「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」をテーマに、1回目の公開研究会が行われ(8月3日、東京・田町)、ジェンダーの視点から災害・復興に取り組む多様な立場の方々が約20名参加されました。講師は、同テーマで調査を行った旧東日本大震災女性支援ネットワーク調査チームの吉浜美恵子さん・ゆのまえ知子さん・柘植あずみさんが担当しました。
研究会の冒頭で、まず災害時における性に基づく暴力の加害と被害の実態について、調査結果の概要が報告されました。DV(ドメスティックバイオレンス)、そのほかの性暴力などの発生の傾向について紹介がありました。災害前からあったDVが悪化したり、再開したりする事例がみられること、性暴力が避難所の居住スペースでも起こっており、被害者の年齢は未成年から60歳以上にまで広がりがあることなどが紹介されました。
その後、参加者は、グループに分かれ、実際の事例を読みながら、なぜ災害における暴力が起こり続けるのか、また必要な防止の対策と対応は何かなどについて話し合いました。避難所のスペース活用や、相談体制の整備などが大切ですが、その一方で、日常から弱い立場にある人の状況が第三者に知られてしまったり、立場がさらに弱くなったりすることが、暴力の発生につながっていることも防止の対策で考慮しないといけないことが、議論されました。
災害時の暴力を抑制したり助長したりする要因について議論する参加者
なお、この研究会では配布資料はありません。また第1回研究会報告のきかっけとなった調査報告書『東日本大震災「災害・復興時における女性と子どもへの暴力」に関する調査 報告書』(2013年、東日本大震災女性支援ネットワーク調査チーム編)の印刷冊子は在庫がありません。ただし、年内に当センターの協力者であるオックスファム・ジャパンのウェブサイトからダウンロードしていただけるようになる予定です。