<震災6年>孤独死 被災3県243人
(河北新報 2017年03月04日)
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201703/20170304_13042.html
東日本大震災で大きな被害を受けた岩手、宮城、福島3県の被災者が入居するプレハブ仮設住宅と災害公営住宅で、誰にもみとられずに亡くなる「孤独死」が2016年末までに計243人に上ることが3日、河北新報社の取材で分かった。性別が判明した197人のうち男性は142人と7割を占め、女性(55人)の2.6倍に上った。
孤独死の定義はなく、被災3県の自治体と各県警に「1人で暮らし、住宅内で死亡状態で見つかった人」の数を問い合わせた。
孤独死243人の県別内訳は宮城114人、福島75人、岩手54人の順。「個人情報」に当たるとして、仙台、気仙沼両市などは性別と年代を非公表にした。
住居別では仮設住宅が全体の8割超の211人、災害公営住宅は32人だった。仮設住宅は入居者の退去が進んでおり、年間の孤独死数は16年に震災後初めて前年を下回った。入居が本格化している災害公営住宅では、孤独死が増加の一途をたどっている。
仮設住宅での孤独死211人の内訳は宮城95人、福島72人、岩手44人。震災後漸増傾向にあり、15年に最多の49人に達したが、16年は一転して23人に半減した。入居者がピーク時の約3割に当たる3万7759人(16年12月末現在)に減少した影響とみられる。
災害公営住宅では13年以降の4年間で、32人の孤独死が確認された。県別では宮城19人、岩手10人、福島3人。入居世帯数が16年12月末時点で2万を超え、入居者数の増加に伴って孤独死も増え、16年は前年より6人多い17人だった。
災害公営住宅を所管する自治体別に見ると、仙台市が6人で最多。大船渡、気仙沼、石巻、いわき各市など9自治体が各2人。年代と性別が判明している24人のうち、60~80代が20人を占めた。男性は女性の2倍超だった。
兵庫県立大防災教育研究センター長の室崎益輝氏は「入居が本格化している災害公営住宅でも住民の見守り体制を構築することが大切だ。被災者自身が自らを守る意識を高めなければならない。孤独死対策は地域力が問われる」と述べた。