令和6年能登半島地震の女性の経験と思いに関するヒアリング調査

「彩りあふれる能登の復興へ 令和6 年能登半島地震の女性の経験と思いに関するヒアリング調査」報告書を発行しました。

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1月1日に能登半島地震が発生し、関連死も含めて240人以上の命が失われました。厳しい状況が続いていますが、被災された方々への支援と並行して、石川県及び各地の自治体では、復興計画が策定されつつあります。

女性たちがどのような経験をしてきたのか、どのような復興の姿が望まれているのかを明らかにし、その学びを復興過程に反映するためには、女性たちの参画や声の可視化が重要となります。

当センターは、フラはなの会(地震後に結成された能登の女性のネットワーク)、公益財団法人 ほくりくみらい基金公益財団法人 みらいRITA YUI みらいプロジェクトと協働でヒアリング調査を行いました。

以下の課題が浮かび上がってきました。

1. 避難所の運営において、女性や多様な人々のニーズが十分に把握されていなかった

2. 炊き出しなどの労働は、主に女性が、長時間にわたり、無償で担っていた

3. 震災の影響のみならず家族・親族のケアのために出勤できず失職した女性がみられた

これらの課題の根底にあるのは、

●住民組織の長に女性が圧倒的に少なく、平常時から女性が発言しにくい状況があったこと

●無償ケア労働(家庭内で無償で行われる、家事・育児・介護・看護などの「ケア」にまつわる労働)の女性への著しい偏り

●それを「当たり前」とする平常時からの固定的な性別役割分業意識

でした。

ヒアリング調査から、以下の点を提言します。

1.  復興の計画委員、実施モニタリングの委員等、復興計画の策定や実施にかかわる場では、女性を男性と同数とすること。女性が意見を言いやすいよう、必要に応じて、復興女性会議など女性だけが議論できる場も設けること

2.  復興計画策定と施策の効果の確認は、男女別データの収集及びその分析に基づき行われること

3.  「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」(内閣府)に基づく研修と同ガイドラインの活用を平常時から行い、防災・災害対応における男女共同参画の視点の導入を徹底すること。また、発災時の役割分担を踏まえた行政、社会福祉協議会、住民組織、支援者の連携体制を強化すること

4.  地震により、心身の負担が増している行政職員、民間支援団体関係者、被災者自身のケアのための取り組みを行うこと

5.  女性の健康、安全、尊厳に係る相談窓口の充実、支援者の横断的な連携体制の強化をすること

6.  地震の影響による離職、失業、就業形態の変化などについては、男女で差があることを前提とし、これ以上男女差を拡大させず、むしろ縮小させるため、女性の雇用を確保すること。 特に、貧困化しやすい母子世帯の就業・支援策を導入すること。また、需要の高い建設業やデジタル分野の女性のスキルアップを行うこと

7.  子育て・介護サービスの復興を優先課題とすること。また、被災者はもちろん、被災地や二次避難先で被災者を受け入れる親族の無償ケア労働を把握したうえで、負荷を軽減すること

8.  思春期・若年世代を災害時における脆弱性の高いグループとして明確に位置づけ、男女別にニーズを把握し、相談や居場所づくりなどの支援策を事業化すること

9.  外部の支援団体や、U/Iターン者の有するネットワークを活かしつつ、女性たちが参画しやすく、イノベーティブな発想で復興の取り組みを創出するための市町横断の場づくりや、伴走支援を行う中間支援組織を設立すること

10. 性別や年齢、言語・文化的背景を問わず、だれもが情報にアクセスできるよう、わかりやすい情報の周知と、発信ツールの多様化をすると共に、各種手続きの簡略化や申請支援をすること。

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