自主防災リーダー向け 研修報告(静岡)

静岡県では、平成34年までに県内すべての自主防災組織で女性が役員として参画すること、また平成29年までに全市町が男女共同参画の視点を入れた防災講座を開催することを「地震・津波対策アクションプログラム2013」の中で目標に掲げています。

地域の防災活動への女性の参画は、防災基本計画や内閣府男女共同参画局の「取り組み指針」でも重要視されています。責任ある立場で女性たちが地域の防災活動に参加していなければ、いざという時に女性が力を発揮することはできません。

静岡県は自主防災組織の結成率が100%に近く、活動も活発ですが、その担い手の中心は男性であり、女性が責任ある立場で関与している地域はまだまだ少ないのが現状です。

実際には、土台にある地域自治への女性の参画が進まない限り、これはかなり野心的な目標だと思います。そう思っていたところ、何と10年以内に自主防災組織の役員の女性比率5割を目指すという自治体が静岡県にありました。必要だからやるのだそうです。

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最近、池田は静岡県自治会連合会理事会や、藤枝市地域防災指導員養成講習会などで研修を行う機会がありました。どちらの研修も、参加者の大多数は男性でしたが、シルバー世代の男性だけでは地域防災は限界だという危機感は共有されていました。そこで、いかに女性の参画を増やしていくのかということが主なテーマになりました。

終了後には、「やれる人が性別関係なく動けるようにしていくしかない」という感想が多く聞かれました。一方で、静岡県では女性防災リーダーの人材育成にも力を入れているのですが、その研修を修了した女性たちがなかなか自治会や自主防災会に繋がれないという問題も、男性リーダーたちから指摘されました。現状では、男女別の機会を作って行っている防災リーダーの養成は、今後、男女が共同作業を行う場を作り出していく方向へ発展させていく必要があると思いました。

東北訪問〜東北の女性たちの声

GDRRの池田と浅野は、4月2~3日にかけて宮城県の南三陸町と気仙沼市を訪ね、被災地の女性たちの声を聴かせていただきました。新たな団体の活動のスタートにあたり、改めて現場の様子や生のお声にきちんと触れさせていだくことが不可欠と考えたためです。

2日の午後と3日の午前は、登米市を拠点に女性の視点で被災者支援を行っているNPO法人ウィメンズアイとNPO法人とめタウンネットのスタッフのご協力・ご案内をいただきながら、登米市と南三陸町でそれぞれお話を聞きました。
 

●とめ女性支援センター/登米市内の仮設住宅

初日の午後は、とめ女性支援センターで運営されているカフェにうかがってお茶をいただきながら運営の様子を伺ったのち、登米市内の仮設住宅を訪ね、南三陸町上山八幡宮禰宜の工藤真弓さんにもお話を伺いました。

宮司の家に生まれ育った工藤さんは、仮設住宅でのサロン活動を行いながら、南三陸町志津川地区まちづくり協議会公園部会副部長として、実際の復興計画づくりにも参加するなどしてこられた、パワフルな方です。

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とめ女性支援センターで運営されているカフェ。お茶もケーキも、とってもおいしかったです。

 

●南三陸町被災者生活支援センター・南三陸町婦人防火クラブ・南三陸町愛の手をつなぐ親の会・戸倉地区波伝谷自治会 他

翌日は南三陸町へ移動し、まず、南三陸町被災者生活支援センターで生活支援員をなさっている女性と懇談した後、南三陸町婦人防火クラブおよび南三陸町愛の手をつなぐ親の会会長(障がいを持つ子の親の会)を務める、千葉みよ子さんからもお話を伺いました。千葉さんは、お連れ合いと障害をもつ次女と仮設住宅で暮らしておられます。津波でご長男とご長女を亡くされ、次女も津波で心身ともに傷を負うという状況の中で、懸命に家族と地域のために頑張ってこられた方です。

お昼は戸倉地区の波伝谷へ向かい、津波で流されたレストラン“慶明丸”を再建して頑張っておられる三浦さきこさんを訪ねました。地区の高台に建設された仮設住宅で自治会長を務めながらの営業です。新鮮な魚介と、青々としたワカメやカキがたっぷりのお鍋のついたランチをいただきました。

その後は、気仙沼市本吉地区へ向かい、シャンティ国際ボランティア会気仙沼事務所の紹介で、この地区出身の若手の女性たちからお話をうかがいました。

 

●女性たちの取り組みが復興の力に

ウェブサイトでは詳細な内容をお伝えすることはできませんが、感想を書きます。
震災から3年目の現状を伝える報道でも共有されたように、被災地の復興はまだまだ途上にあります。そうした中、被災した女性たちはさまざまな困難に向き合いながらも、それぞれの場所で、くらしのために、そして地域のために、懸命にできることに取り組んでいることが伝わってきました。

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とめ女性支援センターが運営するカフェの中にある、女性たちが制作した作品の展示販売ブース

 

地域が復興するにはまだまだ時間がかかることが予想されますが、女性たちの取組みの一つひとつは、着実に被災地の復興の力になっていると感じます。

ただ、やはり仕事の面での不安を持つ方もおられ、依然として雇用の厳しさが浮かび上がってきました。生活支援員の仕事もいつまで維持されるかわかりません。支援員としてコミュニティ・ケアの経験を積んだ地元の若い人材が、その経験を生かして就ける職業を見つけることも難しい現状に、歯がゆさを感じました。

浅野が6月にふたたび気仙沼を訪れた際にお話をうかがう機会があった母子家庭のお母さんは、お子さんがPTSDを発症したこともあって勤め先を辞めざるを得ず、現在は新たな経済的な安定の道を模索していました。水産加工の現場では人手不足との報道もあるため、そうした仕事には興味がないのか伺ってみると、津波の記憶が生々しく、浜に近いところで働くのは怖いとのことでした。

いずれにしても、女性の場合は低賃金のパート労働に就く以外に選択肢がほとんどない状態です。特に母子家庭の場合、お子さんが小さいうちはまだしも、中学、高等と年齢が上がるにつれ、教育費をどうするかが大きな問題になってきますので、大きな都市に出ることも考えているという方とも出会いました。

復興庁男女共同参画課の復興の取組み事例集では、就労支援や起業の事例も紹介されています。厳しい状況でありますが、スキルアップの機会や、支え合い仲間づくりにもつながるような交流の場を設けるなど、被災した女性たちが少しずつでも回復し力を得ていくことができるよう、環境を整えていくことが不可欠であると、改めて感じました。

 
▼男女共同参画の視点からの復興~参考事例集~(第6版)[平成26年5月23日公表]
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-16/20130626164021.html

7月20日:学術フォーラム「減災の科学を豊かに:多様性・ジェンダーの視点から」開催のお知らせ

東日本大震災は、災害が与える影響が、一人ひとりの被災者それぞれに異なることを改めて浮き彫りにしました。

被害や復興において差異を生み出す要因は、ジェンダー、セクシュアリティー、年齢、障害や病気の有無・種類、国籍・母語、働き方や家族形態、ケア責任の有無・程度、地域の社会的ネットワークなどであり、それらが総合された自治体の減災力です。地域のレジリエンスを増強する取り組みも、そうした要因を組み込むことで、有効性を増すことができます。0720chirashi

これらの要因を視野に入れた減災・応急対応・復興支援と調査研究は、日本では、多様性・ジェンダー配慮の視点を持つ少数の災害対応実践者と研究者によって、東日本大震災を契機に本格的に開始されました。

その後、災害対応や復興の主流である諸分野において、実践面および研究面で、多様性・ジェンダー配慮の視点はいかに取り込まれているできたのでしょうか。

本フォーラムでは、多様性・ジェンダー視点と個別の災害諸科学の接点を探ります。

日本学術会議ウェブサイト(チラシPDF)
http://www.scj.go.jp/ja/event/pdf2/192-s-0720.pdf

 

【1. 開催日時】 平成26年7月20日(日)13:00~16:45

【2. 開催場所】 日本学術会議講堂
住所 〒106-8555 東京都港区六本木7-22-34 (map

【3. 入場無料・事前申し込み不要】当日先着順300 名。日英同時通訳付き

【4. プログラム】(予定)

司会 大沢真理(第一部会員、東京大学社会科学研究所教授)

(1)開会挨拶  大西隆(日本学術会議会長、豊橋技術科学大学学長)

(2)開催趣旨説明・問題提起  池田恵子(日本学術会議特任連携会員、静岡大学教育学部教授)

(3)基調講演
Elaine Enarson(independent researcher, ジャクソンビル州立大学防災学部兼任教授)
「災害とジェンダー研究の貢献と展望」

 

(4)報告とパネルディスカッション「多様性・ジェンダーの視点で見た東日本大震災」

《 I 報告 》
・今井照(福島大学行政政策学類教授)
・李善姫(東北大学東北アジア研究センター研究員)

《 Ⅱ パネルディスカッション 》
〜災害関連諸科学・政策科学は多様性・ジェンダーをどう見たか〜

司会:大沢真理(第一部会員、東京大学社会科学研究所教授)

・鈴木るり子(岩手看護短期大学地域看護学教授) 保健師活動・介護福祉
・浦野正樹(早稲田大学文学学術院教授) 災害社会学、脆弱性論の観点から
・今井照(福島大学行政政策学類教授)   地域自立・多様性
・佐藤岩夫(日本学術会議連携会員、東京大学社会科学研究所教授) 居住法学
・矢守克也(京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授) 防災教育・地域防災
【主催】日本学術会議東日本大震災復興支援委員会産業振興・就業支援分科会、第18 回ISA 社会学世界会議(横浜会議)災害社会学部会・分科会「ジェンダーの視点は災害研究に何をもたらすか」、平成25-27年度文部科学省科学研究費補助金基盤(A)「社会的脆弱性/レジリエンスの比較ジェンダー分析」

【後援】一般社団法人・生活経済政策研究所

【問い合わせ先】日本学術会議事務局企画課学術フォーラム担当
TEL:03-3403-6295 FAX:03-3403-1260

なお、同じ7月20日の午前9時半から、同じく日本学術会議において、英語による
「災害とジェンダー研究会」(研究者会合)も開催されます(通訳はありません)。

「災害とジェンダー研究会」(研究者会合)についての詳細は、池田までお問い合わせください(ekikeda@ipc.shizuoka.ac.jp)

 

2015防災世界会議日本CSOネットワーク(JCC2015)に参加しています

2015防災世界会議日本CSOネットワーク(JCC2015)は、2015年3月に仙台で開催される「第3回国連世界防災会議」にむけて海外の市民社会の人々とも協調しつつ、「ポスト兵庫行動枠組(HFA2)」の策定に参画し、それを含めた持続的で災害に強い社会の構築に向けて、世界の人々と共に学びを分かち合い提案していくための、日本のCSO(市民社会組織)のネットワークです
(取り組みの詳細はJCC2015のウェブサイトhttp://jcc2015.net/をご覧ください)。

特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)内に事務所が置かれ、24の幹事団体が運営を担っています。2014年3月24日時点で、80団体が参加しているそうですが、当センターもこのネットワークに参加しており、今後も情報の共有や、関連した情報の発信につとめていきます。

東京都調布市のZ地区協議会主催の防災学習会への講師派遣(4月26日)

調布市の地区協議会とは、おおむね小学校区をひとつのコミュニティエリアとして、地域の活動団体や個人を横糸で結んだネットワーク組織です。地域では、自治会・子ども会・民生委員・PTA・健全育成・学校開放・消防団・商店会・ボランティアサークルなど,多くの団体がそれぞれの目的に応じた活動を行っていますが、地域にある既存の組織だけでは対応できない、もしくは複数の組織で取り組んだ方がより効果・効率的な課題に対して、各団体が連携し、協力していくことで課題の解決に取り組んでいます(調布市のウェブサイトより)。

この日は、市内で一斉に防災に関する訓練や研修が行われる日となっているそうですが、わたしが訪ねた地区では小学校を会場に、避難所運営に関する講演とグループディスカッション(ともに浅野が担当)と、消防署および地元消防団員による消火訓練・応急救護訓練などが行われました。

参加者は、自治会関係者、PTA、会場となった小学校の先生、隣接する中学校の先生と中学生(この小学校の卒業生)、障害を持った方などです。避難所運営に関するグループディスカッションでは、できるだけいろいろな立場・年齢が混ざるように7・8人~十数人で輪になってもらい、避難生活で起こりがちな問題について、どのように対応すべきかについて話し合ってもらいました。

体の不自由な障害者の避難所への誘導、人数に足りない食料の配分、食物アレルギーの人への配慮、介助犬を伴った人への配慮、小さな子どもや生徒に必要な環境などをテーマとしましたが、中学生も大人とともに懸命に考えながら、真剣に議論に参加してくれました。

このように、さまざまな立場の老若男女、地域と学校が日常から交流を図り、対等な仲間としてともに話し合い、活動に取り組む場を作っておくことが、なによりもの地域防災力の向上につながると感じました。

 (浅野)

『男女共同参画の視点で実践する災害対策 テキスト 災害とジェンダー<基礎編>』 

『男女共同参画の視点で実践する災害対策 テキスト 災害とジェンダー<基礎編>』は、『こんな支援が欲しかった!~現場に学ぶ、女性と多様なニーズに配慮した災害支援事例集』と同様に、災害支援や防災政策、地域防災活動に関わっている方、これから関わろうとする方たちが、実践を目指して学習や研修に活用することを前提とした教材です。 続きを読む 『男女共同参画の視点で実践する災害対策 テキスト 災害とジェンダー<基礎編>』 

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〜現場に学ぶ、女性と多様なニーズに配慮した災害支援事例集』

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「減災と男女共同参画 研修推進センター 」サイト open!

「減災と男女共同参画 研修推進センター」のサイトが、新たにopenいたしました。

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