12月16・17日と、男女共同参画・多様性配慮の視点による防災対策を普及・啓発できる指導者を養成するための研修を、全国女性会館協議会と減災と男女共同参画 研修推進センターの共催により開催しました。
会場は大田区の 男女共同参画センターの学習室です。今年で3年目ですが、2日間の研修を終えた方には当センターの基礎教材のスライドを無償で提供させていただき、地域で活用いただくことにしています。
今回の参加者は、全国の男女共同参画センタースタッフ、NPO・ボランティアの中間支援組織スタッフ、地域で男女共同参画の視点による防災の普及に取り組んだり、自主防災組織で悩みながら活動している男女の若手リーダーなど12名で、熊本、新潟、広島と、被災経験のある地域からの参加もあったことから、熱い議論が交わされました。
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1日目の最初は〔1〕基礎知識として、市民、地域組織から行政職員まで、最低限知って欲しい知識について学びました。その際、特に自治会・町会、自主防災組織の男性リーダーのみなさんにも理解していただけるかどうかを一つの目標とすることで、幅広い普及に応えることが可能となるのではないか、と提案させていただきつつ、この教材を使って人前でお話をする時のポイントについてもお伝えしました。
つぎに〔2〕災害時の要配慮者支援ワークショップでは、災害時に脆弱とされる人の議論が、国際的議論と国内政策でどのぐらい違うのかと、国内の政策的な議論の経緯について説明したのち(災害弱者 → 災害時要援護者 → 避難行動要支援者&要配慮者)、模造紙とふせんを使って、一般的な小学校が避難所になったと仮定して、視覚障がい者、聴覚障がい者、肢体不自由者や車いすの人、慢性疾患の人(糖尿病・高血圧・えんげ障がいなど)、アレルギー疾患(喘息・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎など)、乳幼児・子ども、外国人、が、それぞれどのようなことに困るのかを考えました。
ワークショップ最後に、参考資料を配布しつつも、支援に関する知識よりも大事なことは、相手の立場に立とうとする気持ち、当事者に意見を求めようとするコミュニケーション力(当事者やその家族・支援者が答えを持っている)、当事者を主役として対等な立場で協働で課題解決していく体制をつくっていくことであることを確認しました。
1日目の最後〔3〕〔4〕では、地域防災活動がどのように取り組まれているのか、そこでの女性の位置付けと、女性が活躍できている地域の事例(組織体制の工夫を含む)、そして、各地の啓発事例をもとに、研修・講座のタイプや意義・効果について考えました。終了後は自由参加の情報交換会でおおいに盛り上がりました。
2日目は最初に、〔7〕で男女共同参画・多様性配慮の防災についての国際動向と国内政策について説明したのち、〔8〕では災害時の女性と子どもに対する暴力の実際と対策の方向性について学んだ上で、避難所に貼り出す暴力防止のポスターを作るワークショップを行いました。素晴らしいアイディアばかりで、災害時の実際の啓発に役立ちそうです!
午後、〔9〕では今回のメイン教材の一つである、当センター発行の『ワークブック』の教材の紹介を詳しく行いながら、短いワークを行いました。
最後に、〔10〕では、男女共同参画センターや女性センター等の防災上の役割(平常時・災害時ともに)について、内閣府男女共同参画局の指針等も踏まえて考えた上で、地域組織等との連携も視野に入れた今後の事業展開についてアイディアを出し合いました。
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男女共同参画の推進に平時から取り組むメンバーだけでなく、地域で活動する男性の防災リーダーやNPOの中間支援組織の方も参加くださったことで、幅広い議論ができました。
受講された方には、今後の各地での事業の実施や、講師としての活躍を期待しています。
(文責:浅野幸子)
<講師養成研修のプログラム>
1日目 (13:30~17:30)
〔1〕基礎知識~男女で異なる被災経験と対策の方向性~
〔2〕災害時の要配慮者支援ワークショップ
〔3〕地域防災の基礎と女性の活動状況
〔4〕研修の種類と対象、意義、効果
〔5〕質疑応答
〔6〕情報交換会(自由参加)2日目 (9:30~16:00)
〔7〕国際動向および国内政策と現状
〔8〕災害時の女性と子どもに対する暴力とその対策
〔9〕やってみよう!避難生活に関するワークショップ
〔10〕女性関連施設の役割とこれから
~プログラム&今後の取組みを考えてみよう!~
〔11〕質疑応答