「防災基本計画」(令和2年5月修正版)における男女共同参画・多様性に関する部分を抜粋しました

2020年5月に、内閣府男女共同参画局が「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」を公表しましたが、同時期に、国の「防災基本計画」も修正されました。「防災基本計画」全国の自治体の防災計画(地域防災計画)の内容に大きく影響しますが、ガイドラインで強化された記述も反映されているようです。

そこで、従来から記載されているものも含めて、あらためて国の「防災基本計画」における男女共同参画関連の記述を抜粋しましたので、参考としていただければと思います。

防災基本計画に関するウェブサイト

 

(文責:減災と男女共同参画 研修推進センター 共同代表 浅野幸子)

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「防災基本計画」(令和2年5月修正版)における
男女共同参画・多様性に関する部分の抜粋

 

第1編 総則

 

第2章 防災の基本理念及び施策の概要

*被災者のニーズに柔軟かつ機敏に対応するとともに,高齢者,障害者その他の特

に配慮を要する者(以下「要配慮者」という。)に配慮するなど,被災者の年齢,性別,障害の有無といった被災者の事情から生じる多様なニーズに適切に対応する

 

第3章 防災をめぐる社会構造の変化と対応

地域における生活者の多様な視点を反映した防災対策の実施により地域の防災力向上を図るため,地方防災会議の委員への任命など,防災に関する政策・方針決定過程及び防災の現場における女性や高齢者,障害者などの参画を拡大し,男女共同参画その他の多様な視点を取り入れた防災体制を確立する必要がある。

 

第2編 各災害に共通する対策編

 

第1章 災害予防

防災知識の普及,訓練を実施する際,高齢者,障害者,外国人,乳幼児,妊産婦等の要配慮者の多様なニーズに十分配慮し,地域において要配慮者を支援する体制が整備されるよう努めるとともに,被災時の男女のニーズの違い等男女双方の視点に十分配慮するよう努めるものとする。

*市町村(都道府県)は,自主防災組織の育成,強化を図り,消防団とこれらの組織との連携等を通じて地域コミュニティの防災体制の充実を図るものとする。また研修の実施等による防災リーダーの育成,多様な世代が参加できるような環境の整備等により,これらの組織の日常化,訓練の実施を促すものとし,住民は,地域の防災訓練など自発的な防災活動に参加するよう努めるものとする。その際,女性の参画の促進に努めるものとする。

国〔内閣府〕は,女性の視点による災害対応力の強化を図るため,地方公共団体において防災担当部局と男女共同参画担当部局,男女共同参画センターの連携体制が構築されるとともに,地方公共団体の災害対策本部に女性職員や男女共同参画担当職員の参加等が促進されるよう,都道府県の防災担当部局と男女共同参画担当部局に周知するものとする。

地方公共団体は,男女共同参画の視点から,男女共同参画担当部局が災害対応について庁内及び避難所等における連絡調整を行い,また,男女共同参画センターが地域における防災活動の推進拠点となるよう,平常時及び災害時における男女共同参画担当部局及び男女共同参画センターの役割について,防災担当部局と男女共同参画担当部局が連携し明確化しておくよう努めるものとする。

 

第2章 災害応急対策

国〔内閣府〕は,女性の視点による災害対応力の強化を図るため,被害状況を踏まえ,必要に応じ,職員を現地に派遣し,地方公共団体の災害対策本部に男女共同参画担当部局等が組み込まれるよう,必要な支援・助言を実施するものとする。

市町村は,指定避難所の運営における女性の参画を推進するとともに,男女のニーズの違い等男女双方の視点等に配慮するものとする。特に,女性専用の物干し場,更衣室,授乳室の設置や生理用品・女性用下着の女性による配布,巡回警備や防犯ブザーの配布等による指定避難所における安全性の確保など,女性や子育て家庭のニーズに配慮した指定避難所の運営管理に努めるものとする。

*市町村(都道府県)は,各応急仮設住宅の適切な運営管理を行うものとする。この

際,応急仮設住宅における安心・安全の確保,孤独死や引きこもりなどを防止するための心のケア,入居者によるコミュニティの形成及び運営に努めるとともに,女性の参画を推進し,女性を始めとする生活者の意見を反映できるよう配慮するものとする。また,必要に応じて,応急仮設住宅における家庭動物の受入れに配慮するものとする。

*首都圏を始めとする大都市圏において,公共交通機関が運行を停止し(火山災害における降灰の影響を含む。),自力で帰宅することが困難な帰宅困難者が大量に発生する場合には,国〔内閣府,国土交通省等〕及び地方公共団体は,「むやみに移動を開始しない」という基本原則の広報等により,一斉帰宅の抑制を図るとともに,必要に応じて,一時滞在施設の確保等の支援を行うとともに,一時滞在施設の確保に当たっては,男女のニーズの違いや,要配慮者の多様なニーズに配慮した一時滞在施設の運営に努めるものとする。

被災者の生活の維持のため必要な食料,飲料水,燃料,毛布等の生活必需品等を効率的に調達・確保し,ニーズに応じて供給・分配を行えるよう,関係機関は,その備蓄する物資・資機材の供給や物資の調達・輸送に関し,物資調達・輸送調整等支援システムを活用し情報共有を図り,相互に協力するよう努めるとともに,以下に掲げる方針のとおり活動する。なお,被災地で求められる物資は,時間の経過とともに変化することを踏まえ,時宜を得た物資の調達に留意するものとする。また,夏季には扇風機等,冬季には暖房器具,燃料等も含めるなど被災地の実情を考慮するとともに,要配慮者等のニーズや,男女のニーズの違いに配慮するものとする。

 

第3章 災害復旧・復興

被災地の復旧・復興に当たっては,男女共同参画の観点から,復旧・復興のあらゆる場・組織に女性の参画を促進するものとする。併せて,障害者,高齢者等の要配慮者の参画を促進するものとする。

*地方公共団体は,再度災害防止とより快適な都市環境を目指し,住民の安全と環境保全等にも配慮した防災まちづくりを実施するものとする。その際,まちづくりは現在の住民のみならず将来の住民のためのものという理念のもとに,計画作成段階で都市のあるべき姿を明確にし,将来に悔いのないまちづくりを目指すこととし,住民の理解を求めるよう努めるものとする。併せて,障害者,高齢者,女性等の意見が反映されるよう,環境整備に努めるものとする。

*国及び地方公共団体は,被災地の復興計画の作成に際しては,地域のコミュニティが被災者の心の健康の維持を含め,被災地の物心両面にわたる復興に大きな役割を果たすことにかんがみ,その維持・回復や再構築に十分に配慮するものとする。併せて,障害者,高齢者,女性等の意見が反映されるよう,環境整備に努めるものとする。

 

(以上)

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