「女性にとって今こそ知っておくべき防災術!」 立川災害ボランティアネットの防災講演会(東京)

この秋、講師として伺った講座・研修で、子育て世代の女性たちが多く参加して下さった催しがありましたので、今回と次回にわたってご紹介します。

10月9日(金)の午前、東京都西部にある立川市女性総合センター アイムを会場に、防災講演会「女性にとって今こそ知っておくべき防災術!~あなた自身と家族、本当に守れますか?子ども・高齢者・女性が直面する災害時の困難とその対策~」が開催され、当センターの浅野が講師を務めさせていただきました。

主催は立川市男女平等参画課、協力の立川市社会福祉協議会ですが、企画・運営の立川市災害ボランティアネットを中心に、市男女平等課および市社協の職員さんたちも、開催準備や当日運営への協力はもちろん、講演会自体も受講してくれました。

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講演の様子

受講者は約50人。主催・協力・運営側はこれまでも連携しながら、市の町会連合会にもお声掛けして防災講演会を開催するなど、男女共同参画の視点による防災の重要性についての普及啓発に継続的に取り組んできているため、保育付きで10人前後の子育て世代のママさんたちも参加してくれただけでなく、男性の参加も多く、地域組織で防災を担当している方もいました。

内容については、北関東の豪雨水害の記憶も新しいことと、何より「女性にとって今こそ知っておくべき防災術」というテーマですので、最初30分程度の時間を割いて防災の基本について学習していただけるよう、警報の種類と、室内案安全対策(点検チェック資料と転倒防止器具情報)、住んでいる地域の危険箇所チェック資料、備蓄に関する資料を用意して、まずは自助にしっかり取り組んでいただくようお話をしました。ただし、自助だけでは助からないのが大規模災害なので、自助・共助・公助の考え方と避難所でどんな問題が起きていたのかについて簡単に触れながら、地域での関係づくりの重要性をお話しました。

後半は、性別・立場別の困難の違い(特に女性ならではの、また育児・介護など家族のケアの立場からの大変さ)について説明し、最後に避難所に地域のひとたちと一緒に避難したと想定しながら、食物アレルギーの人、介護が必要な高齢者・障害者、子どもの困難と配慮・支援をテーマにグループで話しあってもらいましたが、熱い議論となりました。受講者には、乳児を抱いた状態の若いご夫婦もいらっしゃるなど(0歳児は託児できないため一緒に参加いただきました)、さまざまな世代・立場の男女の市民がバランスよく参加して一緒に学ぶという機会もあまりありませんので、そうした意味でも学習効果は大きかったのではないでしょうか。

なお、立川災害ボランティアネットは、立川市社会福祉協議会のよびかけで2009年から準備会をスタートし、東日本大震災を契機に2011年4月に市民有志によって設立されました。自治会、マンション管理組合、企業、市民団体、小・中・高校などへの出前講座に取り組むとともに、地域で活動する人材育成を目指し、災害ボランティアリーダー養成講座に取り組んでいます。

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立川災害ボランティアネットのみなさんと一緒にパチリ

『男女共同参画・多様性配慮の視点で学ぶ防災ワークブック』等の富山県女性財団での活用について

富山県女性財団から、当センターが作成したワークブックを活用した、県内での普及・啓発活動の様子について寄稿いただきましたのでご紹介します。

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富山県女性財団は、男女共同参画に関する学習をしているグループ等を対象に、出前講座を開催しています。今年度は、減災と男女共同参画研修推進センター(GDRR)が作成した『男女共同参画・多様性配慮の視点で学ぶ防災ワークブック』及び啓発スライドを活用して、出前講座メニューに「災害・防災について男女共同参画の視点から考える」を新設しました。

これまでに実施した出前講座の受講者からは、「日ごろから男女共同参画が必要だということを改めて認識できた」「こういう話を各公民館でも広めていき、みんなで考えていく必要があると思う」「災害・防災については、平常時の備えが大切と分かったつもりでいたが、具体的な状況を考えてみることが少なかったと気付いた」等の感想が届いています。

出前講座については、「サンフォルテだより Vol.97」p7をご覧ください。
→ http://www.sunforte.or.jp/attach/DL/41/attach/DL_41_20151030024624-3.jpg

釜石を訪ねました

11月上旬、釜石を訪ねる機会がありました。被災地の現状についてお話を聞き、復興工事の現場も見て回りました。一昨年に町の中心にイオンタウン釜石がオープンし、建設現場ではひとやもの、お金が集中していますが、水産加工業や飲食業などの地元の中小・零細企業は引き続き人手不足の状況のようです。

また、復興公営住宅の建設が進む中、復興公営住宅での自治組織づくりなど新しいコミュニティづくりをどう支えるのかや、復興公営住宅と近隣の住民との交流の場づくりといった課題や、入居が遅れ仮設住宅に残される人たちの焦燥感など、被災者の方たちが置かれた状況に差が出る中での問題もあるようです。

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   復興工事が進む鵜住居地区

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   カリタス釜石の事務所

市の中心部の協会敷地内に拠点を置き、地域に根差して被災者支援を続ける特定非営利活動法人カリタス釜石では、複数の仮設住宅でサロン活動を継続して来ましたが、今後、復興公営住宅でのコミュニティ形成支援にも力を入れようとしているとのことでした。

カリタス釜石は、サロン活動や見守り活動に加えて、敷地内にオープンスペース「ふぃりあ」を設け、近隣住民へのサービスや憩いの場、さらには孤立防止の為に開放しています。男性の孤立といった課題も受けて、男性向け料理教室の開催なども行ったそうです。

また昨年、個人や団体が自由に出入りし、休憩や打合せ、コワーキングスペースとしても利用することができるみんなのスペース「ぷらざ☆かだって」をオープン。特定非営利活動法人アットマークリアス NPO サポートセンターとの共同運営で、パソコンと Wi-Fi も完備してインターネットを楽しめます。さらに、さまざまなイベント・セミナー等も開催するなど、釜石の地域復興と、暮しをめぐるさまざまな課題に目配りをしながら、細やかな取り組みをつづけています。

なおカリタス釜石さんでは、漁業者の復興を応援するため、三陸わかめの販売をしています。売り上げは地域の復興事業にも使われるそうです。

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   カリタス釜石のみんなのスペース「ぷらざ☆かだって」でスタッフのみなさんと

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   かさ上げ工事の様子

市の中心部から車で30分ほど離れた、海沿いの地域に古くから暮らす女性リーダーにもお話を伺いましたが、高齢化が進む中でもさまざまなアイディアを出しながら、地域の交流や漁業を盛り上げようと奮闘している様子が伝わってきました。数は少ないものの、フルタイムで働いている20代の女性もできる範囲で地域活動を手伝ってくれたり、30代40代で力を発揮している女性漁業者もいるとのお話もあり、こうした女性たちがより一層活躍できる環境づくりがいかに重要かを改めて感じました。

「防災の主流化」研修(JICA主催)より

今年3月に行われた仙台防災会議で採択された「仙台防災枠組」(2015-2030)の基本的な考え方は、社会に潜む脆弱性の解消も視野に入れた「災害リスク削減」です。つまり貧困対策、ケア、就労や雇用、医療制度、社会保障制度、地域政策など、社会の脆弱性と関わる分野と災害リスクを重ねあわせて対策を取ることが大切だということです。

日本政府が行う防災分野での国際協力も、その方向性を目指していますが、発展途上国から災害関連の政策を担う公務員を招いて行われている研修(「防災の主流化」研修)の一環として、先日都内で、各国の政策・制度整備状況の報告会が開催されたため参加してきました。ちなみに当センターは、この研修の一コマで「災害リスク削減のジェンダー主流化」の講義・演習を担当しています。

研修生は、12カ国から15人で、危機管理担当だけではなく、保健医療や社会福祉担当の省庁や、警察、市民防衛(Civil Defense)部署の人も複数いました。残念だったのは、研修生が全員男性だったことです。

まず研修の冒頭で、講師から仙台防災枠組に触れながら災害リスク削減の説明がありました。
1)防災や発災後の救援体制の充実だけではなく「災害リスク削減」を政策として明示すること、2)社会経済環境面のすべての政策分野と災害リスク削減を関連付けるためには、他の省庁と連携することが重要なこと、3)そのためには災害が起こった後ではなく事前に投資を行う必要があることなどが強調されました。

報告の中から印象に残ったものを幾つか紹介します。南米のチリでは、保健分野の国家戦略の中に災害対応が位置づけられ、保健省内の各部署が災害時に連携できる仕組みが紹介されました。ジェンダーの話はありませんでしたが、先住民(インディオ)団体との連携について指摘がありました。また、チリでは、自治体と大学とコミュニティが協働し、日中だけではなく真夜中にも津波避難訓練をしているそうです。フィジーの防災対策は、農村海洋開発・防災省が担っているようですが、報告者によると、単一の省庁が担っていても開発政策と防災を結びつけるのは、これからの課題とのことでした。一方、バングラデシュでは、15の省庁で担当分野の政策に災害リスク削減を統合するためのアクションプランが作成済みだそうです。

多様なバックグラウンドを持つ参加者の報告は内容が多岐にわたり、これから新しい政策や制度を作り上げていくのだという熱意が感じられるものばかりでした。災害リスク削減の発想は、ぜひ日本国内でも主流になってほしいものです。

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  JICA研修の様子

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