住民理解へ周知徹底を 避難所運営マニュアル県が作成
市町村でも策定、見直しへ 「被災者の意見を反映して」 [熊本県]
(西日本新聞 2017年09月14日)
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/kumamoto/article/358363/
県が作成した避難所運営マニュアルは、昨年4月の熊本地震で浮かんだ課題を踏まえ、避難所のレイアウト例を示すなど実践的な内容を盛り込んだ。地震発生当時、県内で避難所運営マニュアルが無かった市町村は23に上る。今後は市町村でも策定や見直しが進むと見込まれ、混乱のさなかで運営を担った当事者からは、住民の理解醸成や、被災者の意見を採り入れ、次の災害への備えをより充実するよう求める声が上がる。
昨年4月、震度7を2度観測した益城町の益城中央小体育館には被災者が押し寄せた。館内は避難者をまたがないとトイレにも行けない状態に。運営の中心になった吉村静代さん(67)は「通路を作るなど『区画整理』しなければいけなかった」と振り返る。
同小では同8月までの約4カ月間、避難者主体の運営が行われた。吉村さんは「自ら運営したことが、その後の自立につながった。住民が事前にマニュアルの内容を理解して、自主的に動けるよう周知を徹底してほしい」。
被災地では、主に障害者や高齢者らを受け入れるはずの福祉避難所に、対象外の被災者が詰めかける事態も起きた。他の避難所に入れなかった障害者約60人を受け入れた熊本学園大(熊本市)で運営を担った花田昌宣教授は「福祉避難所の役割について住民の理解が不十分で、さらに深める必要がある」と強調する。
マニュアル作成を巡っては、高知県では南海トラフ地震を想定し、自主防災組織単位で実施するなど住民参加を進めている自治体もある。花田さんは「マニュアルを住民で作り上げるプロセスがあるといい」と注文した。