熊本地震から1か月 取材した記者の目で見た課題は

熊本地震から1か月 取材した記者の目で見た課題は
(NHK首都圏ネットワーク)

一連の熊本地震の最初の地震から5月14日で1か月です。
現地を取材した記者の目を通じて課題を探っていきます。

はじめに、被災した熊本で取材した首都圏放送センターの清木まりあ記者の報告です。

【連続する地震 問われる“耐震”】

私は最初の震度7の地震の翌日に熊本に行きましたが、現地で滞在している間は本当に大きな揺れが繰り返し起きているような状況でした。
中でも2回目の震度7で犠牲になられた遺族の方にも話を聞いて、連続する揺れというのがいかに恐ろしいのかを思い知らされました。
連続する揺れがいかに強い威力を持つのか取材しました。

激しい揺れが街を襲った熊本地震。
4月14日に続き、2日後にも震度7を観測しました。
多くの建物が倒壊し、専門家の調査で国の耐震基準を満たした住宅の被害も確認されました。

東京理科大学の北村春幸教授です。
震度7程度でも倒壊のおそれがないとされる国の耐震基準。
しかし、連続する大地震は想定していないと指摘しています。

「今の国の基準は1度の地震を受けたときに倒壊・崩壊しないかをチェックする、検証するというのが国の基準になっています。続けて2回力をかけて大丈夫とか、そういったチェックをしてませんので」。

揺れの連続で住宅はどうなるのか。
過去に行われた実験です。
左側は耐震基準を満たすよう補強した住宅。
右側は古い耐震基準の住宅です。

震度7相当の揺れを加えると、右側の住宅は倒壊する一方補強した住宅は壁が一部壊れたものの倒壊しませんでした。

しかし数日後。
再び同じ揺れを加えると…。

補強した住宅も倒壊してしまいました。

想定しづらかった連続地震。
今回の地震を受けて不安の声が多く聞かれました。
「住まいがあんなふうに一気に倒れてしまうわけですから。やっぱり不安はあります」「どこまで耐震したらいいのかは分からないので」。

連続して起きる大きな揺れに住宅メーカーは対策に乗り出しています。
こちらの住宅は国の基準の1.5倍の耐震性を備えました。
「この部分は、実はこの展示場の外壁の部分です。このシンプルな仕組みの中で実はエネルギーを吸収させようと」。

柱に特殊な金具を組み込むことで震度7を数回加えても柱や「はり」が損傷を受けないとしています。
メーカーでは今回の地震の現地調査も踏まえて引き続き耐震性を高めていくことにしています。

大和ハウス工業総合技術研究所の有吉善則所長は「耐震性能、実際の商品の話に対する問い合わせは増えてきている。大きな余震が繰り返し起こるというようなケースを想定したうえで、耐震性能についての考え方を変えないといけない」と指摘しています。

続けて起きる激しい揺れにどう備えていくのか。
熊本地震を受けてこれからの耐震のあり方が課題となっています。

【妊産婦をどう守る? 浮かび上がった避難所の課題】

続いては、避難生活で浮かび上がった課題についてみていきます。
さいたま放送局の影山遙平記者の報告です。

熊本市の避難所には出産前や出産してまもない女性も避難していました。
私が話を聞いた女性は避難生活に入って3日後に破水してしまい、予定日より6日早く赤ちゃんを出産しました。

熊本県の助産師会が急きょ設けた妊産婦専用の避難所です。
取材した女性は退院したあと、ここに赤ちゃんとともに避難できました。
妊産婦の方のための環境をどう整えていくのか。
都内でも準備が進められています。

東京・文京区にある跡見学園女子大学です。
4年前、妊産婦を専用に受け入れる避難所「母子救護所」として文京区と協定を結びました。
大学の体育館にはさまざまな備蓄品が置かれています。

大学の事務局長内山康和さんに備蓄品について説明してもらいました。
「こちらがほ乳瓶であったり災害時のトイレであったり。女性用の肌着のセットもお預かりしています」。

アレルギーのある子ども向けに専用の粉ミルクも準備しています。
避難した人が使う教室のすぐ横には、急な出産に備えて助産師などが常駐します。

文京区防災課の橋本淳一課長は「災害は突然起こりますので、そのなかでも円滑に救護所の設置運営ができるように日頃から連携を密にして取り組んで参りたいと考えています」と話しています。

埼玉県の産婦人科医、吉田穂波さんです。
東日本大震災の際多くの妊産婦の声に耳を傾け、今から環境整備を行う重要性を訴えます。

「妊婦さんで切迫早産のような症状がすごく出やすかったとか、なかなか楽しめないとか、ついつい悲しいことを考えて涙ぐんでしまうとか、そういう方々にたくさんお会いしました。苦しんで助けを求めているときに、本当にあたたかい居心地のよい場所が提供できれば」。
熊本県内では今もおよそ1万人が避難生活を続けています。
1か月を迎える中、息の長い支援が求められています。

http://www.nhk.or.jp/shutoken/sp/net/report/20160513.html

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