東京都墨田区「女性の防災対策懇談会」の報告書が完成、区長に報告される

東京都内の特別区である墨田区は、従来から防災対策に熱心な自治体として知られています。その墨田区が昨年、「女性の防災対策懇談会」を設置し、区民委員参加のもと、男女共同参画の視点から取り組むべき防災対策について議論が重ねられました。

その報告書がウェブサイト上で公開されておりますので、ご紹介させていただきます。墨田区では今後、さらに対策を充実させていく予定だということです。

http://www.city.sumida.lg.jp/kakuka/kikikanrita/bousai/info/jyoseinobousai.html
 (墨田区のウェブサイトより)

エナーソンさんと南三陸、郡山を訪問しました

7月22~24日にかけて、E.エナーソンさんと南三陸町と郡山市を訪問し、ジェンダー・多様性の視点から活動されている方々にお目にかかりました。東日本大震災の被災地を訪ねるのが初めてだというエナーソンさんは、1980年代から災害とジェンダーの研究に取り組でこられた、この分野のパイオニアの一人です。

南三陸町観光協会では、手工芸品の生産を行っている人々の研修会を見学させていただきました。震災から3年以上たち、今後も長く購入し続けてもらえる手工芸品を生産していくためには、商品の品質向上や販売戦略に工夫を凝らすことが必要となってくるそうです。みなさん、楽しみながらも真剣でした。

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手工芸品生産者のみなさんの作品を販売する仮設商店

 

また、復興に奮闘する地域の女性たちからお話をお伺いしました。海産物をつかったイベントで漁港と地域の復興を進めているA漁協婦人部の会長・Oさん、悩んだ末乾物工場を再建したTさん、仮設住宅の復興支援員Mさん。登米えがおネットの皆さんにも、避難所での活動を振り返ってお話を伺いました。みなさん、ありがとうございました。
 
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郡山では、避難所となっていたビックパレットを見学したあと、富岡仮設のおだがいさまセンターにお邪魔して、発災直後の避難時の子どもや高齢者への支援について、現在仮設住宅にお住いの皆さんの様子などをお伺いしました。

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おだがいさまセンターにて

また、福島第一原発の事故以来、郡山周辺に居留することを選択した女性たちの手記をとりまとめられた「市民メディア・イコール」の副理事長、遠藤恵さんにもお話を伺いました。

南三陸の訪問は、2011年以来の当センターの仲間である、ウィメンズアイさんに、郡山では復興庁の丹羽麻子さん、郡山市議の駒崎ゆき子さんにお世話になりました。ありがとうございました。

東北訪問〜東北の女性たちの声

GDRRの池田と浅野は、4月2~3日にかけて宮城県の南三陸町と気仙沼市を訪ね、被災地の女性たちの声を聴かせていただきました。新たな団体の活動のスタートにあたり、改めて現場の様子や生のお声にきちんと触れさせていだくことが不可欠と考えたためです。

2日の午後と3日の午前は、登米市を拠点に女性の視点で被災者支援を行っているNPO法人ウィメンズアイとNPO法人とめタウンネットのスタッフのご協力・ご案内をいただきながら、登米市と南三陸町でそれぞれお話を聞きました。
 

●とめ女性支援センター/登米市内の仮設住宅

初日の午後は、とめ女性支援センターで運営されているカフェにうかがってお茶をいただきながら運営の様子を伺ったのち、登米市内の仮設住宅を訪ね、南三陸町上山八幡宮禰宜の工藤真弓さんにもお話を伺いました。

宮司の家に生まれ育った工藤さんは、仮設住宅でのサロン活動を行いながら、南三陸町志津川地区まちづくり協議会公園部会副部長として、実際の復興計画づくりにも参加するなどしてこられた、パワフルな方です。

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とめ女性支援センターで運営されているカフェ。お茶もケーキも、とってもおいしかったです。

 

●南三陸町被災者生活支援センター・南三陸町婦人防火クラブ・南三陸町愛の手をつなぐ親の会・戸倉地区波伝谷自治会 他

翌日は南三陸町へ移動し、まず、南三陸町被災者生活支援センターで生活支援員をなさっている女性と懇談した後、南三陸町婦人防火クラブおよび南三陸町愛の手をつなぐ親の会会長(障がいを持つ子の親の会)を務める、千葉みよ子さんからもお話を伺いました。千葉さんは、お連れ合いと障害をもつ次女と仮設住宅で暮らしておられます。津波でご長男とご長女を亡くされ、次女も津波で心身ともに傷を負うという状況の中で、懸命に家族と地域のために頑張ってこられた方です。

お昼は戸倉地区の波伝谷へ向かい、津波で流されたレストラン“慶明丸”を再建して頑張っておられる三浦さきこさんを訪ねました。地区の高台に建設された仮設住宅で自治会長を務めながらの営業です。新鮮な魚介と、青々としたワカメやカキがたっぷりのお鍋のついたランチをいただきました。

その後は、気仙沼市本吉地区へ向かい、シャンティ国際ボランティア会気仙沼事務所の紹介で、この地区出身の若手の女性たちからお話をうかがいました。

 

●女性たちの取り組みが復興の力に

ウェブサイトでは詳細な内容をお伝えすることはできませんが、感想を書きます。
震災から3年目の現状を伝える報道でも共有されたように、被災地の復興はまだまだ途上にあります。そうした中、被災した女性たちはさまざまな困難に向き合いながらも、それぞれの場所で、くらしのために、そして地域のために、懸命にできることに取り組んでいることが伝わってきました。

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とめ女性支援センターが運営するカフェの中にある、女性たちが制作した作品の展示販売ブース

 

地域が復興するにはまだまだ時間がかかることが予想されますが、女性たちの取組みの一つひとつは、着実に被災地の復興の力になっていると感じます。

ただ、やはり仕事の面での不安を持つ方もおられ、依然として雇用の厳しさが浮かび上がってきました。生活支援員の仕事もいつまで維持されるかわかりません。支援員としてコミュニティ・ケアの経験を積んだ地元の若い人材が、その経験を生かして就ける職業を見つけることも難しい現状に、歯がゆさを感じました。

浅野が6月にふたたび気仙沼を訪れた際にお話をうかがう機会があった母子家庭のお母さんは、お子さんがPTSDを発症したこともあって勤め先を辞めざるを得ず、現在は新たな経済的な安定の道を模索していました。水産加工の現場では人手不足との報道もあるため、そうした仕事には興味がないのか伺ってみると、津波の記憶が生々しく、浜に近いところで働くのは怖いとのことでした。

いずれにしても、女性の場合は低賃金のパート労働に就く以外に選択肢がほとんどない状態です。特に母子家庭の場合、お子さんが小さいうちはまだしも、中学、高等と年齢が上がるにつれ、教育費をどうするかが大きな問題になってきますので、大きな都市に出ることも考えているという方とも出会いました。

復興庁男女共同参画課の復興の取組み事例集では、就労支援や起業の事例も紹介されています。厳しい状況でありますが、スキルアップの機会や、支え合い仲間づくりにもつながるような交流の場を設けるなど、被災した女性たちが少しずつでも回復し力を得ていくことができるよう、環境を整えていくことが不可欠であると、改めて感じました。

 
▼男女共同参画の視点からの復興~参考事例集~(第6版)[平成26年5月23日公表]
http://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-16/20130626164021.html

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