<備え再点検>災害時の安否確認 複数の連絡法、体験を

<備え再点検>災害時の安否確認 複数の連絡法、体験を
(東京新聞 2016年5月23日)

 熊本地震では、電話がかかりにくかった東日本大震災の教訓を受け、スマートフォンなどを使ったインターネット上での安否確認が注目された。近年は通信各社などが提供する災害用サービスも増え、防災の専門家は「複数の連絡方法を持っておくことと、家族で事前にルールをつくっておくことが大切」と説く。 

 東京都の女性会社員(27)は四月十四日の地震後、会員制交流サイト(SNS)の一つ「フェイスブック」の機能を使い、熊本市の友人にメッセージを送った。すぐに無事を知らせる返信があり、女性は「家族の安否も分からなかった東日本大震災とは大違い。安心しました」と振り返った。

 総務省の調査では東日本大震災の際、最初に連絡を取ろうとした手段が固定電話と携帯電話だった人は、計70・9%。しかし電話が普段と同様につながった割合は12・9%だった。多くの人が「かからない」状態を経験。被災地に電話が集中すると通信が制限されることも知られ、電話を控える意識が広がった。

 熊本地震の被災地でも、NTTが公衆電話を無料化したのに加え、インターネットに接続できるよう、通信各社が公衆無線LANやWi-Fiを各地で無料で使えるようにした。SNSではこうした情報や、携帯電話会社が提供する「災害用伝言板」についての情報などが拡散された。

 しかし「南海トラフなどより大規模な地震では、SNSやメールが使えないことも想定しておいた方がいい」と、全国学校安全教育研究会顧問の矢崎良明さんは言う。大規模停電や、携帯電話の基地局が被災する恐れもあるためだ。
 東日本大震災後、保護者向けに一斉配信メールの導入を進めた学校も多いが、矢崎さんは「百パーセント確実と考えないで」と注意する。

 災害の発生が子どもの在校時かどうかで、情報を伝える相手や内容は違うが「例えば家庭で保管する子どもの『引き取りカード』に、災害時の迎えのルールを載せたり、町内会の掲示板に呼び掛けの紙を張ったりと、アナログ的な連絡方法と併用することも必要」と話す。

 同様に家族の中でも、複数の連絡方法を知っておくことは重要だ。現在は災害時用の多様なサービスがあるが、矢崎さんは「公衆電話からも携帯電話からもかけられる災害用伝言ダイヤル(171)は、練習しておくといい」と勧める。毎月一・十五日などに体験でき、利用には自宅や安否を知りたい相手の電話番号を入力する必要がある。ほかのサービスも利用体験日がある。

 一方、危機管理アドバイザーの国崎信江さんは「安否確認の連絡が、避難の妨げになってはいけない」と強調する。大地震の後には津波や火災、土砂災害の恐れもある。「たとえすぐに連絡が取れなくても『家族は大丈夫』と信じられるように、日ごろから避難場所や行動などを確認し合っておくことが大切です」

http://www.tokyo-np.co.jp/article/event/kyoiku/list/2016/CK2016052302000182.html

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