避難所運営「車中泊」も検討 熊本地震検証、県が防災計画見直し
(中日新聞 2016年7月29日)
四月に起きた熊本地震で、被災者が自家用車で寝泊まりする「車中泊」や、支援物資が被災者に届きにくかった問題を受け、県は、「避難所運営マニュアル」をはじめ各種防災計画を見直す。本年度中に具体的な検討を始め、二〇一七年度に実行する。
熊本地震で、県は職員や医師ら延べ五百四十八人(警察官を除く)を被災地に派遣。避難所の運営や保健衛生業務、家屋の応急危険度判定を支援した。
このうち、職員八十五人やボランティア団体にアンケートし、寄せられた課題をまとめた。
それによると、収容能力を超える被災者が避難所に集中。車中泊やテント泊を余儀なくされ、エコノミークラス症候群も多発した。支援物資が行き渡らないケースも目立ち、「弱者ほど車中泊を選ぶ傾向が見られた」「避難所が使えない場合を想定した代替場所の検討をすべきだ」との意見が寄せられた。
「避難所運営マニュアル」は、被災者の受け入れ方法などを定めたルールで、新たに車中泊も加える。熊本地震では、車中泊している人数、場所が正確に把握できなかった反省を踏まえ、あらかじめ車中泊できる場所を確保することも市町村と検討する。
熊本地震で、国は初めて支援要請を待たずに物資を届ける「プッシュ型支援」を実施した。
県の見直しでは、民間の物流施設の活用を含めた物流体制の整備を検討し、備蓄物資の買い増しも進める。
熊本地震では熊本県宇土市など五市町で、防災拠点となる庁舎が損壊し、罹災(りさい)証明書の発行が遅れた。
二十七日にあった県防災対策有識者懇談会で、福和伸夫・名古屋大減災連携研究センター長は「証明書がすぐ発行できるかは、それまでの準備で決まる。体力的に苦しい町村を県が応援できるかが、今回の教訓」と指摘。県は「市町村をサポートする人的支援策を検討する」と述べた。
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20160729/CK2016072902000046.html