最も有効だった通信手段は?  「熊本地震被災地における避難状況およびニーズ調査」

最も有効だった通信手段は? 
「熊本地震被災地における避難状況およびニーズ調査」
(共同通信 2016年5月18日)

 熊本地震から1カ月経過したが、なお余震が多発しており、多くの人が今なお不安な日々を過ごしている。もちろん、これは他人事ではない。サーベイリサーチセンター(東京)が東京大学総合防災情報研究センターの監修でまとめた「平成28年(2016年)熊本地震被災地における避難状況およびニーズ調査」は、いざ自分が被災した際、どのような行動を取れば良いかなど、参考になる貴重な調査結果といえそうだ。

 この調査は、益城町災害対策本部に了承のもと、町内の避難場所で生活している人を対象として、4月14日の前震発生以降の被災と避難の状況、避難場所での生活ニーズ、今後の居住意向などを探ることを目的に実施した。有効回答数は327で、このうち益城町居住者は301となっている。

 まず、建物に関して。「家屋が倒壊した」は4月14日の前震発生時で8.0%だったものの、本震発生時は19.3%と10ポイント以上増加。4月16日の本震発生時では、「家が倒壊した」が旧耐震基準である昭和56年5月以前の家屋で35.0%と、昭和56年6月以降の新耐震基準の家屋(12.6%)と比較して高くなっている。なお、4月14日の前震発生時には、新耐震基準と旧耐震基準で差はみられないが、「家が傾いた」は旧耐震基準が32.0%、新耐震基準が18.3%。さらに、旧耐震基準の建物では前地震の際に、およそ5人に1人が「けがなどの人的な被害」があり、大地震が起きた際、旧耐震基準の家は注意が必要だ。

 さて、地震が起きた時に、まずは家族の安否を知りたいもの。そこで、通信手段について聞くと、14日の前地震後に利用しようとしたのは「携帯電話・スマートフォン(音声)」が59.3%、「携帯電話・スマートフォンのメール」が28.4%、「フェイスブックやライン等のSNS」が19.3%となった。このうち、「常に利用できた」は「フェイスブックやライン等のSNS」が81.0%と高い結果に! 利用者は全体の2割にとどまりながら、SNSが災害発生時の有効な連絡手段になると実証された。16日の本地震後でもSNSは同様の傾向を示しており、これはぜひ、覚えておきたい。

 熊本地震では、屋外での避難が注目されたが、前地震後の14日夜間に屋外や車中で不安な一夜を過ごしたのは6割以上、15日夜間と16日本震発生時に「自宅内」に戻った人はいずれも約2割にとどまっている。15日の日中のみに限っても、自宅に戻った人は3人に1人だけだった。ちなみに、避難した人は「屋内」、「屋外・車中」を合わせて83.8%、本震発生後では「屋内」、「屋外・車中」、「すでに避難していた」を合わせて95.1%と大半が避難していた。いずれの地震とも避難した理由は、「余震が続き自宅内にとどまることが危険だと判断したから」が4割以上、「家族で避難を決めたから」、「自宅の被害が大きかったから」が3割以上となった。

 14日の前震発生後、屋外・車中に避難した理由は、時間の経過にしたがって減少しているものの、「屋内だと地震の揺れに対して不安だから」が最も高い。他方、「屋内の避難場所だとプライバシーが保たれないから」、「屋内の避難場所がいっぱいだったから」、「屋内の避難場所だと周囲に気兼ねして休まらないから」の割合は時間の経過とともに高くなっている。屋外や車中への避難は地震の揺れだけではなく、屋内避難場所の生活環境も背景にあるようだ。

 避難生活での不便、不満は、「洗濯」(55.4%)、「風呂」(45.6%)、「眠れない」(41.0%)が4割以上! 健康状態の悪化を感じる人も約3割にのぼった。現在の不安については、「地震の終息の見通し」(70.0%)が抜き出た1位に。以下、「ライフライン(電気・水道・ガス・電話・交通機関など)復旧の見通し」(42.8%)、「壊れた家や家財の処分方法や手続き」(41.0%)、「仮設住宅の建設時期」(38.5%)、「がれきの撤去」(30.3%)、「後片付けの人手不足」(27.2%)と続く。また、ライフラインの復旧や仮設住宅などに関して行政に望む声が多い。

 当面の住まいについては、公営住宅や仮設住宅など自宅以外と考える人が5割以上、「わからない」との回答も約1割。仮設住宅については8割以上の人が早く建設してほしいと望んでいる。

 最後に、益城町居住者に対し今後の居住地を聞くと、「町内の同じ場所に住み続けたい」が77.4%、「町内の別の場所に移りたい」が10.3%で、合わせて9割近くが今後も益城町内での居住を希望していた。

 熊本地震でお亡くなりになった方のご冥福をお祈りするとともに、早く復興が進みますよう祈念致します。

調査結果の概要は↓
http://www.surece.co.jp/src/research/area/pdf/kumamoto_press2.pdf

http://www.kyodo.co.jp/mamegaku/2016-05-18_1546266/

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