朝霞市(埼玉県)が地域防災計画見直しにあたって「女性視点の防災対策検討部会」を設置。報告書がまとまりました

埼玉県の朝霞市では、平成26年度から平成27年度までの地域防災計画の改訂にあたって、「女性視点の防災対策検討部会」と、「避難行動要支援者対策検討部会」の2つの部会を設置。市内の地域リーダー、福祉関係者、女性団体、PTA、消防団など、市内で活躍する多様な立場の男女と、複数の関係部局が委員として参加する形で、数か月かけて熱心に議論が交わされました。当センター共同代表の浅野が両方の座長を務めさせていただきましたこともあり、報告書がまとまりましたのでご紹介させていただきます。

 http://www.city.asaka.lg.jp/soshiki/6/teigensyo.html 
(朝霞市のウェブサイト)

国の『防災基本計画』における記述に加えて、内閣府男女共同参画局による『男女共同参画の視点からの防災・復興の取組み指針』が策定されたことから、各自治体の地域防災計画への男女共同参画の視点の反映作業が少なからず進められています。しかし、その反映作業を、住民・市民との協働作業で行っている自治体はまだまだ少数派です。また、計画に反映させた後の、行政職員および住民・市民への知識の普及と、行政および地域組織における具体的な体制づくりが決定的に重要となりますが、その段階まで腰を据えてしっかりと取り組もうという自治体はさらに少ないのが現実です。

ちなみに朝霞市ではこの2つの報告書を市長へ提出した直後に、策定に携わった住民・市民委員およびその他の重要な地域防災上のアクター(建設事業者なども含む)の方に参加していただく形で「地域防災意見交換会」を開催! 報告書の概要を共有した上で、「避難行動」および「避難所運営」の場面を想定し、実際の災害時および事前の備えとして何ができるのか、ワークショップを実施しました。

そのほかにも、地域防災計画に男女共同参画の視点を書き込んだだけに終わらせず、災害の場面でも実践的に取り組まれるよう、地域防災リーダーや職員向けの研修、避難所開設運営訓練への取り入れなど、頑張っている自治体が複数出てきていますので、そうした好事例を相互に広げていくことができればと思います。
 みなさまの地域でも面白い取り組みがありましたら、ぜひ情報をお寄せ下さい!

(文責:浅野幸子)

『東日本大震災「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」に関する調査 報告書』がウェブサイトにアップされました

 当センターの前身団体である、東日本大震災女性支援ネットワークが行った、災害・復興時における女性と子どもへの暴力に関する調査の報告書が、ネットワークのウェブサイトからご覧いただけるようになりましたので、当該ページのURLをご紹介させていただきます
(注:このサイト自体は解散と同時に更新を止めています)。

『東日本大震災「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」に関する調査 報告書』
(東日本大震災女性支援ネットワーク編・発行、2013年)
 http://risetogetherjp.org/?p=4879

 なお、当センターのウェブサイトに掲載している「災害とジェンダー資料室」http://gdrr.org/library/ の中の、【Ⅱ国内の文献・資料一覧】の、(1)東日本大震災女性支援ネットワークによる発行物からも、この報告書のサイトにリンクしておりますので、さまざまな資料と併せて目を通したい方はこちらからご覧いただければと思います。

福島と宮城で女性支援を継続している方々にお話をうかがいました(福島県助産師会・ウィメンズアイ)

11月の釜石に引き続き、12月16・17日と、福島と宮城で支援活動を継続している、福島県助産師会会長の石田登喜子さん、ウィメンズアイ代表の石本めぐみさんにお話を伺ってきました。今回はそのうち、福島県助産師会による、震災後の妊産婦支援事業についてご紹介します。

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一般社団法人福島県助産師会では東日本大震災後の大変厳しい環境の中、妊婦・母子の訪問、助産所での母乳育児支援、子育てサロンの開催、助産所での産後入所ケアと産後デイケア、電話相談などの支援を継続して行ってきました。事業実績は表の通りですが、お話をうかがうと、こうした数値では表現しきれないだけのたいへん大きな役割を果たされてきたことが理解できます。

政策的には一応、「妊婦の検診、出産後の保健師の訪問、乳幼児の健診」がありますが、回数は限られており、しかもそこで問われるのは赤ちゃんの健康状態だけです。つまり、赤ちゃんがとりあえず健康状態をクリアしている限り、お母さんがどんなに追い詰められていても問題とはなりません。そうした状況での福島県助産師会の支援活動ですが、特に、1日3,000円で受けられる「産後の入所ケア事業」をめぐるお話が印象的でした。

お母さんたちは出産後、病院にいる間だけは周囲の支援があってなんとかなりますが、家に戻った途端に大変な状況に追い込まれます。泣く赤ちゃん、寝不足になりながらの授乳、おむつ替えなど、一つ一つが初めてで慣れないだけでなく、「本当に赤ちゃんは育っているのか?」「自分の育児方法は間違っていないのか?」などと、日々不安の連続です。

その上、核家族が増えたこと、妊産婦の親世代たちも生活のため毎日働いているケースも多いことなどから、今は、一人でたいへんな育児に向き合っていかなくてはならないお母さんが増えていると石田さんは言います。そうしたお母さんたちが、助産所でゆっくりと支援を受けながら、育児に関するアドバイスももらえるのが産後の入所ケアです。どれだけ新米ママさんたちの助けになることでしょう。

なお、こうした取り組みの成果により、県内の病院に務める助産師や市町村で母子保健を担当する保健師との連携もできているそうです。

恥ずかしいことに私はこの日、福島特有の困難というお話がメインになることを予想していただけに、そもそも日本社会における妊娠・出産をめぐる環境がとても悪化している状態なのであり、それが福島では震災後の厳しい環境で一気に顕在化したのだと捉えているとの石田さんの言葉に、少なからず衝撃を受けました。

もちろんわたしたちの社会は、原発事故に関連して妊産婦が抱えるさまざまな悩みや不安にきちんと正面から向き合っていく必要がありますし、現実に福島の女性たちは、他の地域の妊産婦さんよりもさらに多くの不安を抱えながら妊娠・出産・育児に向き合っていることでしょう。しかし同時に、家族形態の変化に加えて、非正規雇用の増加、改善されない長時間労働、格差・貧困問題、老後不安といった問題が、さらに育児・出産を巡る環境を悪化させていることにも、目を向ける必要があると改めて思いました。

日本で女性たちが安心して産み育てることができる環境を実現させていく必要性を考えた時、福島県助産師会による包括的な妊産婦支援事業は、日本の未来を切り開く先進事例と言えるのでしょう。ちなみに福島県助産師会では、当初は民間による助成金を基にしてこれらの支援事業に取り組んできましたが、現在は福島県の補助金によって事業を展開できる状況になっているとのことです。今後とも、こうした行政と専門職能団体が協働するかたちでの支援事業がしっかりと継続され、全国に広まって欲しいと思いました。

(文責:浅野幸子)

 

 

表 福島県助産師会母子支援事業の実施件数 推移
(出典:「福島に続け――低料金でも手が届く助産師のケア」『助産雑誌』vol.69 no12 December)

事業内容

2011年3月~

2012年度

2013年度

2014年度

妊婦・母子訪問

1041

1001

1053

1328

助産所での母乳育児支援
(乳房ケア件数)

151

339

456

622

子育てサロン
(実施場所,利用組数,のべ回数)

県内6カ所,
559組,52回

県内16カ所,
1844組,151回

県内19カ所,
2473組,202回

県内23カ所,
2821組,233回

助産所での産後入所ケア
(実施場所,利用組数,のべ日数)

県内4カ所,
29組,のべ419日間

県内3カ所,
38組,のべ305日間

県内3カ所,
67組,のべ472日間

県内3カ所,
70組,のべ511日間

助産所での産後デイケア
(実施場所,利用組数,のべ日数)

県内5カ所,
53組,のべ66日間

電話相談

1044

877

1269

母乳の放射性物質濃度検査受付
(受付件数)※

559

59

19

福島県助産師会『東日本大震災支援活動報告集~あれから3年』(2014年3月)より作成
 
※母乳の放射性物資濃度測定検査の結果はすべて「未検出」

 

 

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