【熊本地震】「笑」を入れて…LINEでつながる子どもたち

【熊本地震】「笑」を入れて…LINEでつながる子どもたち
(毎日新聞2016年5月7日 11時18分)

 「家ぶっ壊れました笑」「しぬなよ笑」−−。熊本地震の被災地では、子どもたちが学校の再開を待ちながら、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を通じて友人たちとのつながりを保っている。互いを案じるメッセージや、被害をちゃかしたようにみえる表現には、被災後の生活に不安を抱える親には打ち明けられない子どもたちの本心が垣間見える。

 「俺ねー多分部活せんかもしれんもん笑笑」。熊本県西原村の自宅が全壊し、中学校の避難所で寝泊まりする県立熊本商業高1年、田上孝太郎さん(15)はラインにそう書き込んだ。

 4月16日未明のマグニチュード(M)7.3の地震直後、ラインでつながる友人たちから安否確認が相次いだ。「みんなだいじょーぶ?」「エグい角度で傾いとる。笑」。「笑」を入れるのは、相手が深刻にならないよう気遣ってのことだ。

 田上さんは高校で入ったばかりのサッカー部をやめてアルバイトをしようと考えている。自宅再建のためユニホーム代など部活の費用は親の負担になると思うからだ。「部活せんかも」と書き込んだ1分後、女子から返事が届いた。「部活したらたいへんだもんね泣」。苦境を知る親友ならではの言葉だと感じた。

 友人とのラインに「救われた」と話すのは益城(ましき)町で被災した私立高校1年、藤本暉人(あきと)さん(15)だ。16日午前3時40分ごろ、いつもは冷たい態度だった同級生からメッセージが何通も届いた。「おいあきと」「マジ返信して」「たのむけん」。藤本さんが気付いたのは同日夕だった。「いつもは威張っているヤツ。でも本気で心配してくれてめちゃくちゃうれしかった」

 別の友人には「死ぬかておもった」との一言を添え、物が散乱した自室の写真を送った。自宅駐車場で車中泊していて、小さな余震でも「また来るのかな」と怖い。「俺、あんまり弱音とか吐かないんです。怖いとか嫌だとか。でもラインなら素直に言える」と言う。

 避難所の益城町立飯野小学校で4月24日、肩を並べて壁に寄りかかる中学3年の奥村朋佳さん(15)と秋月美柚さん(14)がスマホをのぞき込んでいた。「いまなんしよる」。メッセージが画面に浮かんだ。別の避難所にいるバレー部の仲間からだ。14日の地震以来、2人はほとんど同年代の子に会えていなかった。奥村さんには小さいきょうだいもいるため、避難所では愚痴も吐けない。でも「友だちとのラインなら、絵文字も使って素直に言いやすい」という。

 「なんも、そっちは」とメッセージを返した。その後もたわいない言葉が飛び交う。「これがあるから友だちとつながっていられる」。教室の片隅で、奥村さんは小さくほほ笑んだ。

http://mainichi.jp/articles/20160507/k00/00e/040/161000c

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