人道支援における「プロテクション」(被災者の権利保護)の考え方と連携

文責:浅野幸子

〔1〕国際的な人道支援現場での女性・子ども等のための連携

 

国際的なネットワークのもとで行われる人道支援では、「プロテクション」、つまり「被災者の権利保護」という考え方が重視され、スフィア・プロジェクトをはじめとした人道支援の質を担保するための国際基準でも、中核的な概念として取り入れられています。

なぜこのように、「被災者の権利保護」の考え方が重視されるのかといえば、紛争や災害では、最も支援を必要とする人々、最も弱い立場にある人々ほど、支援が行き届きにくいという現実があるからです。申し上げるまでもありませんが、減災と男女共同参画 研修推進センターでも、こうした「被災者の権利保護」に関する国際的な議論や具体的な支援のあり方を示した国際基準等も参考にしつつ、日本の現状や、政策動向、地域防災や災害支援ボランティア活動の現状に合わせながら、よりわかりやすく普及することを通して、国内の現場でこれらの視点と実践が定着していくことを目指して日々活動しています。

さらに近年、国際的な人道支援活動の現場では、効果的な支援を行うために同じテーマ・分野で活動する国内外の政府機関、民間支援団体、国連機関等の間の連携・調整の場が設定されるようになっており(クラスター・アプローチ)、そこでも、特に社会的に弱い立場におかれている人たちの支援を目的とした「プロテクション」分野が設定され、子もどや女性の支援に関わる関係者が連携して支援活動を行うようになっています。

5月31日に行った第1回公開研究会で、ネパール大地震の被災地における女性支援の様子に関する田中雅子さんのお話の中でも、実際にクラスター・アプローチによる分野ごとの調整の場が設けられ、「プロテクション」分野では女性支援に関して、ネパールの政府機関・民間団体と国連機関および国外の民間支援団体が連絡・調整を行いながら、被災した女性たちの支援を行っている様子が報告されました。

東日本大震災では、女性、子ども、障害者といった対象別の支援も行われましたが、連携は不十分で手探り状態で支援活動は行われていきました。今後も、首都直下地震や南海トラフ地震といった被災人口としては一層大規模となるであろう地震災害の発生が予測されていることを考えると、国内においても「被災者の権利保護」の考え方をさらに共有しながら、支援関係者(行政・民間団体・専門家など)同士のネットワーク化を進め、実際に災害が起こった場合には、海外の諸機関・諸団体ともスムーズに連携できるようにしておく必要があるかもしれません。

そこで参考資料をもとに、あらためてこの「被災者の権利保護」という考え方について整理したうえで、特に子ども・女性・障害者について、どのような配慮が必要とされているかについて共有したいと思います。

 

〔2〕プロテクション(被災者の権利保護)とは?

 
この、国際的な人道支援の現場で重視されている「プロテクション」の考え方ですが、平成18年度に外務省が主催し、国内のNGOが主体となって取り組んだ「人道支援におけるプロテクション」に関するNGO 研究会の成果としての「プロテクション・ガイドライン」 )によると、「プロテクション」に関して国際的に確立している定義はないものの、「個々人の権利が国際的に確立されている条約(例 人権、人道及び難民法)の文言及び精神にのっとって十分に保護されるよう確保することを指向するすべての活動。あらゆる人権及び人道機関はこれらの活動を偏りなくまた人種、国籍、言語及びジェンダーに関わらず行わなくてはならない」という、1999年に国際赤十字委員会が実施したワークショップの参加者により理解され、現在広く普及している考え方を紹介しています。

その「プロテクション」の考え方を根拠づける重要な条約などがいつくかありますが、主に次の3つに分類されます。一つ目は国際人権法(世界人権宣言をはじめとした人権に関する条約や宣言と、それらを実施するための国際的、国内的な制度や手続きの体系で、子どもの権利条約、女子差別撤廃条約、人種差別撤廃条約なども含まれる)、二つ目は 国際人道法(「1949年のジュネーブの4つの条約」と「1977年の二つの追加議定書」を中心とした、様々な条約と慣習法の総称。武力紛争(戦争)で、負傷したり病気になった兵士、捕虜、武器を持たない一般市民の人道的な取り扱いを定めた国際法)、そして国際難民法(難民を迫害の待ち受ける出身国へ送り返さないということを含めた、「難民の地位に関する条約」「難民の地位に関する議定書」を中心とする一連の法体系)です。

こうした条約などの規範に加えて、全ての人に共通して確保されるべき事項として、以下の二つが重視されています。被災者保護の責務を負うのは第一に国家ですが、国からの保護が受けられない人、紛争や大地震による被害者の数が膨大で国家としての対応能力を超えてしまっているような場合は、国家による保護活動の補完的な位置づけとして、国際機関やNGOが支援活動を行うことに大きな意義があります。

 

①尊厳ある生活を営む権利

…生命・自由及び安全が確保されること、十分な生活水準が保障されること、拷問又は残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取り扱いまたは刑罰からの自由。

②非差別原則

…人種、皮膚の色、性別、言語、宗教又は信念、政治的もしくはそのほかの意見、国籍・人種もしくは社会的出自、法的もしくは社会的地位、年齢、障がいの有無、財産、家系、その他類似の基準に関わらず、平等な支援を提供することが求められる。

 

〔3〕対象別の論点 ~子ども・女性・障害者を中心に

 
「プロテクション」は、主に3つのカテゴリー、つまり物理的な保護(基本的な自由があり、身体の安全が確保されている状況)、社会的な保護(物質的なニーズ、教育、健康等が保障されている状態)、法的な保護(権限のある当局に登録がなされ、その場所での滞在が認められている状態)に分類することができます。

また、支援の実践においては「プロテクション」は二通りの捉え方があります。広い意味では、特定のプロジェクトを指すということではなく、食料配給や衛生状態の確保といった個々の事業の実施に権利保護の考え方を入れ込むことで、全体として支援を受ける人たちの権利が確保され、社会的に弱い立場におかれている人々も食料配給等からもれずに、保護されている状況を目指すものです。一方で狭い意味で用いる場合には、弱者保護といった文脈や、法的な保護を指すことが多くなります。

ガイドラインの「3.各論」(p8~)では、人道支援の現場でとりわけ配慮されるべき対象別に、その特徴やどのような保護が必要なのかについて、根拠となる条約の条文等も示しながら解説しています。ここでは文字数の関係から、子ども・女性・障害者の部分のみ抜粋する形で紹介します。そのほか、高齢者、難民、社会的少数者が対象として挙げられています。

 

1)子ども

子どもは、身体的にも精神的に未熟であるため、法的保護を含めて特別な保護及び世話を必要となります。特に注意を要する子どもたちとして、親や保護者と離ればなれの子ども、障がいを持つ子ども、以前子ども兵士であった子ども(女子も含む)、子どもだけの家族が挙げられます。なお、国際法では子どもを18歳未満と定義していますが、通常は国内法が優先します。
 

▽子どものために守られるべき事項

①家族と一緒にいること
(本人の意志に反して家族と引き離されないこと、引き離されている子どもと親が再び出会えるようにすることなどである。もちろん、子どもが虐待されている場合はこの限りではなく、適正な手続きの上で、子どもを保護する必要がある)

② 教育を受ける機会が確保されること

③ 性的暴力・虐待に遇わないようにすること

④ 働かせないようにすること(強制労働・搾取からの保護)

⑤ 物理的な危険(紛争、暴力)からの保護

⑥ 戦闘行為全般に関与させないこと

⑦ 援助から子どもが漏れないこと

⑧ 感染症にかからないようにすること

⑨ 人身売買されないこと(養子縁組の際も注意すること)

⑩ 国籍を否定されないこと(特に難民の場合)

⑪ 子どもの声がプログラムの策定に反映されること/子どもの最善の利益が考慮されること

 

2)女性

女性に対する差別は広範に存在しており、窮乏状況では女性が食料、健康、教育、雇用のための訓練及び機会、他の必要なものを受ける機会が最も少ないという状況があるため、特別の保護を必要であるとしています。特に配慮が必要なのは、1人きりの女性、家長である女性(特に最近家長になった女性)、障がいを持つ女性(もともと家の外で活動をすることがあまり無く気づかれない場合が多くあること、女性の特有の病気の存在が公に語られることをよしとしない、問題が表面化することが滅多に無いなど、援助関係者の間で気付かれない可能性も高いこと、加えて家庭の内外での暴力、性的な搾取等にさらされやすい)、性的暴力を受けた女性、妊娠中の女性であるとしています。
 

▽女性のために守られるべきこと

①教育を受ける機会が男性と同様に確保されること。
(家族の健康及び福祉の確保に役立つ特定の情報も提供すること)

②性的暴力・虐待に遇わないようにすること

③ 働く機会を確保すること

④ 物理的な危険(紛争、暴力)からの保護

⑤ 援助から女性が漏れないこと

⑥ 人身売買されないこと

⑦ 保健において差別されないこと
( 保健サービス(家族計画を含む)において、女性が差別されないようにすること。

⑧ 女性の声がプログラムの策定に反映されること
(プログラムの策定にあたり、女性の声を聞くような機会を設けること、女性の参画する機会、質を高めていくこと。(できれば、会合の50%が女性であることが望ましい))

 

3)障がい者

障がい者は、先天性であってもそうでなくても、身体的または精神的能力にハンディがあることから、日常生活を自身で送ることに困難がある人を指しています。特に人道支援を必要とする地域では、紛争、地雷、地震などによって、新たに障がいを持つ人たちが生み出されてしまう現状があります。中でも特別に注意を要するのは、社会的弱者の人たち(女性、子ども、マイノリティ、高齢者など)の中で、さらに障がい者である人たちです。複合差別によって、より弱い立場におかれることがあるため、特に配慮が必要です。

▽障がい者のために守られるべきこと

① 搾取、差別的虐待、過酷な取扱い等から守られること。

② コミュニティの一員として暮らし、社会的活動に参加する権利が確保されること。
(コミュニティの中で障がい者のみが隔離されず、障がいがない人とともに暮らし、社会的な活動に参加していけるよう確保する)

③ 支援への平等なアクセスを確保すること。
( 障がいのある人が、障がいを理由に支援から排除されず、適切な安全な水、食料、衣料、住居が提供され、個々の障がいのニーズに応じた支援が受けられるよう確保されること)

④ 社会の中において不当な差別を受けないこと(就職、結婚等)

8月6日 南相馬市で研修の講師をさせていただきました

8月6日の午後、南相馬市で防災研修会が開催され、講師として当センター共同代表の浅野が登壇させていただきました。主催は福島県男女共生センターさん、共催が南相馬市さんです。

参加者は市役所および高齢者や障害者施設の職員の方、地域の女性防災リーダーのみなさんなど約30名で、性別・多様な立場に立った困難と備え・対策について、参加者の皆さんのご経験も振り返りながらグループで議論しました。

また、時間の関係で十分に作業はできなかったものの、「もしも一般避難所である小学校の一室を使って介護が必要な高齢者と障害者を支援する福祉避難室を設置するとしたら?」という想定で、教室の空間の使い方を書き出してみるといったワークも実施させていただきました。福祉施設のプロの方も多く、A3の紙にすぐに福祉避難室のイメージを書き出し始めたみなさんの様子を拝見して、お一人おひとりの大きなパワーを感じました。いずれしっかりと時間をとってみなさんにお話をうかがう形で、経験に学ばせていただかないといけないと感じながら帰途に着きました。

帰りがけ、日暮が迫る道を福島駅に向かって走る車の中から、その経路の途中にある飯館村の様子を見ました。2年ほど前に南相馬市にうかがった際は、帰り道がすでに真っ暗になっていたため、初めて村の様子を見ることになったわけですが、雑草に覆われた荒れた農地に胸が痛みました。しかし同時に、一部では除染作業が進む農地もあり、また、隣接する川俣町内には、飯館村の複数の学校が入るプレハブ校舎も目に入りました。

当センターが主催の研修ではないため、研修の詳細や写真は控えますが、記事として少しさびしいので、南相馬市への往復の途中で撮った二枚の写真をご紹介します。

1枚は、前日の5日に泊まった郡山の駅前で行われていた、「うねめ祭り」というお祭りの一環で行われていた、幼稚園児たちによる太古の演奏の様子です。のぼりには「○○幼稚園」「元気太鼓」とあり、ちびっ子たちの勇壮な演奏が響き渡っていました。
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もう一枚は・・・。ガスタンク?の写真なのですが、お分かりになりますでしょうか?車中から撮ったためうまく撮れていませんが、巨大な桃などが描かれている様子に、なんだか自然と笑顔がこぼれてしまいました。

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まだまだ暑い日が続きますが、みなさまお気をつけてお過ごしください!

8月1日 公開研究会 & フォローアップ研修 報告

8月1日(土)、厳しい猛暑の中、今年度第1回の公開研究会とフォローアップ研修を開催しましたが、両方とも約20名の参加をいただきました。

ここでは公開研究会での報告の概要をお伝えます。新たな人道支援の基準(CHS)に関してお話下さる難民支援協会常任理事の石井さんは、国内の人道支援関係者の中では早くから人道支援のあり方に関する国際的な議論や人道支援基準に関心をもって取り組んでこられた方です。

フォローアップ研修では、3月に完成したワークブックの趣旨と活用のポイント、教材の概要を説明しながら、合間にいくつかのワークショップを参加者の方にも体験していただきながら、教材の効果的な活用方法・学習の場づくりについて考えましたが、詳細は略します。今後も、同様のワークブック活用のための研修を何回か実施する予定です。

 

<2015年度 第2回公開研究会> 
「国連防災世界会議と新たな人道支援の基準(CHS)を踏まえた、
 今後の地域防災の取り組みについて」
①国連防災世界会議の振り返り(当センター共同代表 池田恵子)

1994年に横浜で行われた第1回国連防災世界会議で採択された「横浜戦略」で、災害リスク削減に女性や社会的不利な集団の参加・エンパワーメントを奨励する文言が入り、2002年の第46回国連女性の地位委員会で、ジェンダーの不平等は災害脆弱性の根本原因の一つであると確認されるなど、国際的には早い段階から性別や多様な立場の人への配慮と当事者の参画の重要性が共有されてきました。

しかし国内で本格的に認識されるようになったのは2011年の東日本大震災以降であり、まだまだ防災関係者にさえ定着しているとは言えない状況です。

2005年に神戸で開催された第2回国連防災世界会議では「兵庫行動枠組」(資料スライド_池田1)が採択されました。第3回国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組」(2015-2030年)は、「兵庫行動枠組」を基本的に踏襲しており、2030年までに「人命・暮らし・健康と,個人・企業・コミュニティ・国の経済的,物理的,社会的,文化的,環境的資産に対する災害リスク及び損失の大幅な削減」を目指しています(資料スライド_池田2)。

 

14の原則の中でも、下記は特に注目されるところです。

 ④ジェンダー、年齢、障害がいの有無、文化の重視と女性・若者のリーダーシップ
 ⑤セクター内・間の関係者間の調整と連携
 ⑧他課題との関連性(持続可能な開発、貧困削減、気候変動、食糧など)
 ⑩社会経済環境面の災害リスクへ解消を優先

 

そして、優先行動項目の3番目の「レジリエンスに結びつく災害リスク削減への投資」では、「社会的セーフティーネットや社会包摂の政策のデザインと実施を強化する。コミュニティの関与、生計向上、妊産婦・新生児・子どもの健康、性と生殖に関する健康を含む基礎保健活動へのアクセス、食糧の安全保障と栄養、住居と教育、貧困撲滅などの分野で、政策が災害後の段階でも通用する解決策を提供できるようにする。より多くの被害を受ける人々のエンパワーメントと支援を行う」としています。

なお、「仙台防災枠組」の前文で<災害リスクを本質的に削減しようするなら、人とその健康と生計に焦点をあてた発想を普及すべき>と明記されています。初期消火や応急救護、避難誘導などの直後対応やハード面での整備のみをもっぱら重視する日本的「防災」ではなく、「災害リスク削減」、つまり日常社会の中にある格差や生活課題こそが、災害時の被害(犠牲者の発生や生活復興を含む被災者が直面するさまざまな困難)を大きくするのだ、という国際的な理解を前提に、もっと人々の置かれた状況とくらしのあり方を中心に据えた、防災政策のあり方が国内で問われているといえるでしょう。

 

 

②新たな人道支援の国際基準~
Core Humanitarian Standard(CHS)をめぐる動きについて

              (認定NPO法人難民支援協会 常任理事 石井宏明さん) 

人道支援における国際的な共通の行動規範・指針に対する関心が高まったきっかけは、1994年に起こったルワンダ虐殺(下部注※1)から始まる一連の人道危機です。支援現場で適切な人道支援が行われているかどうか、被災者が不利益を被ったり人権を脅かされるような問題が起こっていないかなどを調査・観察するプロジェクトが展開されたことから、支援の質や支援団体の説明責任について議論されるようになりました。その後、スフィア・プロジェクト(人道支援の事業実施レベルの行動指針として活用される基準)、ピープル・イン・エイド(人道支援組織のための人材マネジメントの指針)、HAP(主に事業計画・管理レベルにおける組織としての責務を設定した基準)などの人道支援の基準が複数作られるようになりました。(下部注※2※3

現在、「支援の質」と「説明責任」(Quality and Accountability :Q&A)がセットで議論されるようになっていますが、質の高い支援とはどういうものでしょう。それは、被災者が「尊厳ある生活」を営むための最低限のモノ・サービスが提供されるだけでなく、被災者自身が納得・満足する形での支援プロセス、モノ、サービスの提供が行われることです。

そして、質の高い支援が行われるようにするには、支援者であるNGO/NPOが組織として、情報共有、調整と協働、参加、透明性、クレーム対応、スタッフの能力にかかわる仕組みや体制をつくることが大切となります。説明責任といえば、従来は活動資金を提供してくれる団体・個人に対してどのように説明責任を果たすことができるかがもっぱらの関心でしたが、今では、支援を受ける側である被災者の視点に立つ形で、組織としてこれらの取り組みを行っているかどうかも、被災者支援の実施者であるNGO/NPOの「説明責任」として問われるようになってきたのです。国際社会の動向と比べると、日本国内ではこうした国際人道基準への理解や具体的な対応はあまり進んでいなかったのですが、東日本大震災において避難所運営や物資配給、被災者の(とくに脆弱層に配慮した)権利保護の面で、十分な支援を行うことができなかったとの反省から、現在では国内の市民団体や民間・公的セクターの中で、スフィア・プロジェクト等の国際人道基準への関心が高まっています。

 

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難民支援協会でも、説明責任の実践として独自の行動指針(Code of Conducts)を策定した上で、相談に来る難民の方たち自身も、スタッフの対応や支援内容に関する意見・苦情を組織に対して直接伝えることができるよう、事務所内にフィード・バック・ボックスを置き、届いた内容について組織として対応する体制を構築しました。事実確認だけでも膨大な時間と手間がかかるため、そうした声にきちんと対応していくのは大変なことではありますが頑張っています。

人道支援基準は重要ですが、さまざまなタイプのものが複数存在しているため、2012年末から2013年にかけて、スフィア・プロジェクトやHAPといった中核的な人道支援基準を統合しようという「ジョイント・スタンダード・イニシアティブ」が開始され、114か国からの参加者が協議を重ねました。そして、ピープル・イン・エイドとHAPに、スフィア・プロジェクトの中のコア基準の部分を取り出して加える形で、新たな国際基準としてのCore Humanitarian Standards(CHS)とるすことになりました。それは9つの原則と質的要件により構成されるもので(資料スライド_石井)、さらにこの原則が着実に実践されるよう支援するための、「ガイダンスノートと指標」と「検証フレームワーク」が現在開発中であり、すでに試験的に利用されています。

こうした基準は今後、助成金や補助金の獲得の際などに大きく影響してくるでしょう。たとえばジャパン・プラットフォーム(JPF)という、国際協力NGOによる人道支援活動を政府・企業も一体となって資金や物的な側面から支えていくための組織がありますが、東日本大震災が起こる少し前から助成金を申請する団体に対して、申請事業が既存の国際基準を満たしたものであるかどうかを申請書類に書いてもらう取り組みを始めています。

なお、国や自治体が被災者支援の質を問われるのは当然のことですが、東日本大震災では企業がNPO/NGOと同様の非営利の支援活動を行う例も多くみられました。そうした企業による支援活動でも、こうした人道支援基準を意識してもらえるようにする必要があるのかもしれません。

7月24日、国内の17団体・7個人の参加により「支援の質とアカウンタビリティ向上ネットワーク」(JQAN)が発足し、難民支援協会は幹事団体に選任されました。主な活動方針は、国際社会で共有されている人道支援の諸原則、基準類を理解し、実践できる支援実務者および団体の育成と、こうした人道支援の諸原則・基準と実践について継続的に教授・指導ができる日本のNGO人材の育成、そして、主に日本の国際協力、緊急人道支援、減災防災活動に関わる政策立案者、資金提供機関関係者への提言活動と、国内外での経験の国際社会での発信や調査活動などです。

ただ、国際基準をそのまま国内に導入するのが良いのかどうかについては、もう少し議論が必要だと考えています。良い形で普及が進むよう、今後もみなさんと一緒に考えていきたいと思います。

 

 

※1 紛争により10日間で50~100万の人々が虐殺されたと言われている。

※2 難民支援協会によるスフィア・プロジェクト(三訂版)の日本語訳は、ウェブ上からダウンロードできます。( https://www.refugee.or.jp/sphere/

※3 スフィア・プロジェクトはページ数がとても多いので、とりあえず人道支援の国際基準とはどんなものなのかを知りたい、現場での活用のイメージに少しだけ触れてみたいという方は、スフィア・プロジェクトの概要と、衛生・栄養・避難施設といった分野別の具体的な支援基準のうちから、性別や多様性配慮に着目して抜粋・翻訳したものを紹介した、「こんな支援が欲しかった!現場に学ぶ、女性と多様なニーズに配慮した災害支援事例集」の33~38ページを、減災と男女共同参画 研修推進センターのウェブサイトからダウンロードしてご覧ください。( http://gdrr.org/2014/05/149/

ネパール地震支援の続報

ネパール大地震から3か月。まだまだ厳しい状況の中、女性支援に関する活動が続いています。

上智大学の田中雅子さんが代表の「ネパール地震ジェンダー配慮支援の会」の下記のウェブサイトおよびfacebookで、支援している現地の団体紹介や支援報告、現地の情報がご覧いただけます。

◉ネパール地震ジェンダー配慮支援の会
Japan Association for Gender Sensitive Support in Nepal (JAGSN)
http://jagsn.jimdo.com

◉Facebook
https://www.facebook.com/Japan.Gender.Sensitive.Support.in.Nepal
 

<田中さんからの現地状況についてのコメント>・・・・・・・・・・・・・・・

大地震から間もなく3カ月を迎えるネパールでは、出口の見えない避難生活に、人びとは疲弊している。ネパール地震ジェンダー配慮支援の会が女性たちの回復センター(WOREC)に送金した資金は、ドラカ郡で活動するAawaj(ネパール語で「声」の意)というグループが設置した女性のためのセーフ・スペースの運営と、被災した女性ボランティアが、自宅を補修する費用の一部としても使われている。

政府は自宅が倒壊した世帯にトタン板購入資金として日本円にして約18,000円の現金給付を約束したが、手続きに必要な書類を整えるのは煩雑で、実際にもらえた人は少ない。これまでセーフ・スペースの運営は、被災した女性ボランティアによって支えられてきたが、長引く避難生活の中、彼女たちの健康や精神面での負担は計り知れない。被災した女性たちが安心して活動し、休養をとることできる環境の確保は、長期的に活動する上で不可欠であり、ジェンダーに配慮した支援だと言えよう。

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カブレ郡でのリプロダクティブヘルス相談会(6月22日)

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なお、みなさまからの募金については、緊急支援に加えて、復興支援への活用について現地と検討中とのことです(以下、facebookの6月28日の投稿内容より)。

「4月28日から6月24日までに115件、計1,588,693円のご寄附をいただきました。うち548,453円はWORECに、198,756円はシャクティ・サムハの活動に充てました。WOREC送金分のうち約15万円はドラカ郡のAawajという地元の女性団体によるSafe Spaceの設置活動に使われています。
WORECとは首都カトマンドゥに事務所をもたない被災郡の女性団体の支援について、シャクティ・サムハについては倒壊したシェルター再建について協議中です。それぞれの団体と協定書を締結後、残金841,484円と今後いただくご寄附を合わせ、計100万円程度にして送金したいと考えています。夏には田中雅子が現地でそれぞれの活動を確認し、秋に報告会をする予定です。」
(以上)

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子どもを連れてセーフスペースにやってきた女性たち(6月17日)

8月1日 公開研究会&フォローアップ研修(ワークブック活用法)のお知らせ

 減災と男女共同参画 研修推進センター(GDRR)は、8月1日(土)、都内で公開研究会とフォローアップ研修を下記の通り開催いたします。ぜひふるってご参加ください!
 

<概要> 

【日 時】 8月1日(土) 

◉午前10:00~12:00 【公開研究会】
「国連防災世界会議と新たな人道支援の基準 Core Humanitarian Standard
を踏まえた、今後の地域防災の取り組みについて」

今年3月の国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組」と、2014年12月に人道支援分野の国際的な3つの基準(HAP、People In Aid、スフィア・プロジェクト(一部))が統一されてできた、Core Humanitarian Standardという新・国際基準を踏まえて、今後の国内でのジェンダー・多様性配慮の定着のためにどのような取り組みが必要か考えます。

  ▼進行  GDRR共同代表  池田恵子 (静岡大学教員)
  ▼お話 (特活)難民支援協会 常務理事 石井宏明さん

 

◉午後13:00~16:00 【フォローアップ研修】
「ワークブックを活用した学習プログラム」
4月に完成した『男女共同参画・多様性配慮の視点で学ぶ 防災ワークブック ~地域・支援団体で使える!基本知識の解説とワークショップ教材8』を使いつつ、住民・市民向けの効果的な学習のあり方について、模擬ワークショップも交えながら、研修を実施します。

※ワークブックをすでにお持ちの方は持参下さい(ワークブック代は不要です)。
※過去に当センター主催の人材育成研修に参加された方はワークブックを無料で差し上げます(参加費のみ)。
  ▼進行:GDRR共同代表 浅野幸子(大学非常勤講師)

※午後は基本的に、これまで災害と男女共同参画・ジェンダーについてある程度知識のある方を対象として想定しております。

 
【場 所】 キャンパスイノベーションセンター東京 
  〒108-0023 東京都港区芝浦3-3-6  (地図

【参加費】
◉午前=公開研究会 300円 
◉午後=フォローアップ研修 100円+ワークブック 900円(通常 1,000円)

※ワークブックをすでにお持ちの方は持参下さい(ワークブック代は不要です)。
※過去に当センター主催の人材育成研修に参加された方はワークブックを無料で差し上げます。

【申込み】 こちらのフォームからお願いします 

【お問合せ】:contact*gdrr.org (担当・浅野)*を@に変えてください。

ネパールの女性支援に関する募金について

「ネパールの女性支援に学ぶ会」で報告いただいた田中さんより、今後もネパールの女性支援を継続していくため、改めて「ネパール地震ジェンダー配慮支援の会」として引き続き募金をお願いしたいとのことですので、募金先の情報を掲載させていただきます。

■ネパール地震ジェンダー配慮支援の会 募金先(代表 田中雅子)

※他行からのお振込みの場合
金融機関:ゆうちょ銀行
店名:〇五八(ゼロゴハチ)
番号:普通口座 7734619
名義:ネパールジシンジェンダーハイリョシエンノカイ
(ネパール地震ジェンダー配慮支援の会)

※ゆうちょ銀行からお振込みの場合
記号 10500 
番号 77346191

「男女共同参画・多様性配慮の視点で学ぶ 防災ワークブック ~地域・支援団体で使える!基本知識の解説とワークショップ教材8」

東日本大震災をはじめとした過去の大規模災害では、災害直後だけでなく、避難行動、避難(所)生活においても多くの命が失われ、体調を崩したり、暴力問題など人権を脅かされる問題もが起こっています。復興上もさまざまな課題が見られます。

ところが、避難行動にしても、性別や家族構成でその行動パターンには傾向の違いがあり、避難生活上の困難と求められる支援も、性別や、障害・病気の有無や程度、家族構成などによって大きく異なるにも関わらず、そうした違いを考慮に入れずに、避難訓練や避難所運営を含む災害対策・体制づくりや、防災指導が行われてきたのが現実です。th_workbook01

その結果、ひとたび大規模な災害が発生すると、要援護者を中心に犠牲者や健康悪化する人の増大、DVや性暴力対策の不備による被害者の発生、生活再建の遅れなど、さまざまな問題が発生してしまう傾向にあります。

このワークブックは、被災者一人ひとりの状態やくらしの実態に即した地域防災活動および災害支援のために不可欠な、男女共同参画・多様性配慮の視点を取り入れた防災の基礎知識と、実践的に活用できるワークショップ教材(参加型学習教材)で構成しています。

副題に「地域・支援団体で使える!基本知識の解説とワークショップ教材8」とあるように、教材を8種類・24点納めていますが、いずれも防災活動・災害支援活動に直接役立つ内容です。さらに、地域組織と災害支援団体向けに、避難所等の環境・運営・支援基準、組織として事前に備えるべき点や災害時に取り組むべき項目について、国の防災基本計画や各種の指針、国際的に広く活用されている人道支援の最低基準などを踏まえてまとめた「チェックシート」も掲載しています。

本ワークブックを、各地の防災政策や地域防災活動、災害支援団体の活動に活かしていただければ幸いです。

<内容>
ワークブックの活用方法
第1部 災害と男女共同参画多様性配慮
A 基礎知識 ~性別・立場で異なる被災経験と対策の方向性
B 要援護者支援と多様性配慮
C 災害時の暴力問題への対応
第2部 参加型学習に活用できるワークショップ教材集
教材1 地域の防災資源を書き出そう
教材2 イラストで考えよう!避難生活のあれこれ
教材3 その時どうするっ!?命・健康・人権を守る避難所運営
教材4 寸劇で高めよう!防災イマジネーション&コミュニケーション
教材5 いろんな立場で考えてみよう!「地域防災に女性の参画を」
教材6 あなたならどうする!?避難所でわいせつ事件!
教材7 要援護者支援について考えるワークショップ
教材8 被災者支援のための情報収集に挑戦!
・被災後の生活状況についてのアンケート
・育児・介護・介助・女性関連物資についてのアンケート

参考1 簡易版資料(基礎知識編)
参考2 地域防災活動の基本を知る
参考3 避難所における立場別の困難と必要な配慮・支援
参考4 チェックリスト① 避難生活における多様な要望への対応
参考5 チェックリスト② 地域の防災体制と活動
参考6 チェックリスト③ 支援団体の体制

実践者のためのQ&A集

 

※在庫がなくなりましたので、販売を中止いたしました。

◆詳細・お問い合わせ
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5月31日 ネパールの女性支援に学ぶ会を開催しました

5月31日、ネパール大地震の災害発生後10日前後で被災地に入り、約1週間にわたり支援活動を行った上智大学の田中雅子さんに、現地の状況と支援活動の様子などについてお話しいただきましたのでその一部をご紹介します。また、これまで田中さんへ寄せられた寄附の使途についても記載しました。

なお当日は、参加費のほかに5万円近いカンパをいただきました。ありがとうございます。事前にお預かりしていたカンパと、参加費から資料の印刷代等の必要経費を差し引いた残額を合わせた合計5万400円を、ネパールの女性支援のために寄付させていただきました。

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・・・・・・・・・・・・・・・・<報告の概要>・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1990年以降、ネパールは民主化をめぐって政情不安定な状態が続き、国家再建は途上にある。民族やカースト、出身地や性別による格差や不平等の克服はあらゆる分野で課題となっている。2009年、国連開発計画(UNDP)の支援を受けたNGOが、兵庫行動枠組みに沿って策定した「災害リスク管理国家戦略」(NSDRM)においても、ジェンダー配慮と社会包摂について言及されている。具体的な取り組みはまだこれからだが、行政文書に明文化されていることは、現実の対策や支援において交渉ツールとなるため、意義は大きい。

今回の地震の被害エリアの地理的特性としては、中国(チベット)との国境沿いでは、歩いて数日かかる村も多く、土砂崩れや地滑りなどの災害の頻発地帯であること、非ヒンドゥ民族、首都圏への移住者、女性世帯主が多く、高齢者の割合も意外に高いことが挙げられる。5月17日時点の死者は8,585人で、10歳以下の死者が女性のうちの24%、男性のうちの28%と、自力での脱出が難しい幼い子どもの犠牲が多かったことがうかがえる。

避難生活における住環境は劣悪で、防水シートを張っただけのテント暮らしが多い。首都カトマンドゥから車で1時間程度の町に住む女性でも、食糧等の支援や情報へのアクセスは難しい。

支援にあたっては、国内外の支援関係者による合同調整機構として、他国における過去の大規模災害でも取り組まれてきた「クラスター・アプローチ」が採用されている。これは、分野ごとに、ネパール側の主導省庁と主担当となる国際機関を決め、そこに国内外のNGO等が連携して支援に取り組む仕組みである。例えば、避難所はネパール都市開発省と国連人間居住計画(UNHABITAT)・国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)、保健は保健・人口省と世界保健機構(WHO)など11分野に分かれている。その中に特に脆弱な人々を対象とした「保護(Protection)」分野も設けられており、ネパールでは、女性子ども社会福祉省と国連児童基金(UNICEF)および国連人口基金(UNFPA)が連携して調整にあたっている。

保護分野の中に、「ジェンダーに起因する暴力(Gender-Based Violence: GBV)の予防と対応部会」も設置されており、UNFPAが窓口となって取り組んでいる。具体的には、尊厳キット(女性用品セット)、Women-Friendly Safe Spaceの設置、心理社会カウンセリングの実施、シェルター・警察・保護分野に関わるスタッフ向けのジェンダーに起因する暴力に関する研修、レイプ被害者用キットや暴力被害者相談用マニュアルや人身売買予防リーフレットの配布およびラジオ番組の放送、人身売買監視のための国境警備強化、DV監視のための指標の作成を行っている。

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また、各調整分野(クラスター)の活動にジェンダー視点を主流化させるために、国連女性機関(UNWOMEN)が窓口となって「横断的ジェンダー配慮部会」も設けられている。女性グループによる救援物資の配布の促進、各郡におけるジェンダー視点での被災状況分析、ジェンダー/性別のニーズ調査実施、女性の人口統計分析、各クラスター関係者に対するジェンダー・チェックリストの提供、各クラスター内におけるジェンダー担当者の配置、女性団体の活動分布図の作成、現金給付労働(Cash for Work)ガイドライン等へのジェンダー視点からの加筆などを行っている。また、救援活動・体制における女性の代表制とリーダーシップ、協議の場への参加の確保、女性や少女に対する暴力の予防、(特に障害を持つ女性たちを優先する)女性ための事業支援基金の設立などを求めて現地の女性団体が共同声明を出した際、それを支持した。

ネパールでは、地震が起きる前から、多くの女性団体が差別や人身売買など人権問題に取り組んできた。草の根の女性組織とともに、暴力の予防や監視など女性の人権問題に取り組んできた「女性たちの回復センター(WOREC)」や、WORECが育成した人身売買のサバイバーによる当事者団体「シャクティ・サムハ」などが、地震直後から厳しい状況下でありながらも、様々な女性支援のための活動を展開している。

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田中さんからはこうした概要の説明の後、草の根で活動している女性団体等による支援活動の詳しい内容についても報告をいただきましたが、それは次回のメルマガで詳細をお伝えしたいと思います。

なお、これまで田中さんのもとに寄せられた寄附に対するお礼とともに、下記の通り、「女性たちの回復センター(WOREC)」および人身売買のサバイバーによる当事者団体シャクティ・サムハの初動支援活動に使わせていただいた旨の報告がありました。残額については、今後WORECと覚書を締結し、女性支援に有効に使っていただく予定とのことです。
 

◆寄付(2015年4月28日―5月27日)104件(団体・個人)
現金-1,311,333円
物資-女性用下着、子ども用毛布、生理用品等(在日ネパール女性グループより)
(WORECに5月1日配送)

◆送金(2015年4月29日―5月27日)
WOREC   548,453円(うち126,517円はSafe Space用テント5張分)
シャクティ・サムハ  198,756円

◆残高 564,124円
WORECと覚書を結び、関連団体も含めた活動用に送金予定

 

◆ネパールの女性支援に関する募金について

ネパールの女性支援に学ぶ会で報告いただいた田中さんより、今後もネパールの女性支援を継続していくため、改めて「ネパール地震ジェンダー配慮支援の会」として引き続き募金をお願いしたいとのことですので、募金先の情報を掲載させていただきます。

■ネパール地震ジェンダー配慮支援の会 募金先(代表 田中雅子)

※他行からのお振込みの場合
金融機関:ゆうちょ銀行
店名:〇五八(ゼロゴハチ)
番号:普通口座 7734619
名義:ネパールジシンジェンダーハイリョシエンノカイ
(ネパール地震ジェンダー配慮支援の会)

※ゆうちょ銀行からお振込みの場合
記号 10500 
番号 77346191

5月31日 ネパール大地震後の女性団体による支援活動に学ぶ会

ネパール大地震後の女性団体による支援活動に学ぶ会

試される「包摂」とジェンダー平等の実践
― 大地震後のネパールにおける現地NGOの活動

報告者: 田中 雅子さん(上智大学教員)

【日時】 2015年5月31日(日)午後1時30分~3時30分
【場所】 日本女子会館 5階 大会議室

 
定員に達しましたのでお申込みを締め切らせて頂きました。
 
4月25日の地震発生後、ネパールでは余震が続き、雨季を前に被害の拡大が懸念されています。外国軍や国際機関、国際NGOの活動がメディアでとりあげられがちですが、自らも家を失ったり、家族と連絡が取れない中、発災翌日から事務所をシェルターとして開放したり、近隣住民の応急手当をするなど共助の範囲で活動を行ってきたのは現地の団体です。

ネパール大地震の発生を受けて、直後から現地と直接連絡をとりながら、5月1~8日まで女性たちの回復センター(Women’s Rehabilitation Centre、略称WOREC)などによる支援活動に参加した上智大学の田中雅子さんから、日本からの寄付による初動資金でWORECが行った活動、首都や郡庁所在地での援助調整の様子、ネパールが紛争後の国家再建の中で最も重視してきた包摂とジェンダー平等のための政策が災害支援の過程でどう実践されているか、また今後日本から支援する者が留意すべき点について報告していただきます。ふるってご参加ください。

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避難キャンプにWORECが設けたセーフ・スペース

 

【場 所】 日本女子会館 5階 大会議室
(港区芝公園2-6-8 / 都営三田線「芝公園駅」、
都営大江戸線「大門駅」、JR「浜松町駅」から徒歩3-8分(MAP

 

【参加費】 300円(資料代等)
(カンパも歓迎します。当日の必要経費を差し引いた分は、全額ネパール支援のための寄附とさせていただきます)

 

【申し込み】定員に達しましたのでお申込みを締め切らせて頂きました。

(当日参加も可能ですが、資料準備等の関係上、事前に連絡頂けると助かります)

 

◉報告者<田中 雅子さん>プロフィール

上智大学総合グローバル学部教員。1995年より2009年にかけて9年間ネパールで暮らし、現地や欧州のNGOで活動。日本赤十字社、JICAを通じてバングラデシュやガーナでも勤務。2010年より日本で国際協力論、南アジア研究、NPO/NGO論、開発とジェンダーを教えている。著書に『ネパールを知るための60章エリア・スタディーズ』(共著)ほか。

 

〔共催〕減災と男女共同参画 研修推進センター
男女共同参画と災害・復興ネットワーク

 

【問合せ先】 減災と男女共同参画 研修推進センター 担当:浅野
(できるだけメールでお願いします。)
メール: contact*gdrr.org (*を@に変えて送信ください)
電 話: 03-3830-5285
(浅野の携帯に転送されますので当日連絡もこちらへ)

4月24日 福島県男女共生センター主催の「災害とジェンダーに関する人材育成トレーニングプログラム」をお手伝いさせていただきました!

4月24日(金)、福島県男女共生センターの主催による「災害とジェンダーに関する人材育成トレーニングプログラム」が、センターの研修室を会場に実施され、県内各地の自治体(防災担当、男女共同参画担当)、消防、男女共同参画センター、社会福祉協議会、公民館の各関係者から、さまざまな女性団体のリーダーまで、約30人参加されました(男性を含む)。

わたしたち減災と男女共同参画 研修推進センターでは、浅野と池田が講師として企画・運営をお手伝いさせていただきましたが、国連防災世界会議の成果と課題についても振り返りながら、基礎的事項とワークショップで学習を進めさせていただきました。新作のワークブックも提供させていただき、実際に教材を使ってみました。

朝10時半~15時半まで、盛りだくさんの内容でしたが、震災から4年経った今からこそ、防災の取り組みを進めていこう。そんな参加者のみなさんの熱気を感じ続けた一日でした!

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