ワークブック69ページの、要配慮者支援を充実させるための被災に関する聞き取りシートA「被災後の生活状況につ
いてのアンケート」の、Q10の選択肢において、番号に誤植がございました。申し訳ございません。
これを修正し、68・69ページの連続したページとしてPDF化したものをダウンロードしていただけるようにいたしましたので、こちらからご利用下さい。
お手数をおかけいたしますが、どうぞよろしくお願いいたします。
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文責:浅野幸子
国際的なネットワークのもとで行われる人道支援では、「プロテクション」、つまり「被災者の権利保護」という考え方が重視され、スフィア・プロジェクトをはじめとした人道支援の質を担保するための国際基準でも、中核的な概念として取り入れられています。
なぜこのように、「被災者の権利保護」の考え方が重視されるのかといえば、紛争や災害では、最も支援を必要とする人々、最も弱い立場にある人々ほど、支援が行き届きにくいという現実があるからです。申し上げるまでもありませんが、減災と男女共同参画 研修推進センターでも、こうした「被災者の権利保護」に関する国際的な議論や具体的な支援のあり方を示した国際基準等も参考にしつつ、日本の現状や、政策動向、地域防災や災害支援ボランティア活動の現状に合わせながら、よりわかりやすく普及することを通して、国内の現場でこれらの視点と実践が定着していくことを目指して日々活動しています。
さらに近年、国際的な人道支援活動の現場では、効果的な支援を行うために同じテーマ・分野で活動する国内外の政府機関、民間支援団体、国連機関等の間の連携・調整の場が設定されるようになっており(クラスター・アプローチ)、そこでも、特に社会的に弱い立場におかれている人たちの支援を目的とした「プロテクション」分野が設定され、子もどや女性の支援に関わる関係者が連携して支援活動を行うようになっています。
5月31日に行った第1回公開研究会で、ネパール大地震の被災地における女性支援の様子に関する田中雅子さんのお話の中でも、実際にクラスター・アプローチによる分野ごとの調整の場が設けられ、「プロテクション」分野では女性支援に関して、ネパールの政府機関・民間団体と国連機関および国外の民間支援団体が連絡・調整を行いながら、被災した女性たちの支援を行っている様子が報告されました。
東日本大震災では、女性、子ども、障害者といった対象別の支援も行われましたが、連携は不十分で手探り状態で支援活動は行われていきました。今後も、首都直下地震や南海トラフ地震といった被災人口としては一層大規模となるであろう地震災害の発生が予測されていることを考えると、国内においても「被災者の権利保護」の考え方をさらに共有しながら、支援関係者(行政・民間団体・専門家など)同士のネットワーク化を進め、実際に災害が起こった場合には、海外の諸機関・諸団体ともスムーズに連携できるようにしておく必要があるかもしれません。
そこで参考資料をもとに、あらためてこの「被災者の権利保護」という考え方について整理したうえで、特に子ども・女性・障害者について、どのような配慮が必要とされているかについて共有したいと思います。
この、国際的な人道支援の現場で重視されている「プロテクション」の考え方ですが、平成18年度に外務省が主催し、国内のNGOが主体となって取り組んだ「人道支援におけるプロテクション」に関するNGO 研究会の成果としての「プロテクション・ガイドライン」 )によると、「プロテクション」に関して国際的に確立している定義はないものの、「個々人の権利が国際的に確立されている条約(例 人権、人道及び難民法)の文言及び精神にのっとって十分に保護されるよう確保することを指向するすべての活動。あらゆる人権及び人道機関はこれらの活動を偏りなくまた人種、国籍、言語及びジェンダーに関わらず行わなくてはならない」という、1999年に国際赤十字委員会が実施したワークショップの参加者により理解され、現在広く普及している考え方を紹介しています。
その「プロテクション」の考え方を根拠づける重要な条約などがいつくかありますが、主に次の3つに分類されます。一つ目は国際人権法(世界人権宣言をはじめとした人権に関する条約や宣言と、それらを実施するための国際的、国内的な制度や手続きの体系で、子どもの権利条約、女子差別撤廃条約、人種差別撤廃条約なども含まれる)、二つ目は 国際人道法(「1949年のジュネーブの4つの条約」と「1977年の二つの追加議定書」を中心とした、様々な条約と慣習法の総称。武力紛争(戦争)で、負傷したり病気になった兵士、捕虜、武器を持たない一般市民の人道的な取り扱いを定めた国際法)、そして国際難民法(難民を迫害の待ち受ける出身国へ送り返さないということを含めた、「難民の地位に関する条約」「難民の地位に関する議定書」を中心とする一連の法体系)です。
こうした条約などの規範に加えて、全ての人に共通して確保されるべき事項として、以下の二つが重視されています。被災者保護の責務を負うのは第一に国家ですが、国からの保護が受けられない人、紛争や大地震による被害者の数が膨大で国家としての対応能力を超えてしまっているような場合は、国家による保護活動の補完的な位置づけとして、国際機関やNGOが支援活動を行うことに大きな意義があります。
①尊厳ある生活を営む権利
…生命・自由及び安全が確保されること、十分な生活水準が保障されること、拷問又は残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱いまたは刑罰からの自由。
②非差別原則
…人種、皮膚の色、性別、言語、宗教又は信念、政治的もしくはそのほかの意見、国籍・人種もしくは社会的出自、法的もしくは社会的地位、年齢、障がいの有無、財産、家系、その他類似の基準に関わらず、平等な支援を提供することが求められる。
「プロテクション」は、主に3つのカテゴリー、つまり物理的な保護(基本的な自由があり、身体の安全が確保されている状況)、社会的な保護(物質的なニーズ、教育、健康等が保障されている状態)、法的な保護(権限のある当局に登録がなされ、その場所での滞在が認められている状態)に分類することができます。
また、支援の実践においては「プロテクション」は二通りの捉え方があります。広い意味では、特定のプロジェクトを指すということではなく、食料配給や衛生状態の確保といった個々の事業の実施に権利保護の考え方を入れ込むことで、全体として支援を受ける人たちの権利が確保され、社会的に弱い立場におかれている人々も食料配給等からもれずに、保護されている状況を目指すものです。一方で狭い意味で用いる場合には、弱者保護といった文脈や、法的な保護を指すことが多くなります。
ガイドラインの「3.各論」(p8~)では、人道支援の現場でとりわけ配慮されるべき対象別に、その特徴やどのような保護が必要なのかについて、根拠となる条約の条文等も示しながら解説しています。ここでは文字数の関係から、子ども・女性・障害者の部分のみ抜粋する形で紹介します。そのほか、高齢者、難民、社会的少数者が対象として挙げられています。
1)子ども
子どもは、身体的にも精神的に未熟であるため、法的保護を含めて特別な保護及び世話を必要となります。特に注意を要する子どもたちとして、親や保護者と離ればなれの子ども、障がいを持つ子ども、以前子ども兵士であった子ども(女子も含む)、子どもだけの家族が挙げられます。なお、国際法では子どもを18歳未満と定義していますが、通常は国内法が優先します。
▽子どものために守られるべき事項
①家族と一緒にいること
(本人の意志に反して家族と引き離されないこと、引き離されている子どもと親が再び出会えるようにすることなどである。もちろん、子どもが虐待されている場合はこの限りではなく、適正な手続きの上で、子どもを保護する必要がある)② 教育を受ける機会が確保されること
③ 性的暴力・虐待に遇わないようにすること
④ 働かせないようにすること(強制労働・搾取からの保護)
⑤ 物理的な危険(紛争、暴力)からの保護
⑥ 戦闘行為全般に関与させないこと
⑦ 援助から子どもが漏れないこと
⑧ 感染症にかからないようにすること
⑨ 人身売買されないこと(養子縁組の際も注意すること)
⑩ 国籍を否定されないこと(特に難民の場合)
⑪ 子どもの声がプログラムの策定に反映されること/子どもの最善の利益が考慮されること
2)女性
女性に対する差別は広範に存在しており、窮乏状況では女性が食料、健康、教育、雇用のための訓練及び機会、他の必要なものを受ける機会が最も少ないという状況があるため、特別の保護を必要であるとしています。特に配慮が必要なのは、1人きりの女性、家長である女性(特に最近家長になった女性)、障がいを持つ女性(もともと家の外で活動をすることがあまり無く気づかれない場合が多くあること、女性の特有の病気の存在が公に語られることをよしとしない、問題が表面化することが滅多に無いなど、援助関係者の間で気付かれない可能性も高いこと、加えて家庭の内外での暴力、性的な搾取等にさらされやすい)、性的暴力を受けた女性、妊娠中の女性であるとしています。
▽女性のために守られるべきこと
①教育を受ける機会が男性と同様に確保されること。
(家族の健康及び福祉の確保に役立つ特定の情報も提供すること)②性的暴力・虐待に遇わないようにすること
③ 働く機会を確保すること
④ 物理的な危険(紛争、暴力)からの保護
⑤ 援助から女性が漏れないこと
⑥ 人身売買されないこと
⑦ 保健において差別されないこと
( 保健サービス(家族計画を含む)において、女性が差別されないようにすること。⑧ 女性の声がプログラムの策定に反映されること
(プログラムの策定にあたり、女性の声を聞くような機会を設けること、女性の参画する機会、質を高めていくこと。(できれば、会合の50%が女性であることが望ましい))
3)障がい者
障がい者は、先天性であってもそうでなくても、身体的または精神的能力にハンディがあることから、日常生活を自身で送ることに困難がある人を指しています。特に人道支援を必要とする地域では、紛争、地雷、地震などによって、新たに障がいを持つ人たちが生み出されてしまう現状があります。中でも特別に注意を要するのは、社会的弱者の人たち(女性、子ども、マイノリティ、高齢者など)の中で、さらに障がい者である人たちです。複合差別によって、より弱い立場におかれることがあるため、特に配慮が必要です。
▽障がい者のために守られるべきこと
① 搾取、差別的虐待、過酷な取扱い等から守られること。
② コミュニティの一員として暮らし、社会的活動に参加する権利が確保されること。
(コミュニティの中で障がい者のみが隔離されず、障がいがない人とともに暮らし、社会的な活動に参加していけるよう確保する)③ 支援への平等なアクセスを確保すること。
( 障がいのある人が、障がいを理由に支援から排除されず、適切な安全な水、食料、衣料、住居が提供され、個々の障がいのニーズに応じた支援が受けられるよう確保されること)④ 社会の中において不当な差別を受けないこと(就職、結婚等)
8月6日の午後、南相馬市で防災研修会が開催され、講師として当センター共同代表の浅野が登壇させていただきました。主催は福島県男女共生センターさん、共催が南相馬市さんです。
参加者は市役所および高齢者や障害者施設の職員の方、地域の女性防災リーダーのみなさんなど約30名で、性別・多様な立場に立った困難と備え・対策について、参加者の皆さんのご経験も振り返りながらグループで議論しました。
また、時間の関係で十分に作業はできなかったものの、「もしも一般避難所である小学校の一室を使って介護が必要な高齢者と障害者を支援する福祉避難室を設置するとしたら?」という想定で、教室の空間の使い方を書き出してみるといったワークも実施させていただきました。福祉施設のプロの方も多く、A3の紙にすぐに福祉避難室のイメージを書き出し始めたみなさんの様子を拝見して、お一人おひとりの大きなパワーを感じました。いずれしっかりと時間をとってみなさんにお話をうかがう形で、経験に学ばせていただかないといけないと感じながら帰途に着きました。
帰りがけ、日暮が迫る道を福島駅に向かって走る車の中から、その経路の途中にある飯館村の様子を見ました。2年ほど前に南相馬市にうかがった際は、帰り道がすでに真っ暗になっていたため、初めて村の様子を見ることになったわけですが、雑草に覆われた荒れた農地に胸が痛みました。しかし同時に、一部では除染作業が進む農地もあり、また、隣接する川俣町内には、飯館村の複数の学校が入るプレハブ校舎も目に入りました。
当センターが主催の研修ではないため、研修の詳細や写真は控えますが、記事として少しさびしいので、南相馬市への往復の途中で撮った二枚の写真をご紹介します。
1枚は、前日の5日に泊まった郡山の駅前で行われていた、「うねめ祭り」というお祭りの一環で行われていた、幼稚園児たちによる太古の演奏の様子です。のぼりには「○○幼稚園」「元気太鼓」とあり、ちびっ子たちの勇壮な演奏が響き渡っていました。

もう一枚は・・・。ガスタンク?の写真なのですが、お分かりになりますでしょうか?車中から撮ったためうまく撮れていませんが、巨大な桃などが描かれている様子に、なんだか自然と笑顔がこぼれてしまいました。
まだまだ暑い日が続きますが、みなさまお気をつけてお過ごしください!
8月1日(土)、厳しい猛暑の中、今年度第1回の公開研究会とフォローアップ研修を開催しましたが、両方とも約20名の参加をいただきました。
ここでは公開研究会での報告の概要をお伝えます。新たな人道支援の基準(CHS)に関してお話下さる難民支援協会常任理事の石井さんは、国内の人道支援関係者の中では早くから人道支援のあり方に関する国際的な議論や人道支援基準に関心をもって取り組んでこられた方です。
フォローアップ研修では、3月に完成したワークブックの趣旨と活用のポイント、教材の概要を説明しながら、合間にいくつかのワークショップを参加者の方にも体験していただきながら、教材の効果的な活用方法・学習の場づくりについて考えましたが、詳細は略します。今後も、同様のワークブック活用のための研修を何回か実施する予定です。
<2015年度 第2回公開研究会>
「国連防災世界会議と新たな人道支援の基準(CHS)を踏まえた、
今後の地域防災の取り組みについて」
①国連防災世界会議の振り返り(当センター共同代表 池田恵子)
1994年に横浜で行われた第1回国連防災世界会議で採択された「横浜戦略」で、災害リスク削減に女性や社会的不利な集団の参加・エンパワーメントを奨励する文言が入り、2002年の第46回国連女性の地位委員会で、ジェンダーの不平等は災害脆弱性の根本原因の一つであると確認されるなど、国際的には早い段階から性別や多様な立場の人への配慮と当事者の参画の重要性が共有されてきました。
しかし国内で本格的に認識されるようになったのは2011年の東日本大震災以降であり、まだまだ防災関係者にさえ定着しているとは言えない状況です。
2005年に神戸で開催された第2回国連防災世界会議では「兵庫行動枠組」(資料スライド_池田1)が採択されました。第3回国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組」(2015-2030年)は、「兵庫行動枠組」を基本的に踏襲しており、2030年までに「人命・暮らし・健康と,個人・企業・コミュニティ・国の経済的,物理的,社会的,文化的,環境的資産に対する災害リスク及び損失の大幅な削減」を目指しています(資料スライド_池田2)。
14の原則の中でも、下記は特に注目されるところです。
④ジェンダー、年齢、障害がいの有無、文化の重視と女性・若者のリーダーシップ
⑤セクター内・間の関係者間の調整と連携
⑧他課題との関連性(持続可能な開発、貧困削減、気候変動、食糧など)
⑩社会経済環境面の災害リスクへ解消を優先
そして、優先行動項目の3番目の「レジリエンスに結びつく災害リスク削減への投資」では、「社会的セーフティーネットや社会包摂の政策のデザインと実施を強化する。コミュニティの関与、生計向上、妊産婦・新生児・子どもの健康、性と生殖に関する健康を含む基礎保健活動へのアクセス、食糧の安全保障と栄養、住居と教育、貧困撲滅などの分野で、政策が災害後の段階でも通用する解決策を提供できるようにする。より多くの被害を受ける人々のエンパワーメントと支援を行う」としています。
なお、「仙台防災枠組」の前文で<災害リスクを本質的に削減しようするなら、人とその健康と生計に焦点をあてた発想を普及すべき>と明記されています。初期消火や応急救護、避難誘導などの直後対応やハード面での整備のみをもっぱら重視する日本的「防災」ではなく、「災害リスク削減」、つまり日常社会の中にある格差や生活課題こそが、災害時の被害(犠牲者の発生や生活復興を含む被災者が直面するさまざまな困難)を大きくするのだ、という国際的な理解を前提に、もっと人々の置かれた状況とくらしのあり方を中心に据えた、防災政策のあり方が国内で問われているといえるでしょう。
②新たな人道支援の国際基準~
Core Humanitarian Standard(CHS)をめぐる動きについて
(認定NPO法人難民支援協会 常任理事 石井宏明さん)
人道支援における国際的な共通の行動規範・指針に対する関心が高まったきっかけは、1994年に起こったルワンダ虐殺(下部注※1)から始まる一連の人道危機です。支援現場で適切な人道支援が行われているかどうか、被災者が不利益を被ったり人権を脅かされるような問題が起こっていないかなどを調査・観察するプロジェクトが展開されたことから、支援の質や支援団体の説明責任について議論されるようになりました。その後、スフィア・プロジェクト(人道支援の事業実施レベルの行動指針として活用される基準)、ピープル・イン・エイド(人道支援組織のための人材マネジメントの指針)、HAP(主に事業計画・管理レベルにおける組織としての責務を設定した基準)などの人道支援の基準が複数作られるようになりました。(下部注※2、※3)
現在、「支援の質」と「説明責任」(Quality and Accountability :Q&A)がセットで議論されるようになっていますが、質の高い支援とはどういうものでしょう。それは、被災者が「尊厳ある生活」を営むための最低限のモノ・サービスが提供されるだけでなく、被災者自身が納得・満足する形での支援プロセス、モノ、サービスの提供が行われることです。
そして、質の高い支援が行われるようにするには、支援者であるNGO/NPOが組織として、情報共有、調整と協働、参加、透明性、クレーム対応、スタッフの能力にかかわる仕組みや体制をつくることが大切となります。説明責任といえば、従来は活動資金を提供してくれる団体・個人に対してどのように説明責任を果たすことができるかがもっぱらの関心でしたが、今では、支援を受ける側である被災者の視点に立つ形で、組織としてこれらの取り組みを行っているかどうかも、被災者支援の実施者であるNGO/NPOの「説明責任」として問われるようになってきたのです。国際社会の動向と比べると、日本国内ではこうした国際人道基準への理解や具体的な対応はあまり進んでいなかったのですが、東日本大震災において避難所運営や物資配給、被災者の(とくに脆弱層に配慮した)権利保護の面で、十分な支援を行うことができなかったとの反省から、現在では国内の市民団体や民間・公的セクターの中で、スフィア・プロジェクト等の国際人道基準への関心が高まっています。
難民支援協会でも、説明責任の実践として独自の行動指針(Code of Conducts)を策定した上で、相談に来る難民の方たち自身も、スタッフの対応や支援内容に関する意見・苦情を組織に対して直接伝えることができるよう、事務所内にフィード・バック・ボックスを置き、届いた内容について組織として対応する体制を構築しました。事実確認だけでも膨大な時間と手間がかかるため、そうした声にきちんと対応していくのは大変なことではありますが頑張っています。
人道支援基準は重要ですが、さまざまなタイプのものが複数存在しているため、2012年末から2013年にかけて、スフィア・プロジェクトやHAPといった中核的な人道支援基準を統合しようという「ジョイント・スタンダード・イニシアティブ」が開始され、114か国からの参加者が協議を重ねました。そして、ピープル・イン・エイドとHAPに、スフィア・プロジェクトの中のコア基準の部分を取り出して加える形で、新たな国際基準としてのCore Humanitarian Standards(CHS)とるすことになりました。それは9つの原則と質的要件により構成されるもので(資料スライド_石井)、さらにこの原則が着実に実践されるよう支援するための、「ガイダンスノートと指標」と「検証フレームワーク」が現在開発中であり、すでに試験的に利用されています。
こうした基準は今後、助成金や補助金の獲得の際などに大きく影響してくるでしょう。たとえばジャパン・プラットフォーム(JPF)という、国際協力NGOによる人道支援活動を政府・企業も一体となって資金や物的な側面から支えていくための組織がありますが、東日本大震災が起こる少し前から助成金を申請する団体に対して、申請事業が既存の国際基準を満たしたものであるかどうかを申請書類に書いてもらう取り組みを始めています。
なお、国や自治体が被災者支援の質を問われるのは当然のことですが、東日本大震災では企業がNPO/NGOと同様の非営利の支援活動を行う例も多くみられました。そうした企業による支援活動でも、こうした人道支援基準を意識してもらえるようにする必要があるのかもしれません。
7月24日、国内の17団体・7個人の参加により「支援の質とアカウンタビリティ向上ネットワーク」(JQAN)が発足し、難民支援協会は幹事団体に選任されました。主な活動方針は、国際社会で共有されている人道支援の諸原則、基準類を理解し、実践できる支援実務者および団体の育成と、こうした人道支援の諸原則・基準と実践について継続的に教授・指導ができる日本のNGO人材の育成、そして、主に日本の国際協力、緊急人道支援、減災防災活動に関わる政策立案者、資金提供機関関係者への提言活動と、国内外での経験の国際社会での発信や調査活動などです。
ただ、国際基準をそのまま国内に導入するのが良いのかどうかについては、もう少し議論が必要だと考えています。良い形で普及が進むよう、今後もみなさんと一緒に考えていきたいと思います。
※1 紛争により10日間で50~100万の人々が虐殺されたと言われている。
※2 難民支援協会によるスフィア・プロジェクト(三訂版)の日本語訳は、ウェブ上からダウンロードできます。( https://www.refugee.or.jp/sphere/ )
※3 スフィア・プロジェクトはページ数がとても多いので、とりあえず人道支援の国際基準とはどんなものなのかを知りたい、現場での活用のイメージに少しだけ触れてみたいという方は、スフィア・プロジェクトの概要と、衛生・栄養・避難施設といった分野別の具体的な支援基準のうちから、性別や多様性配慮に着目して抜粋・翻訳したものを紹介した、「こんな支援が欲しかった!現場に学ぶ、女性と多様なニーズに配慮した災害支援事例集」の33~38ページを、減災と男女共同参画 研修推進センターのウェブサイトからダウンロードしてご覧ください。( http://gdrr.org/2014/05/149/ )
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