11月上旬、釜石を訪ねる機会がありました。被災地の現状についてお話を聞き、復興工事の現場も見て回りました。一昨年に町の中心にイオンタウン釜石がオープンし、建設現場ではひとやもの、お金が集中していますが、水産加工業や飲食業などの地元の中小・零細企業は引き続き人手不足の状況のようです。
また、復興公営住宅の建設が進む中、復興公営住宅での自治組織づくりなど新しいコミュニティづくりをどう支えるのかや、復興公営住宅と近隣の住民との交流の場づくりといった課題や、入居が遅れ仮設住宅に残される人たちの焦燥感など、被災者の方たちが置かれた状況に差が出る中での問題もあるようです。
市の中心部の協会敷地内に拠点を置き、地域に根差して被災者支援を続ける特定非営利活動法人カリタス釜石では、複数の仮設住宅でサロン活動を継続して来ましたが、今後、復興公営住宅でのコミュニティ形成支援にも力を入れようとしているとのことでした。
カリタス釜石は、サロン活動や見守り活動に加えて、敷地内にオープンスペース「ふぃりあ」を設け、近隣住民へのサービスや憩いの場、さらには孤立防止の為に開放しています。男性の孤立といった課題も受けて、男性向け料理教室の開催なども行ったそうです。
また昨年、個人や団体が自由に出入りし、休憩や打合せ、コワーキングスペースとしても利用することができるみんなのスペース「ぷらざ☆かだって」をオープン。特定非営利活動法人アットマークリアス NPO サポートセンターとの共同運営で、パソコンと Wi-Fi も完備してインターネットを楽しめます。さらに、さまざまなイベント・セミナー等も開催するなど、釜石の地域復興と、暮しをめぐるさまざまな課題に目配りをしながら、細やかな取り組みをつづけています。
なおカリタス釜石さんでは、漁業者の復興を応援するため、三陸わかめの販売をしています。売り上げは地域の復興事業にも使われるそうです。
カリタス釜石のみんなのスペース「ぷらざ☆かだって」でスタッフのみなさんと
市の中心部から車で30分ほど離れた、海沿いの地域に古くから暮らす女性リーダーにもお話を伺いましたが、高齢化が進む中でもさまざまなアイディアを出しながら、地域の交流や漁業を盛り上げようと奮闘している様子が伝わってきました。数は少ないものの、フルタイムで働いている20代の女性もできる範囲で地域活動を手伝ってくれたり、30代40代で力を発揮している女性漁業者もいるとのお話もあり、こうした女性たちがより一層活躍できる環境づくりがいかに重要かを改めて感じました。