シンポジウム“女性の力で変革を”  3.11から5年 忘れない・つながる・動く

6月11日(土)、港区男女共同参画センター リーブラのホールにおいて、男女共同参画と災害復興ネットワーク(JWNDRR)主催の「シンポジウム“女性の力で変革を”3.11から5年 忘れない・つながる・動く」が開催されました。当センターも協賛させいただいたこともあり、当日会場で登壇者のお話をうかがいました。

●第1部 基調講演

はじめにJWNDRR代表の堂本暁子さんより講演があり、この5年間の取り組みの振り返りがありました。また、おなじくJWNDRRの大野さんからは、5月にベトナムで行われたジェンダーと防災に関するアジア太平洋地域会議(地域の防災計画へのジェンダーの反映を推進する目的。UN Wemwn主催)の参加報告があり、3日間の成果としてまとめられた「ジェンダーと災害リスク削減に関する行動のためのハノイ提言」の概要も資料とともに紹介されました。そこでは特に、現状把握や分析に不可欠な、災害に関連したジェンダー統計の重要性も指摘されたそうです。 続きを読む シンポジウム“女性の力で変革を”  3.11から5年 忘れない・つながる・動く

避難所運営の手引き〜男女共同参画の視点を取り入れて〜(四日市市危機管理室 作成)

四日市市では、避難所生活を見越した事前の準備を進めるために、既に避難所運営マニュアルが市内の地区防災組織等で整備されていますが、このたび、男女共同参画の視点を取り入れた避難所運営の行うための手引きが作成されました。
hinansyouneinotebiki
すでにある避難所運営マニュアルの見直しの際や、防災訓練・学習の際の活用が期待されています。

大規模災害から命と暮らしを守るための
避難所運営の手引き 〜男女共同参画の視点を取り入れて〜

前半6p(PDF・3M) 後半6p(PDF・3.1M)
四日市市 防災情報のページ

ワーキンググループは2015年10月に発足し、3回のワーキングで内容等について協議しました。委員には、四日市市防災・減災女性セミナーなどの講座受講者等から8名、そして、減災と男女共同参画 研修推進センターから浅野が座長として参加させていただきました。

東北の女性センターが中心となって作成したマニュアルや国の指針など、被災地の実情を反映した各種資料も参考にしながら、女性、要配慮者、高齢者、子どもたちなどみんなに気を配り、安全・安心な避難所づくりの一助になればとの思いで作成されました。

内容は、避難生活における問題、女性の視点と参画の必要性、避難所運営のポイント、事例紹介、チェックリストなどです。

四日市市自治会連合会、四日市市地区防災組織連絡協議会も作成に協力しており、現在、地域での具体的な活用方法が検討されています。

被災者支援の基準・ツール集

ボランティア活動で被災地へ入る方へ

災害時の被災者支援ツール 〜いのちと健康を守るために

大規模災害から命と暮らしを守るための避難所運営の手引き 〜男女共同参画の視点を取り入れて〜

ボランティア活動で被災地へ入る方へ

 

forVolunteer

 

 

一人ひとりを大切にできるボランティア活動のために(PDF版)

災害時の被災者支援ツール 〜いのちと健康を守るために

地震、土砂災害の被害を受けた方向けの支援には、様々な視点での配慮が必要です。

減災と男女共同参画 研修推進センターが、今までの活動から災害支援活動を進める際の基準やチェックシートを作成しました。

ぜひご活用ください。

 

(1)災害時の要配慮者支援を充実させるための被災に関する聞き取りシート
避難所・在宅避難者(兼用)(PDF)

kikitorisheet01

kikitorisheet02

(2)支援者の方向けの参考資料(内閣府の指針より)

①「避難所チェックシート(PDF)

shishin_hinanjyo_checksheet

②「応急仮設住宅チェックシート(PDF)
(ともに「内閣府男女共同参画局ウェブサイト 男女共同参画の視点からの防災・復興取組み指針 解説・事例集」より)

「スフィア基準に基づくジェンダー・多様性配慮のチェックリスト」(PDF)
(『男女共同参画の視点で実践する防災対策 テキスト 災害とジェンダー<基礎編>』より)

 

 

こちらも参考にしてください。

災害支援ツールの公開(2014年8月の西日本における土砂災害にあたって)災害時の被災者ニーズに関する聞き取りシート(2種)& 支援者のためのチェックシート ~要配慮者支援の視点・女性へのアプローチを重視して

ジェンダー・多様性配慮とリスク削減に関する公開イベントのお知らせ

JICA主催の表記イベントが開催され、当センター共同代表の池田恵子もパネル討議のモデレーターとして登壇いたします。アジア各国の防災関係者が集い議論するというまたとない機会です。ぜひご参加ください。 続きを読む ジェンダー・多様性配慮とリスク削減に関する公開イベントのお知らせ

NHKの海外向けラジオ放送で紹介されました

防災や災害支援にジェンダー・多様性の視点を導入するための活動が、NHK国際ラジオ放送の15分程の番組で紹介されました(英語はじめ欧米・アジア・アフリカの18言語で、9月23日に放送)。

茨城県の行政職員・地域の防災リーダーの皆さんの研修(当センターの池田恵子が講師を務めました)の様子や、静岡県駿東郡長泉町の「女性の視点による避難所立ち上げ訓練」や性別役割分担にこだわらない防災訓練を行う自主防災組織と、そこで活躍する女性リーダーの活動などが、訓練の取材やインタビュー入りで紹介されました。また、1990年代からジェンダーの視点による災害への対応を実施しているバングラデシュのNGOの活動が紹介されました。、洪水頻発地域で活動するNGOの女性スタッフが、この方針を最初に導入した当時の困難と、それをどのように乗り越え、現在、方針が地域の災害への備えや復興に定着するにいたったのかについて話しました。

日本は、防災・災害対応・復興にジェンダー・多様性の視点を導入する活動は、世界の国々よりは遅れて開始され、今後これから定着に向けて進んでいかねばならない状態です。それでも地域の皆さんの活動は着実に進んできていることが、発信されたと思います。

遺族年金の対象とならない父子家庭の救済を!全国父子家庭支援ネットワーク

全国父子家庭支援ネットワークの村上さんから、2014年4月以前に妻を亡くし遺族年金の対象とならない父子家庭の父と子を救うために、電子署名への協力を要請するメールが当センターにも寄せられました。ぜひご協力ください。

http://urx.nu/iOoT

母子家庭の生活の厳しさは、言うまでもなく、今以上に注目されるべき問題ですが、東日本大震災では、数多くの父子家庭も生まれてしまいました。しかし、男性はいかなる状況でもきちんと稼げる(べきである)という前提に立った遺族年金の制度上の問題から、父子家庭の遺族年金の受け取りが難しい状況でした。

そのため、震災で家族を失った父子家庭のみなさんが中心となって働きかけが行われたこともあり、そうした制度上の矛盾が今回ある程度是正されたわけですが、その恩恵を当事者が受けられないという状況になっています。

ぜひ多くの方に関心を寄せていただければと思います。

関東・東北豪雨を通して改めて見えてきた課題

9月9~11日にかけて北関東および東北に甚大な被害をもたらした豪雨災害(気象庁による正式名称は「平成27年9月関東・東北豪雨」)。いまも被災したみなさんは、家の片づけや住宅再建、生活の立て直しに追われ続けています。

10月初旬の時点で、まだまだ片づけのための人手も足りていない地域もありますので、ぜひ関心をもちつづけていきたいなと思います(状況は常に変化しておりますので、ボランティアセンター等のウェブサイトで情報を確かめてください)。

th_03joso_taiikukan
支援物資を集積・配布している、常総市石下総合体育館の様子(撮影:浅野)


●平常時からハンディを抱える人たちの困難

ところで今回の豪雨災害でも、避難生活の側面でさまざまな問題が見えてきています。特に、障害のある方や介護・介助など配慮が必要な高齢者、一人親家庭など、平常時から心身や経済面等でハンディを抱えている人たちの困難が浮き彫りになっています。避難所の環境や福祉・保育面などの課題、自宅のあと片付けの際の周囲の支援や交通手段の不足など広範にわたり影響がでています。

*自閉症の家族がいる方、視覚に障害のある方などの困難(朝日新聞より)
http://www.asahi.com/articles/ASH9P4K9WH9PUTIL00K.html

*追いつめられる母子家庭(毎日新聞より)
http://mainichi.jp/select/news/20150923k0000e040130000c.html

他にも、日雇いで生計を立てている独身男性(日本人)の「自宅の片づけに追われて仕事に行くことができていないため収入が無い。貯金も底をついた」といった声もあります(新聞記事より)。

また被災エリアに多く暮らす日系ブラジル人の方たちの中には、自宅が被災しても勤務先の工場を休ませてもらえないため十分に片づけができない、日本語が十分理解できないため必要な支援を受けるのにも不利だったり、生活の復旧や再建に支障がでかねないといった現状があります(被災地で外国人支援を行っている団体からの情報)。

 

th_04isige
石下総合体育館内の、日本語とポルトガル語で書かれた物資の配置場所の案内表示(撮影:浅野)

 

避難所の縮小により、さらに数多くの在宅避難生活の状態の方たちの存在が見えにくくなるのではないかとの心配もあります。9月末時点でも、自宅で調理することもできないために避難所に食事などをもらいに来る周辺住民の方もおり、炊き出しの潜在的ニーズが高いことがうかがわれました(周辺住民に、避難所届いた食料等を快く提供するところもあれば、取りに来ることを制限するところもあったようです)。

th_02takidashi
災害支援ボランティアのレスキュー・ストック・ヤードによる炊き出し(撮影:浅野)

 

泥やゴミを片づけただけでは、元通りに暮らすことはできません。服や家財をそろえ直すだけでも大変な労力ですし、床下の乾燥が十分できなかった場合、カビの繁殖に見舞われる可能性もあります。戦いはまだまだ続くでしょう。

th_01haikibutsu
公園に積み上げられた廃棄物(撮影:浅野)

 

●子どもを持つ女性への支援の必要性

また、10月に入った現在でも、母親たちからの子どもの一時預りを求める声が上がっているようです。今回の災害では車を失った人が多く、移動の問題から一層厳しい状況に追い込まれています。

例えば常総市では、もともと保育所に子どもを預けていてその保育所が被災した場合に、被災を免れた保育所で一時的に預かるという対応をすぐに行っており、とても評価できます。

しかし、こうした大規模災害の場合、平常時は子どもを預けていなくても、幼い子どもを抱えたままでは自宅の片づけや生活再建のための情報収集や手続き等を進めることが困難となるケースが増えます。被災により夫が失業したり家計支出が激増したといった理由で、急に働きに出る必要性に迫られる女性が増えていくことも考えられます(実際、被災地の雇用に関する窓口には、被災の影響で解雇されたと相談に来る被災者も出ているとの報道です)。

こうした問題にできるだけ効果的に対応していくためには、どのような事前の取り組みが必要なのでしょうか。まず、各自治体の防災計画に、避難所や在宅避難者への支援のあり方はもちろん、生活再建期の一時預りや保育支援、就労支援(女性を含む)、移動支援についても、しっかりと盛り込んでおく必要があります。

●災害時の自治体機能の課題

しかし、市町村の中枢機能が集積しているエリアを含めて広域に被災してしまうような大規模災害の場合、被災した自治体は機能不全に陥り、住民に対する支援が十分行えなくなる可能性があります。

しかも、平成の大合併で市町村は昭和の大合併とは比較にならない規模で広域化し、職員数も大幅に減っているため、ただでさえ対応能力が落ちていることが推測されます(情報収集にさえ時間がかかる、職員が自分の自治体の中の様子を十分に知らない、住民との関係が希薄化しているなど)。また、復旧・復興期におけるソフト支援の重要性が社会的に十分に認識されていません。各被災家庭の復旧・復興の遅れは、被災地全体の復興の遅れとなり、社会全体にとっても重荷になり寝ません。

従って、都道府県や国によるバックアップも不可欠でしょう。専門性、人、予算の面での側面支援が、被災自治体や民間との連携のもと、スムーズに行われるような仕組みづくりも求められていると思います。

人道支援における「プロテクション」(被災者の権利保護)の考え方と連携

文責:浅野幸子

〔1〕国際的な人道支援現場での女性・子ども等のための連携

 

国際的なネットワークのもとで行われる人道支援では、「プロテクション」、つまり「被災者の権利保護」という考え方が重視され、スフィア・プロジェクトをはじめとした人道支援の質を担保するための国際基準でも、中核的な概念として取り入れられています。

なぜこのように、「被災者の権利保護」の考え方が重視されるのかといえば、紛争や災害では、最も支援を必要とする人々、最も弱い立場にある人々ほど、支援が行き届きにくいという現実があるからです。申し上げるまでもありませんが、減災と男女共同参画 研修推進センターでも、こうした「被災者の権利保護」に関する国際的な議論や具体的な支援のあり方を示した国際基準等も参考にしつつ、日本の現状や、政策動向、地域防災や災害支援ボランティア活動の現状に合わせながら、よりわかりやすく普及することを通して、国内の現場でこれらの視点と実践が定着していくことを目指して日々活動しています。

さらに近年、国際的な人道支援活動の現場では、効果的な支援を行うために同じテーマ・分野で活動する国内外の政府機関、民間支援団体、国連機関等の間の連携・調整の場が設定されるようになっており(クラスター・アプローチ)、そこでも、特に社会的に弱い立場におかれている人たちの支援を目的とした「プロテクション」分野が設定され、子もどや女性の支援に関わる関係者が連携して支援活動を行うようになっています。

5月31日に行った第1回公開研究会で、ネパール大地震の被災地における女性支援の様子に関する田中雅子さんのお話の中でも、実際にクラスター・アプローチによる分野ごとの調整の場が設けられ、「プロテクション」分野では女性支援に関して、ネパールの政府機関・民間団体と国連機関および国外の民間支援団体が連絡・調整を行いながら、被災した女性たちの支援を行っている様子が報告されました。

東日本大震災では、女性、子ども、障害者といった対象別の支援も行われましたが、連携は不十分で手探り状態で支援活動は行われていきました。今後も、首都直下地震や南海トラフ地震といった被災人口としては一層大規模となるであろう地震災害の発生が予測されていることを考えると、国内においても「被災者の権利保護」の考え方をさらに共有しながら、支援関係者(行政・民間団体・専門家など)同士のネットワーク化を進め、実際に災害が起こった場合には、海外の諸機関・諸団体ともスムーズに連携できるようにしておく必要があるかもしれません。

そこで参考資料をもとに、あらためてこの「被災者の権利保護」という考え方について整理したうえで、特に子ども・女性・障害者について、どのような配慮が必要とされているかについて共有したいと思います。

 

〔2〕プロテクション(被災者の権利保護)とは?

 
この、国際的な人道支援の現場で重視されている「プロテクション」の考え方ですが、平成18年度に外務省が主催し、国内のNGOが主体となって取り組んだ「人道支援におけるプロテクション」に関するNGO 研究会の成果としての「プロテクション・ガイドライン」 )によると、「プロテクション」に関して国際的に確立している定義はないものの、「個々人の権利が国際的に確立されている条約(例 人権、人道及び難民法)の文言及び精神にのっとって十分に保護されるよう確保することを指向するすべての活動。あらゆる人権及び人道機関はこれらの活動を偏りなくまた人種、国籍、言語及びジェンダーに関わらず行わなくてはならない」という、1999年に国際赤十字委員会が実施したワークショップの参加者により理解され、現在広く普及している考え方を紹介しています。

その「プロテクション」の考え方を根拠づける重要な条約などがいつくかありますが、主に次の3つに分類されます。一つ目は国際人権法(世界人権宣言をはじめとした人権に関する条約や宣言と、それらを実施するための国際的、国内的な制度や手続きの体系で、子どもの権利条約、女子差別撤廃条約、人種差別撤廃条約なども含まれる)、二つ目は 国際人道法(「1949年のジュネーブの4つの条約」と「1977年の二つの追加議定書」を中心とした、様々な条約と慣習法の総称。武力紛争(戦争)で、負傷したり病気になった兵士、捕虜、武器を持たない一般市民の人道的な取り扱いを定めた国際法)、そして国際難民法(難民を迫害の待ち受ける出身国へ送り返さないということを含めた、「難民の地位に関する条約」「難民の地位に関する議定書」を中心とする一連の法体系)です。

こうした条約などの規範に加えて、全ての人に共通して確保されるべき事項として、以下の二つが重視されています。被災者保護の責務を負うのは第一に国家ですが、国からの保護が受けられない人、紛争や大地震による被害者の数が膨大で国家としての対応能力を超えてしまっているような場合は、国家による保護活動の補完的な位置づけとして、国際機関やNGOが支援活動を行うことに大きな意義があります。

 

①尊厳ある生活を営む権利

…生命・自由及び安全が確保されること、十分な生活水準が保障されること、拷問又は残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱いまたは刑罰からの自由。

②非差別原則

…人種、皮膚の色、性別、言語、宗教又は信念、政治的もしくはそのほかの意見、国籍・人種もしくは社会的出自、法的もしくは社会的地位、年齢、障がいの有無、財産、家系、その他類似の基準に関わらず、平等な支援を提供することが求められる。

 

〔3〕対象別の論点 ~子ども・女性・障害者を中心に

 
「プロテクション」は、主に3つのカテゴリー、つまり物理的な保護(基本的な自由があり、身体の安全が確保されている状況)、社会的な保護(物質的なニーズ、教育、健康等が保障されている状態)、法的な保護(権限のある当局に登録がなされ、その場所での滞在が認められている状態)に分類することができます。

また、支援の実践においては「プロテクション」は二通りの捉え方があります。広い意味では、特定のプロジェクトを指すということではなく、食料配給や衛生状態の確保といった個々の事業の実施に権利保護の考え方を入れ込むことで、全体として支援を受ける人たちの権利が確保され、社会的に弱い立場におかれている人々も食料配給等からもれずに、保護されている状況を目指すものです。一方で狭い意味で用いる場合には、弱者保護といった文脈や、法的な保護を指すことが多くなります。

ガイドラインの「3.各論」(p8~)では、人道支援の現場でとりわけ配慮されるべき対象別に、その特徴やどのような保護が必要なのかについて、根拠となる条約の条文等も示しながら解説しています。ここでは文字数の関係から、子ども・女性・障害者の部分のみ抜粋する形で紹介します。そのほか、高齢者、難民、社会的少数者が対象として挙げられています。

 

1)子ども

子どもは、身体的にも精神的に未熟であるため、法的保護を含めて特別な保護及び世話を必要となります。特に注意を要する子どもたちとして、親や保護者と離ればなれの子ども、障がいを持つ子ども、以前子ども兵士であった子ども(女子も含む)、子どもだけの家族が挙げられます。なお、国際法では子どもを18歳未満と定義していますが、通常は国内法が優先します。
 

▽子どものために守られるべき事項

①家族と一緒にいること
(本人の意志に反して家族と引き離されないこと、引き離されている子どもと親が再び出会えるようにすることなどである。もちろん、子どもが虐待されている場合はこの限りではなく、適正な手続きの上で、子どもを保護する必要がある)

② 教育を受ける機会が確保されること

③ 性的暴力・虐待に遇わないようにすること

④ 働かせないようにすること(強制労働・搾取からの保護)

⑤ 物理的な危険(紛争、暴力)からの保護

⑥ 戦闘行為全般に関与させないこと

⑦ 援助から子どもが漏れないこと

⑧ 感染症にかからないようにすること

⑨ 人身売買されないこと(養子縁組の際も注意すること)

⑩ 国籍を否定されないこと(特に難民の場合)

⑪ 子どもの声がプログラムの策定に反映されること/子どもの最善の利益が考慮されること

 

2)女性

女性に対する差別は広範に存在しており、窮乏状況では女性が食料、健康、教育、雇用のための訓練及び機会、他の必要なものを受ける機会が最も少ないという状況があるため、特別の保護を必要であるとしています。特に配慮が必要なのは、1人きりの女性、家長である女性(特に最近家長になった女性)、障がいを持つ女性(もともと家の外で活動をすることがあまり無く気づかれない場合が多くあること、女性の特有の病気の存在が公に語られることをよしとしない、問題が表面化することが滅多に無いなど、援助関係者の間で気付かれない可能性も高いこと、加えて家庭の内外での暴力、性的な搾取等にさらされやすい)、性的暴力を受けた女性、妊娠中の女性であるとしています。
 

▽女性のために守られるべきこと

①教育を受ける機会が男性と同様に確保されること。
(家族の健康及び福祉の確保に役立つ特定の情報も提供すること)

②性的暴力・虐待に遇わないようにすること

③ 働く機会を確保すること

④ 物理的な危険(紛争、暴力)からの保護

⑤ 援助から女性が漏れないこと

⑥ 人身売買されないこと

⑦ 保健において差別されないこと
( 保健サービス(家族計画を含む)において、女性が差別されないようにすること。

⑧ 女性の声がプログラムの策定に反映されること
(プログラムの策定にあたり、女性の声を聞くような機会を設けること、女性の参画する機会、質を高めていくこと。(できれば、会合の50%が女性であることが望ましい))

 

3)障がい者

障がい者は、先天性であってもそうでなくても、身体的または精神的能力にハンディがあることから、日常生活を自身で送ることに困難がある人を指しています。特に人道支援を必要とする地域では、紛争、地雷、地震などによって、新たに障がいを持つ人たちが生み出されてしまう現状があります。中でも特別に注意を要するのは、社会的弱者の人たち(女性、子ども、マイノリティ、高齢者など)の中で、さらに障がい者である人たちです。複合差別によって、より弱い立場におかれることがあるため、特に配慮が必要です。

▽障がい者のために守られるべきこと

① 搾取、差別的虐待、過酷な取扱い等から守られること。

② コミュニティの一員として暮らし、社会的活動に参加する権利が確保されること。
(コミュニティの中で障がい者のみが隔離されず、障がいがない人とともに暮らし、社会的な活動に参加していけるよう確保する)

③ 支援への平等なアクセスを確保すること。
( 障がいのある人が、障がいを理由に支援から排除されず、適切な安全な水、食料、衣料、住居が提供され、個々の障がいのニーズに応じた支援が受けられるよう確保されること)

④ 社会の中において不当な差別を受けないこと(就職、結婚等)

アーカイブ