【熊本地震】被災地で肺炎患者2倍 避難疲労から免疫低下、細菌感染 口腔ケア呼びかけ

● 熊本地震】被災地で肺炎患者2倍 避難疲労から免疫低下、細菌感染 口腔ケア呼びかけ
(毎日新聞 2016年5月13日)

 熊本地震の被災地で肺炎患者が増えている。震度7の揺れに2度襲われた益城町と隣接する熊本市東区の熊本赤十字病院によると、1〜7日の肺炎の入院患者は26人となり、前年同期に比べて約1・9倍に増加。このうち約25%が避難所や車中泊を強いられたと同院はみている。死亡者はいないが、過去の災害でも避難生活の疲労による免疫低下と歯磨き不足から細菌による感染が広がっており、同病院は口腔(こうくう)ケアを呼びかけている。

 「やはり震災2週間後に増えてきた」。帖佐(ちょうさ)俊行医師(総合内科)は8日、避難所から救急搬送された80代女性の治療にあたった。女性は地震後、余震を恐れて避難所に身を寄せ、夜は車中泊。歯磨きは減り、「夜はゆっくり眠れなかった」と疲れで免疫が低下したことが肺炎につながったと帖佐医師はみる。

 同院によると、4月17日〜5月7日の肺炎の入院患者は35・8%増の72人だった。多くは65歳以上の高齢者で、口の中の細菌が唾液などと一緒に気管や肺に入る「誤嚥(ごえん)性肺炎」を引き起こすケースが目立った。帖佐医師によると、水や食事でむせたり、微熱が続いたりするのが肺炎の前兆という。予防法は歯磨きだが、歯ブラシがなければ食後の水やお茶のうがい、ハンカチやガーゼを指に巻いて歯の汚れを取るのも効果があるという。

 避難所で口腔ケアや唾液の分泌を促す体操を指導してきた九州看護福祉大(玉名市)の淀川尚子准教授は「避難所では口が乾燥しがち。あご下にあるツボを両手の親指で押すと自浄作用のある唾液が出やすくなって肺炎やインフルエンザの予防にもなる」と話す。

 阪神大震災では地震後に肺炎で亡くなる事例が相次いだ。阪神では震災関連死の922人のうち、24・2%にあたる223人が肺炎で亡くなった。東日本大震災でも、被災した福島県相馬、南相馬の両市で、震災後1カ月で75歳以上の高齢者の死亡率が震災前の同期比約1・5倍に増えたという研究成果を相馬中央病院(相馬市)の森田知宏医師(内科)のチームがまとめた。死因は肺炎が最も多く、男女とも約3割を占めた。森田医師は「口の中の衛生状態を清潔に保てなかったことが要因の一つ。熊本地震の被災地でも同様の傾向が考えられるので注意してほしい」と指摘する。

http://mainichi.jp/articles/20160513/ddl/k43/040/344000c

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