⅲニーズへの対応
15.配慮が必要な方への対応
高齢者・障害者・妊産婦・乳幼児・難病・外国人等の要配慮者の支援のため、避難環境についての当事者からの聞き取り、段差の解消等の環境整備、避難者同士の見守り体制の確保、福祉避難所への移動の方法、在宅避難している要配慮者の支援ニーズの把握など。16.女性・子どもへの配慮
女性・妊産婦に必要な物資・環境を確保する、女性用更衣室・授乳室の設置、母子避難スペース・キッズスペースの設置を検討する、性別配慮について意見が反映できる環境を確保する、家庭的ニーズの絶曲的掘り起しをする、安心して話ができる女性だけの場を検討するなど。17.防犯対策
避難者同士の見守り体制の確保、仮設トイレ等の防犯対策、地域の防犯見守り体制の確保など。
18.ペットへの対応
ペット同伴避難のルールおよびペット滞在ルールを確認する、ペット滞在場所の設置を検討するなど。
3月のメールマガジンでご紹介した、釜石市の「避難所運営担当職員用マニュアル改定のための提言ワークショップ」の続報です。
釜石市とカリタス釜石の共催により、防災士や民生児童委員、復興住宅自治会、女性消防団、一般の住民男女からなる「男女(みんな)で地域防災について考える会」のみなさんが、避難所運営のマニュアル改定のための提言をとりまとめられ、当センターがそのお手伝いをさせていただいたものです。これに対する、市長さんと担当部局からの回答をご紹介したいと思います。
回答の基本的考え方は「住民男女が男女共同参画の視点からマニュアルを見直した貴重な提言で、『男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針』(内閣府男女共同参画局、平成25年5月)にも示されている内容であることから、多様性配慮の視点に立って、提言内容の実現に努力する」とのことです。住民による提言であることが尊重され、そして後ろ盾となる政府の方針の存在が大きな意味を持ったのではないでしょうか。
具体的には、
①東日本大震災で実際に避難所運営に従事した女性職員を中心に今後の災害対応のあり方に関する検討会議を開催し、具体的な意見をマニュアル改定に反映する、
②地域が主体となった避難所運営等地域防災力の向上のために、町内会や防災士等を中心に幅広く協議や訓練等の取組みを実施する、
③住民一人ひとりの防災意識と行動力の向上に努めると共に各関係機関、企業等との連携を深め、全市が一体となった災害対応体制が構築できるように取り組むことです(復興釜石新聞4月30日)。
避難所運営や備蓄物資、女性と子どもの安全対策などに関する個別の提言内容に対しても、細かな回答が作成されました。「男女(みんな)で地域防災について考える会」のみなさんは、提言が受け入れられた部分が多いと、手ごたえを感じておられます。男女共同参画・多様性配慮の視点を組み込んだ防災体制への道のりは長いですが、すばらしい第一歩ですね。
今後は、示された基本的考え方がしっかり今後の活動に反映されるよう、また個別の提言に関する回答が具体的に実践されるよう、住民の皆さんと自治体行政の皆さんの力あわせを、当センターも応援し続けたいと思います。
(文責:池田恵子)
ああっ!こうした専門書を待っていたんですっっ!
―――実は本書をぱらぱらっとめくってすぐに感動で胸がいっぱいになり、読み進みながら「浅野富美枝先生、ほんとうにありがとうございます!!」と東京から、東北の方向へ向かって叫びたくなりました。
帯に書かれた、「女性視点の支援が本格的に展開された3・11、みやぎの女性たちには、被災女性を支援する力と全国から寄せられた女性視点での支援を受け入れる力があった。その力はどのように形成されたのか、いま地域に欠けているものは何か。女性・生活・地域に視点をおき、現場からひもとく研究提言」とのメッセージ。
ここに、本書が何を明らかにし、何を社会に訴えかけようとしているかがかなり明瞭に書かれていますが、東日本大震災の被災地・みやぎにおいて支援活動をリードしてきた女性たち数人にスポットを当て、ライフヒストリーも丁寧に織り込みながら、戦後日本の地域社会(地縁社会を含みつつも、もっと広い空間からなる市民自治の場としての公共領域)において、女性が主体的に活躍できるような力量形成がどのように行われてきたのかについて、女性自身の生きざま・活動への思いと、環境(政策や女性同士のつながりを持った運動など)の、両面から丁寧に描かれています。
本書を読むと、戦後しばらくの間、ごく普通の女性たちが自治的公共空間を意識しながら主体的に学び、おおぜいの女性の仲間を得られる諸活動への参加の道すじとともに、さらに実践・学習を通して力量を重ねながらリーダーシップを発揮していくことが可能な環境が、全国のすみずみにまで用意されていたことが、“みやぎ”という地域の事例を通して理解できます。もちろんそれは、政策だけでなく、戦後間もないころからの地域の女性たちの主体的な取り組みにより獲得してきた環境でもあるのですが。
そうした環境が機能していた時代に力をつけてきた女性たちが、東日本大震災以前から“みやぎ”でさまざまな公益活動を展開していたわけですが、東日本大震災でもその困難な状況における共助活動や外部からの支援の受け入れにあたって、人としての尊厳とくらし再生という問題に丁寧に向き合いながら、いかにリーダーとして重要な役割を果たしてきたのかが本書には詳しく紹介されています。
しかし、そうしたすばらしい女性リーダーたちを育ててきた環境自体が現在、時代の変化の中でおざなりにされ形骸化したり、若い世代がアクセスしにくいものとなっているのも事実でしょう。
東日本大震災で力を発揮した女性たちの姿を通して、戦後の女性の力量形成をめぐる環境の再評価を丁寧に行われた浅野富美枝先生ですが、本書を結ぶにあたっては、戦後復興の過程でどのように「災害脆弱性」が生み出されたのかについても分析された上で、災害に直面しても「人間の復興」を可能とするような、真に災害に強い国・コミュニティを構築するために何が求められているのか考察されています。
景気低迷、少子高齢化、災害リスクの増大などに直面する昨今、地方創生、女性の活躍推進、国土強靭化、地域防災力の向上などと、さまざまなスローガンが日々掲げられていますが、果たして、本質的なことがきちんと議論されているでしょうか?
浅野富美枝先生のご著書が多くの方に読まれることで、各地の地域政策や防災対策が真に住民・市民のくらしの安全・安心につながる形で豊富化されていくことを願ってやみません。
ぜひ、みなさまもお手にとってご一読下さい!
(文責:浅野幸子)
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