「災害時の連携を考える全国フォーラム」と「団体力パワーアップ講座」

東日本大震災の経験から理解された災害対応の課題の一つは、被災者支援活動をより円滑にサポートし、支援の漏れや偏りを起こさないためには、全国域の災害対応ネットワークが必要だということです。行政と民間団体、民間団体同士の連携をつくり出し、情報の共有と支援の調整をするための仕組づくりが必要とされています。

平常時から、被災者支援を行う関係者が、市民セクター間(NPO・NGO、災害ボランティアセンター等)で、また産官民(経済界/国、県の対策本部など)等のセクターや地域の災害対応ネットワークを越えて連携を強化促進し、お互いを理解しておくことが必要とされています。また、大災害時には、支援活動の全体像を把握し、支援を調整する機能が求められます。災害前から、これらの連携体制の議論が進んでいれば、より有益かつ迅速な支援活動が展開できます。

そのために、「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」が準備されており、立ち上げのための「災害時の連携を考える全国フォーラム」が、2016年2月12日(金)、13日(土)に東京都内で行われました。
(フォーラムのウェブサイトはこちら http://www.jvoad.jp/forum2016/ )

当センターは、その第6分科会「多様性に配慮した被災者支援:課題と展望」のパネルディスカッションに参加し、「女性に配慮した被災者支援の課題と展望」について報告しました。この分科会では、障害者、女性、外国人、高齢者などに配慮した被災者支援の課題と展望を各パネリストが報告し、「災害時において多様な人々が支援からこぼれない体制(取組・仕組み含む)」について議論しました。

東日本大震災では、とりわけ緊急期においては、女性対象の支援や男女共同参画の視点を持った支援を行うことすら難しかったという課題があります。その理由は、まだ男女共同参画や多様性の視点による災害支援の必要性や具体的な取り組みが周知されていなかったこともありますが、まさに、災害支援を行う行政や民間セクターと、男女共同参画の視点を持った支援者との連携がまったく築かれていなかったことも原因でした。状況は改善してきてはいるものの、現時点でも、「ボランティアセクターと男女共同参画セクターの連携が深まらない」、「防災の研修を受けた女性たちが自主防災組織・ボランティアセンターと繋がれない」、「行政の男女共同参画担当部署と危機管理部署、他部署の連携促進が遅い」という課題が見られています。また、セクシュアル・マイノリティの位置づけや、重なり合う脆弱性の扱い(例えば、ジェンダーと障害)も、まだまだ議論されていません。
 
ところで、このJVOADの設立準備とは別に、全国女性会館協議会が中心となって、「大規模災害時における男女共同参画センターの相互支援システム」も構築されつつあります。これは、全国の男女共同参画センター(女性センター)を結ぶ災害復興支援のためのネットワークです。災害時に男女共同参画の視点を持った支援、女性支援をスムースに行うための試みで、男女共同参画という一つのセクター内での広域連携を目指すものだといえます。

この動きに呼応する形で、個々の男女共同参画センターを拠点に一つの市内で活動している男女共同参加系の団体が、災害時の地域の被災者女性支援を想定して連携する試みも見られるようになって来ました。静岡市女性会館(指定管理者:NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか)では、2007年以来、災害・減災関係の講座を開催してきました。2016年1月31日には、「団体力パワーアップ講座 日頃の活動を現在に活かす」と題して、災害・復興時に団体の持つ力を活かして協力し、お互いの力を補い合える関係をつくるための講座を行いました。当センターのメンバーがファシリテーターを務め、女性会館の利用者団体がお互いをよく理解し、また団体の組織力を分析し、災害時の強みを発見するワークショップが実施しされました。

「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」と、「大規模災害時における男女共同参画センターの相互支援システム」は、その目的に共通する部分が多くあります。「災害時の連携を考える全国フォーラム」で「多様性に配慮した被災者支援」が重要な課題として取り上げられたことは、大きな前進です。これから築かれていく全国域の災害対応ネットワークでは、多様性への配慮は、専門技能を持った支援団体が行うだけではなく、すべての支援者に初期設定として組み込まれた発想でなければなりません。そのためにも、男女共同参画セクターとの連携は、ますます不可欠です。

災害ボランティア団体の間で、そして男女共同参画団体の間で、現在は別々の場所で行われている「災害時の連携」への試みが、相互に有効な形でさらに連携することが必要だと、強く感じました。

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