『2017年度女性・地域住民から見た防災・災害 リスク削減策に関する調査』報告が公開されました

全国知事会による2008年度『女性・地域住民からみた防災施策のあり方に関する調査』から10年。
2017年度に再び、同様の質問項目で『2017年度女性・地域住民から見た防災・災害リスク削減策に関する調査』が行われました。この間、日本は、東日本大震災をはじめとして多くの大災害を経験しました。

いま、地方自治体の防災・減災対策に、ジェンダー・多様性の視点はどれほど活かされているのでしょうか。

2017年度調査は、大沢真理さん(調査当時、東京大学・教授)と、2008年の調査も企画された前千葉県知事の堂本暁子さんが中心となり、当センターの両共同代表も調査票の作成と調査結果の分析に参加しました。池田は調査報告書の本文の執筆にも、浅野は用語解説の執筆にも参加しました。

内閣府男女共同参画局と全国知事会の協力のもとに、全都道府県と全市区町村を対象に実施され、全都道府県・1171市区町村から回答を得ています。2017年の現状を把握するだけでなく、2008年度調査と比較して変化を理解し、今後の課題を探ることができます。

調査結果は、2019年2月1日(金)に、東京大学社会科学研究所第30回社研シンポジウム「2017年度自治体調査の結果から」認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク(NPO法人WAN)で報告され、当センターの両共同代表も発表の時間をいただきました。

また、シンポジウム要旨と2017年度調査の分析結果は、大沢真理(編)『防災・減災と男女共同参画:2019年2月1日第30回社研シンポの要旨;「2017年度女性・地域住民から見た防災・災害リスク削減策に関する調査」報告』(社会科学研究所研究シリーズNo.66)(ダウンロード可)にまとめられています。

2008年度調査と2017年度調査を比較すると、この間、全体として大きな改善があったことがわかります。

例えば、市区町村の地方防災会議の女性委員比率は増加し、女性委員がゼロの自治体は61.5%から23.8%に減少しました。避難所運営指針を策定している自治体は26.2%から77.0%に増え、作成にあたって男女共同参画部署と連携した市区町村は1.4%から17.5%へ、都道府県は23.4%から48.9%へと増えています。

また、避難所運営指針で設置する設備として、更衣室(7.7%から53.1%へ)、授乳室(5.9%から48.2%へ)、トイレ各種(男女別、ポータブルなど)(6.8%から48.2%へ)を挙げる市区町村が大幅に増えています。備蓄物資についても、乳幼児や高齢者、女性のニーズにあった物資の備蓄が、軒並み大きく改善しています。

一方、2017年度の調査で、避難行動要支援者や要配慮者に乳幼児・妊産婦を含めていない自治体は多く、セクシュアルマイノリティを含めている自治体はごくわずか(要配慮者に含めている市区町村は10.3%のみ)でした。役員に1人も女性がいない自主防災組織の比率について無回答の市区町村が39.2%もあり、回答した712市区町村で女性役員ゼロの自主防災組織が42.0%に上りました。

興味深い点は、地域防災計画や避難所運営指針の策定で男女共同参画部署と連携し、または地方防災会議の女性委員比率が高い自治体ほど、避難所運営の指針でも備蓄物資でもジェンダー・多様性の視点が格段に反映されていることが調査結果から明確になったことです。政策決定段階での女性たちの参画がいかに重要であるかわかります。

人口規模と高齢化の進展状況も影響を与えているようです。人口規模が大きい自治体ほどジェンダー・多様性の視点による取り組み進んでいます。しかし、四国に代表されるように、人口規模にかかわらず進捗状況がよい地域もあることから、一概に人口規模の問題とは言い切れません。

高齢化率も影響していることもわかりました。高齢化が進んだ自治体でジェンダー・多様性の視点による取り組みは進んでいない傾向があります。例えば高齢者用のおむつがサイズ別に備蓄されている自治体は、高齢化率が高い自治体で少なく、高齢化率が低い自治体で多いという矛盾した実態が明らかになっています。

2008年度調査から大きく改善はあったとはいえ、まだまだこれからの部分も多くあります。今後は、ますます危機管理部署と男女共同参画部署・団体の連携を促進し、また小規模自治体・高齢化が進んだ自治体向けに施策を導入するための支援策が必要になるでしょう。また、計画や指針に記載されたことが実際に災害時に実践されるよう、運用する人々の体制が重要になってきます。

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