6月8日・10日「災害ボランティアコーディネーター養成講座 運営者コース」報告

「災害ボランティアコーディネーター養成講座 運営者コース」でお話させていただきました

(東京ボランティア・市民活動センター主催)

今や大災害に「災害ボランティアセンター」が立ち上がるということは、広く一般にも認識されていますが、その実際の活動と本来的に期待されていることは多様で幅があります。また、実際に大災害が起こると、目の前の業務に追われて十分に機能が発揮できなくなる傾向も被災地ではみられます。

そこで、東京ボランティア・市民活動センターでは「25の事例・視点から学ぶ 災害ボランティアセンター設置・運営のヒント」を作成しました。当センターの浅野も作成に参加しました。

そして6月8日と10日、主に都内市町村の社会福祉協議会職員を対象に(一部NGOからも参加)、この冊子作成に参加・協力した災害支援のNPO/NGOや社会福祉協議会のメンバーなども各セッションごとに登壇する形の「災害ボランティアコーディネーター養成講座 運営者コース」が実施されました。
 

●災害ボランティアコーディネーター養成講座 運営者コース

主なテーマは下記の通りです。

男女共同参画の視点の防災の取り組みは、幅広い関係者、特に、地域コミュニティや行政の危機管理部門、要配慮者支援に関わる部門、そして、災害ボランティア活動に関わる人たちなどにも知っていただくことが重要です。浅野も作成関係者として登壇させていただきましたが、大変貴重な機会をいただきました。

各セッションでは、登壇者がそれぞれ執筆した事例等と絡めて10分程度発言したのち、参加者が各自持ってきた災害ボランティアセンターの運営マニュアルなども見ながら、テーマに沿って議論する形をとりました。

2)ボランティアの安全衛生について
健康リスクや公衆衛生的な安全衛生の観点に加えて、浅野からは暴力リスクの問題と対応体制(被災者同士、被災者と支援者、支援者同士)、個人情報などの管理について提起しました。

3)被災者のニーズ把握について
積極的なニーズの掘り起こしが論点でしたが、浅野からは、性別の視点でのニーズ把握の重要性について説明しました。特に女性が家族のケア役割を追わざるを得ない現状の中にあって、特に乳幼児・高齢者・障害者などの支援と女性の支援は裏表の関係ともいえます。

6)災害ボランティア・NPOにおける支援の視点について(寄り添い・エンパワメント)
被災者への寄り添いとエンパワメントが論点となっており、浅野からは、被災女性たちがプライバシーや安全も保たれない状況の中で、家族の世話に追われてパワーレスな状態となってしまう状況いついて説明し、寄り添い支援や女性が安心して話をしたり意見が出せる状況を作っていくことの重要性、そして、脆弱な立場におかれがちな人たちこそ、主体性を取り戻し、リーダーシップも発揮できるように支援していくことの重要性についてお話しました。

7)災害ボランティア・NPOにおける平時の取り組みを考える
国連防災世界会議の「仙台防災枠組」の概要および災害リスク削減の考え方の説明とともに、平時から地域・社会を安全・安心で持続可能なものにしていくことが、災害の被害を防ぐことにつながるという考え方が国際的には主流であることをお伝えし、平常時の地域福祉の推進や貧困問題や暴力問題・男女不平等の改善と、災害時の被災者支援・対応体制については、表裏のものとして考えていきましょうと提案しました。

両日とも、人道支援の最低基準「スフィア・プロジェクト」の抜粋も紹介しながら、ジェンダーの視点が、単に女性の支援にとどまらず、被災者支援のあらゆる側面に関係していることをお伝えし、男女共同参画センターや女性団体との平常時からの連携を提案しました。

(文責:浅野幸子)

 

<講座の内容> 〜は登壇者。登壇者のうち女性は、浅野と神元氏

【6月8日(水)】
1)災害ボランティアセンターの設置目的について考える
  〜ADRA Japan:渡邉氏  文京区社協:平石氏
   ピースボート災害ボランティアセンター(PBVC):上島氏

2)ボランティアの安全衛生について
  〜震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな):松山氏  GDRR:浅野

3)被災者のニーズ把握について
  〜震つな:松山氏 GDRR:浅野 大島社会福祉協議会:鈴木氏

4)災害ボランティア・NPOの連携(民間×民間)について
  〜大島社協:鈴木氏 ピースボート災害ボランティアセンター:上島氏

【6月10日(金)】
5)災害ボランティア・NPOと行政との連携(官民連携)について
  〜大島社協:鈴木氏 (PBVC):上島氏
   いたばし総合ボランティアセンター:神元氏

6)災害ボランティア・NPOにおける支援の視点について
  (寄り添い・エンパワメント)
  〜大島社協:鈴木氏 いたばしボラセン:神元氏 GDRR:浅野

7)災害ボランティア・NPOにおける平時の取り組みを考える
  〜大和市社協ボラセン:浅見氏 GDRR:浅野
   東京災害ボランティアネットワーク:福田氏

 
※補足
災害ボランティアセンターについて少し浅野なりに補足します。現在、災害ボランティアセンターは、各市町村や都道府県の社会福祉協議会が、自治体との協定に従って設置・運営を担うというケースが大半です。

しかし、社会福祉協議会(以下、社協と略記)は日頃から地域福祉に関わる業務を担う組織であり(小地域福祉活動の振興、権利擁護、ボランティアセンターの運営のほか、高齢者・障害者等の直接支援事業を行っているケースもある)、災害支援の専門性を積んでいる人が配置されているわけではありません。

ところが災害ボランティアセンターを設置すると、一般ボランティアの受け入れとともに、ドロ出しやがれき撤去(それに伴う資機材の調達・貸出なども含む)、物資整理、避難所運営支援など、さまざまな被災者支援ニーズへの対応に追われて、災害ボランティアセンターが期待される幅広い役割や、設置主体となる社協が持つ資源や専門性を有効に生かすこともできなくなってしまう傾向もみられます。

またそもそも、災害ボランティアセンターは、同じ自治体内に複数あっても問題はないはずですし(事実、被災エリアが広い場合はサテライトが設置されるケースも多い)、必要に応じて、社会福祉協議会以外の民間団体も災害ボランティアセンターを設置するケースもあってよいはずです。大切なのは、関係者が被災者目線に立ってニーズの把握やアセスメントができるかどうか、そしてさまざまな主体と柔軟に連携・情報共有してコーディネートできているかどうかではないしょうか。

「より良い暮らし」をつかむまでの長い道のり ― 大地震から1年を迎えるネパールの女性たちの今

ネパールは大地震発生から間もなく1年を迎えますが、新憲法公布や燃料危機などの影響を受け、順調に復興が進んでいるとは言えません。しかし、地震をきっかけに、新たな活動を始めた女性たちも少なくありません。
 

12月と2月の現地訪調査から、ダンス・ムーブメント・セラピーなど精神面での支えとなる活動、復興住宅への改良かまど導入の展望、また作成中の「ジェンダー・多様性配慮、紛争再発予防の視点を取り入れた災害支援の好事例集」の進捗状況について報告します。
 

【日時】 2016年4月15日(金)午後6時30分~8時30分

【場所】 日本女子会館  5階 大会議室MAP
港区芝公園2-6-8 / 都営三田線「芝公園駅」、都営大江戸線「大門駅」、JR「浜松町駅」から徒歩3-8分

【報告者】
◆田中雅子(ネパール地震ジェンダー配慮支援の会 代表/上智大学教員)

◆鶴井視記子(同 調査研究担当/株式会社サステイナブル 国際協力コンサルタント)

【参加費】 500円(資料代等)

【定員】 40名(先着順)

【主催】ネパール地震ジェンダー配慮支援の会

【共催】株式会社サステイナブル

【申込】参加登録:参加ご希望の方は、info@sustainable-inc.jp

に、「お名前」、「ご所属」、「メールアドレス」をご連絡ください。メールの件名は「ネパール大地震報告会」でお願いします。

「フォトボイス展—女性たちの写真と声が伝える東日本大震災  &撮影者の話しを聴く会〜大震災から5年〜私たちの今とこれから〜」

NPO法人フォトボイス・プロジェクトより、エセナおおた(大田区立男女平等推進センター)との共催によるフォトボイス展のお知らせです。

被災者自らがカメラを手に、風景を切り取りながら、被災経験や避難生活の思いを言葉にしています。

撮影者のお話の会も2日間開催されます。
東日本大震災から5年。被災女性たちの声に、思いにあらためて触れてみませんか?

《フォトボイス展—女性たちの写真と声が伝える東日本大震災》

◆会期:3月14日(月)〜3月31日(木)
◆時間:9:00〜21:00 最終日は14時まで
◆会場:エセナおおた 1階展示コーナー

 

《撮影者の話しを聴く会〜大震災から5年〜私たちの今とこれから〜》

1 3月21日(月・祝日)13:00〜15:00
被災地から3人の女性(宮城県石巻市・女川町、福島県川内村)
2 3月22日(火)19:00〜20:30
首都圏に広域避難している女性お二人

◆会場:エセナおおた 会議室 B
◆対象:原則大田区在住・在勤・在学の方
(区外の方もOK)
◆定員:各界30名
◆申込先:FAX 03−5764−0604
Eメール escena@escenaota.jp

◆申込方法:次の6項目ないし7項目を記載してください。
(1)フォトボイス報告会 (2)〒住所 (3)名前(ふりがな)
(4)年齢 (5)電話番号 (6)FAX番号 、メールアドレス
(7)保育希望の方は子どもの名前、年齢(月齢)と保育カード送付の
ためのFAX番号かメールアドレスを明記

(個人情報は適切に管理し、講座目的以外に使用しません)

<詳細> チラシはこちらから→チラシのダウンロード

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子育て世代の女性が多く来てくださいました!市民向け講座「男女平等の視点から〜避難所生活について考える」(名古屋市)

9月27日、名古屋市男女平等参画推進センター イーブルなごやの主催事業として、市民向け講座「男女平等の視点から~避難所生活について考える」を開催されました。名古屋市内で女性の目線での防災活動を進めているグループ「エンジェルランプ」の企画・運営によるもので、当センターの浅野がメインの講師をつとめさせていただきました。

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午前の講演、昼食は防災食の試食、そして午後のワークショップと丸1日のスケジュールでしたが、託児付きで、防災食の試食もあるということで、多くの子育て中のママさんの参加がありました。地域の防災活動を担っている男性の参加者も何割かおり、性別・世代を超えた交流となるよう、グループで着席していただきました。

午前中は、まず家族防災の基礎知識と、避難生活を中心になぜ地域での助け合い活動が必要か、性別の視点でどのような問題が起こり、なぜ女性の参画が大切かについてお話しました。

昼食前には、エンジェルランプ代表の椿佳代さんから災害時の食について説明があり、その後、アルファ米、パスタなどバラエティに富んだいわゆる防災用食品とともに、ビニル袋に入れた薄切りの人参・ジャガイモ等の材料を、熱く沸かしたお湯に入れてそのまま置いておく「保温調理」で作った肉じゃがなども用意されました。各テーブルともに、午前の講義の内容もあってか、防災食を囲んで話に花が咲いていました。

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エンジェルランプ代表 椿佳代さんによる
「災害時のアイディアレシピ」の説明

午後のグループワークでも、みなさんお互いに積極的に発言しあっておられました。来るべき大災害に備えて、性別・多様な立場を認め合いながら助け合うことの重要性を実感していただけたようです。

若い方たち、とくに小さなお子さんのいる世代は、災害に対して学びたいという気持ちを持っていても、子どもにもまだまだ手がかかる中で、どこでどのように学べばよいのかわからない、講座などに申し込むのもちょっと勇気がいるといった方が多いと思います。

ですから、今回のように託児支援付きで、食を間に挟みながら、家庭防災、そして地域での助け合い活動について段階的に学べる内容は、参加しやすかったと思います。

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「災害時の連携を考える全国フォーラム」と「団体力パワーアップ講座」

東日本大震災の経験から理解された災害対応の課題の一つは、被災者支援活動をより円滑にサポートし、支援の漏れや偏りを起こさないためには、全国域の災害対応ネットワークが必要だということです。行政と民間団体、民間団体同士の連携をつくり出し、情報の共有と支援の調整をするための仕組づくりが必要とされています。

平常時から、被災者支援を行う関係者が、市民セクター間(NPO・NGO、災害ボランティアセンター等)で、また産官民(経済界/国、県の対策本部など)等のセクターや地域の災害対応ネットワークを越えて連携を強化促進し、お互いを理解しておくことが必要とされています。また、大災害時には、支援活動の全体像を把握し、支援を調整する機能が求められます。災害前から、これらの連携体制の議論が進んでいれば、より有益かつ迅速な支援活動が展開できます。

そのために、「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」が準備されており、立ち上げのための「災害時の連携を考える全国フォーラム」が、2016年2月12日(金)、13日(土)に東京都内で行われました。
(フォーラムのウェブサイトはこちら http://www.jvoad.jp/forum2016/ )

当センターは、その第6分科会「多様性に配慮した被災者支援:課題と展望」のパネルディスカッションに参加し、「女性に配慮した被災者支援の課題と展望」について報告しました。この分科会では、障害者、女性、外国人、高齢者などに配慮した被災者支援の課題と展望を各パネリストが報告し、「災害時において多様な人々が支援からこぼれない体制(取組・仕組み含む)」について議論しました。

東日本大震災では、とりわけ緊急期においては、女性対象の支援や男女共同参画の視点を持った支援を行うことすら難しかったという課題があります。その理由は、まだ男女共同参画や多様性の視点による災害支援の必要性や具体的な取り組みが周知されていなかったこともありますが、まさに、災害支援を行う行政や民間セクターと、男女共同参画の視点を持った支援者との連携がまったく築かれていなかったことも原因でした。状況は改善してきてはいるものの、現時点でも、「ボランティアセクターと男女共同参画セクターの連携が深まらない」、「防災の研修を受けた女性たちが自主防災組織・ボランティアセンターと繋がれない」、「行政の男女共同参画担当部署と危機管理部署、他部署の連携促進が遅い」という課題が見られています。また、セクシュアル・マイノリティの位置づけや、重なり合う脆弱性の扱い(例えば、ジェンダーと障害)も、まだまだ議論されていません。
 
ところで、このJVOADの設立準備とは別に、全国女性会館協議会が中心となって、「大規模災害時における男女共同参画センターの相互支援システム」も構築されつつあります。これは、全国の男女共同参画センター(女性センター)を結ぶ災害復興支援のためのネットワークです。災害時に男女共同参画の視点を持った支援、女性支援をスムースに行うための試みで、男女共同参画という一つのセクター内での広域連携を目指すものだといえます。

この動きに呼応する形で、個々の男女共同参画センターを拠点に一つの市内で活動している男女共同参加系の団体が、災害時の地域の被災者女性支援を想定して連携する試みも見られるようになって来ました。静岡市女性会館(指定管理者:NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか)では、2007年以来、災害・減災関係の講座を開催してきました。2016年1月31日には、「団体力パワーアップ講座 日頃の活動を現在に活かす」と題して、災害・復興時に団体の持つ力を活かして協力し、お互いの力を補い合える関係をつくるための講座を行いました。当センターのメンバーがファシリテーターを務め、女性会館の利用者団体がお互いをよく理解し、また団体の組織力を分析し、災害時の強みを発見するワークショップが実施しされました。

「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」と、「大規模災害時における男女共同参画センターの相互支援システム」は、その目的に共通する部分が多くあります。「災害時の連携を考える全国フォーラム」で「多様性に配慮した被災者支援」が重要な課題として取り上げられたことは、大きな前進です。これから築かれていく全国域の災害対応ネットワークでは、多様性への配慮は、専門技能を持った支援団体が行うだけではなく、すべての支援者に初期設定として組み込まれた発想でなければなりません。そのためにも、男女共同参画セクターとの連携は、ますます不可欠です。

災害ボランティア団体の間で、そして男女共同参画団体の間で、現在は別々の場所で行われている「災害時の連携」への試みが、相互に有効な形でさらに連携することが必要だと、強く感じました。

『男女共同参画・多様性配慮の視点で学ぶ防災ワークブック』等の富山県女性財団での活用について

富山県女性財団から、当センターが作成したワークブックを活用した、県内での普及・啓発活動の様子について寄稿いただきましたのでご紹介します。

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富山県女性財団は、男女共同参画に関する学習をしているグループ等を対象に、出前講座を開催しています。今年度は、減災と男女共同参画研修推進センター(GDRR)が作成した『男女共同参画・多様性配慮の視点で学ぶ防災ワークブック』及び啓発スライドを活用して、出前講座メニューに「災害・防災について男女共同参画の視点から考える」を新設しました。

これまでに実施した出前講座の受講者からは、「日ごろから男女共同参画が必要だということを改めて認識できた」「こういう話を各公民館でも広めていき、みんなで考えていく必要があると思う」「災害・防災については、平常時の備えが大切と分かったつもりでいたが、具体的な状況を考えてみることが少なかったと気付いた」等の感想が届いています。

出前講座については、「サンフォルテだより Vol.97」p7をご覧ください。
→ http://www.sunforte.or.jp/attach/DL/41/attach/DL_41_20151030024624-3.jpg

「防災の主流化」研修(JICA主催)より

今年3月に行われた仙台防災会議で採択された「仙台防災枠組」(2015-2030)の基本的な考え方は、社会に潜む脆弱性の解消も視野に入れた「災害リスク削減」です。つまり貧困対策、ケア、就労や雇用、医療制度、社会保障制度、地域政策など、社会の脆弱性と関わる分野と災害リスクを重ねあわせて対策を取ることが大切だということです。

日本政府が行う防災分野での国際協力も、その方向性を目指していますが、発展途上国から災害関連の政策を担う公務員を招いて行われている研修(「防災の主流化」研修)の一環として、先日都内で、各国の政策・制度整備状況の報告会が開催されたため参加してきました。ちなみに当センターは、この研修の一コマで「災害リスク削減のジェンダー主流化」の講義・演習を担当しています。

研修生は、12カ国から15人で、危機管理担当だけではなく、保健医療や社会福祉担当の省庁や、警察、市民防衛(Civil Defense)部署の人も複数いました。残念だったのは、研修生が全員男性だったことです。

まず研修の冒頭で、講師から仙台防災枠組に触れながら災害リスク削減の説明がありました。
1)防災や発災後の救援体制の充実だけではなく「災害リスク削減」を政策として明示すること、2)社会経済環境面のすべての政策分野と災害リスク削減を関連付けるためには、他の省庁と連携することが重要なこと、3)そのためには災害が起こった後ではなく事前に投資を行う必要があることなどが強調されました。

報告の中から印象に残ったものを幾つか紹介します。南米のチリでは、保健分野の国家戦略の中に災害対応が位置づけられ、保健省内の各部署が災害時に連携できる仕組みが紹介されました。ジェンダーの話はありませんでしたが、先住民(インディオ)団体との連携について指摘がありました。また、チリでは、自治体と大学とコミュニティが協働し、日中だけではなく真夜中にも津波避難訓練をしているそうです。フィジーの防災対策は、農村海洋開発・防災省が担っているようですが、報告者によると、単一の省庁が担っていても開発政策と防災を結びつけるのは、これからの課題とのことでした。一方、バングラデシュでは、15の省庁で担当分野の政策に災害リスク削減を統合するためのアクションプランが作成済みだそうです。

多様なバックグラウンドを持つ参加者の報告は内容が多岐にわたり、これから新しい政策や制度を作り上げていくのだという熱意が感じられるものばかりでした。災害リスク削減の発想は、ぜひ日本国内でも主流になってほしいものです。

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  JICA研修の様子

8月1日 公開研究会 & フォローアップ研修 報告

8月1日(土)、厳しい猛暑の中、今年度第1回の公開研究会とフォローアップ研修を開催しましたが、両方とも約20名の参加をいただきました。

ここでは公開研究会での報告の概要をお伝えます。新たな人道支援の基準(CHS)に関してお話下さる難民支援協会常任理事の石井さんは、国内の人道支援関係者の中では早くから人道支援のあり方に関する国際的な議論や人道支援基準に関心をもって取り組んでこられた方です。

フォローアップ研修では、3月に完成したワークブックの趣旨と活用のポイント、教材の概要を説明しながら、合間にいくつかのワークショップを参加者の方にも体験していただきながら、教材の効果的な活用方法・学習の場づくりについて考えましたが、詳細は略します。今後も、同様のワークブック活用のための研修を何回か実施する予定です。

 

<2015年度 第2回公開研究会> 
「国連防災世界会議と新たな人道支援の基準(CHS)を踏まえた、
 今後の地域防災の取り組みについて」
①国連防災世界会議の振り返り(当センター共同代表 池田恵子)

1994年に横浜で行われた第1回国連防災世界会議で採択された「横浜戦略」で、災害リスク削減に女性や社会的不利な集団の参加・エンパワーメントを奨励する文言が入り、2002年の第46回国連女性の地位委員会で、ジェンダーの不平等は災害脆弱性の根本原因の一つであると確認されるなど、国際的には早い段階から性別や多様な立場の人への配慮と当事者の参画の重要性が共有されてきました。

しかし国内で本格的に認識されるようになったのは2011年の東日本大震災以降であり、まだまだ防災関係者にさえ定着しているとは言えない状況です。

2005年に神戸で開催された第2回国連防災世界会議では「兵庫行動枠組」(資料スライド_池田1)が採択されました。第3回国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組」(2015-2030年)は、「兵庫行動枠組」を基本的に踏襲しており、2030年までに「人命・暮らし・健康と,個人・企業・コミュニティ・国の経済的,物理的,社会的,文化的,環境的資産に対する災害リスク及び損失の大幅な削減」を目指しています(資料スライド_池田2)。

 

14の原則の中でも、下記は特に注目されるところです。

 ④ジェンダー、年齢、障害がいの有無、文化の重視と女性・若者のリーダーシップ
 ⑤セクター内・間の関係者間の調整と連携
 ⑧他課題との関連性(持続可能な開発、貧困削減、気候変動、食糧など)
 ⑩社会経済環境面の災害リスクへ解消を優先

 

そして、優先行動項目の3番目の「レジリエンスに結びつく災害リスク削減への投資」では、「社会的セーフティーネットや社会包摂の政策のデザインと実施を強化する。コミュニティの関与、生計向上、妊産婦・新生児・子どもの健康、性と生殖に関する健康を含む基礎保健活動へのアクセス、食糧の安全保障と栄養、住居と教育、貧困撲滅などの分野で、政策が災害後の段階でも通用する解決策を提供できるようにする。より多くの被害を受ける人々のエンパワーメントと支援を行う」としています。

なお、「仙台防災枠組」の前文で<災害リスクを本質的に削減しようするなら、人とその健康と生計に焦点をあてた発想を普及すべき>と明記されています。初期消火や応急救護、避難誘導などの直後対応やハード面での整備のみをもっぱら重視する日本的「防災」ではなく、「災害リスク削減」、つまり日常社会の中にある格差や生活課題こそが、災害時の被害(犠牲者の発生や生活復興を含む被災者が直面するさまざまな困難)を大きくするのだ、という国際的な理解を前提に、もっと人々の置かれた状況とくらしのあり方を中心に据えた、防災政策のあり方が国内で問われているといえるでしょう。

 

 

②新たな人道支援の国際基準~
Core Humanitarian Standard(CHS)をめぐる動きについて

              (認定NPO法人難民支援協会 常任理事 石井宏明さん) 

人道支援における国際的な共通の行動規範・指針に対する関心が高まったきっかけは、1994年に起こったルワンダ虐殺(下部注※1)から始まる一連の人道危機です。支援現場で適切な人道支援が行われているかどうか、被災者が不利益を被ったり人権を脅かされるような問題が起こっていないかなどを調査・観察するプロジェクトが展開されたことから、支援の質や支援団体の説明責任について議論されるようになりました。その後、スフィア・プロジェクト(人道支援の事業実施レベルの行動指針として活用される基準)、ピープル・イン・エイド(人道支援組織のための人材マネジメントの指針)、HAP(主に事業計画・管理レベルにおける組織としての責務を設定した基準)などの人道支援の基準が複数作られるようになりました。(下部注※2※3

現在、「支援の質」と「説明責任」(Quality and Accountability :Q&A)がセットで議論されるようになっていますが、質の高い支援とはどういうものでしょう。それは、被災者が「尊厳ある生活」を営むための最低限のモノ・サービスが提供されるだけでなく、被災者自身が納得・満足する形での支援プロセス、モノ、サービスの提供が行われることです。

そして、質の高い支援が行われるようにするには、支援者であるNGO/NPOが組織として、情報共有、調整と協働、参加、透明性、クレーム対応、スタッフの能力にかかわる仕組みや体制をつくることが大切となります。説明責任といえば、従来は活動資金を提供してくれる団体・個人に対してどのように説明責任を果たすことができるかがもっぱらの関心でしたが、今では、支援を受ける側である被災者の視点に立つ形で、組織としてこれらの取り組みを行っているかどうかも、被災者支援の実施者であるNGO/NPOの「説明責任」として問われるようになってきたのです。国際社会の動向と比べると、日本国内ではこうした国際人道基準への理解や具体的な対応はあまり進んでいなかったのですが、東日本大震災において避難所運営や物資配給、被災者の(とくに脆弱層に配慮した)権利保護の面で、十分な支援を行うことができなかったとの反省から、現在では国内の市民団体や民間・公的セクターの中で、スフィア・プロジェクト等の国際人道基準への関心が高まっています。

 

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難民支援協会でも、説明責任の実践として独自の行動指針(Code of Conducts)を策定した上で、相談に来る難民の方たち自身も、スタッフの対応や支援内容に関する意見・苦情を組織に対して直接伝えることができるよう、事務所内にフィード・バック・ボックスを置き、届いた内容について組織として対応する体制を構築しました。事実確認だけでも膨大な時間と手間がかかるため、そうした声にきちんと対応していくのは大変なことではありますが頑張っています。

人道支援基準は重要ですが、さまざまなタイプのものが複数存在しているため、2012年末から2013年にかけて、スフィア・プロジェクトやHAPといった中核的な人道支援基準を統合しようという「ジョイント・スタンダード・イニシアティブ」が開始され、114か国からの参加者が協議を重ねました。そして、ピープル・イン・エイドとHAPに、スフィア・プロジェクトの中のコア基準の部分を取り出して加える形で、新たな国際基準としてのCore Humanitarian Standards(CHS)とるすことになりました。それは9つの原則と質的要件により構成されるもので(資料スライド_石井)、さらにこの原則が着実に実践されるよう支援するための、「ガイダンスノートと指標」と「検証フレームワーク」が現在開発中であり、すでに試験的に利用されています。

こうした基準は今後、助成金や補助金の獲得の際などに大きく影響してくるでしょう。たとえばジャパン・プラットフォーム(JPF)という、国際協力NGOによる人道支援活動を政府・企業も一体となって資金や物的な側面から支えていくための組織がありますが、東日本大震災が起こる少し前から助成金を申請する団体に対して、申請事業が既存の国際基準を満たしたものであるかどうかを申請書類に書いてもらう取り組みを始めています。

なお、国や自治体が被災者支援の質を問われるのは当然のことですが、東日本大震災では企業がNPO/NGOと同様の非営利の支援活動を行う例も多くみられました。そうした企業による支援活動でも、こうした人道支援基準を意識してもらえるようにする必要があるのかもしれません。

7月24日、国内の17団体・7個人の参加により「支援の質とアカウンタビリティ向上ネットワーク」(JQAN)が発足し、難民支援協会は幹事団体に選任されました。主な活動方針は、国際社会で共有されている人道支援の諸原則、基準類を理解し、実践できる支援実務者および団体の育成と、こうした人道支援の諸原則・基準と実践について継続的に教授・指導ができる日本のNGO人材の育成、そして、主に日本の国際協力、緊急人道支援、減災防災活動に関わる政策立案者、資金提供機関関係者への提言活動と、国内外での経験の国際社会での発信や調査活動などです。

ただ、国際基準をそのまま国内に導入するのが良いのかどうかについては、もう少し議論が必要だと考えています。良い形で普及が進むよう、今後もみなさんと一緒に考えていきたいと思います。

 

 

※1 紛争により10日間で50~100万の人々が虐殺されたと言われている。

※2 難民支援協会によるスフィア・プロジェクト(三訂版)の日本語訳は、ウェブ上からダウンロードできます。( https://www.refugee.or.jp/sphere/

※3 スフィア・プロジェクトはページ数がとても多いので、とりあえず人道支援の国際基準とはどんなものなのかを知りたい、現場での活用のイメージに少しだけ触れてみたいという方は、スフィア・プロジェクトの概要と、衛生・栄養・避難施設といった分野別の具体的な支援基準のうちから、性別や多様性配慮に着目して抜粋・翻訳したものを紹介した、「こんな支援が欲しかった!現場に学ぶ、女性と多様なニーズに配慮した災害支援事例集」の33~38ページを、減災と男女共同参画 研修推進センターのウェブサイトからダウンロードしてご覧ください。( http://gdrr.org/2014/05/149/

8月1日 公開研究会&フォローアップ研修(ワークブック活用法)のお知らせ

 減災と男女共同参画 研修推進センター(GDRR)は、8月1日(土)、都内で公開研究会とフォローアップ研修を下記の通り開催いたします。ぜひふるってご参加ください!
 

<概要> 

【日 時】 8月1日(土) 

◉午前10:00~12:00 【公開研究会】
「国連防災世界会議と新たな人道支援の基準 Core Humanitarian Standard
を踏まえた、今後の地域防災の取り組みについて」

今年3月の国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組」と、2014年12月に人道支援分野の国際的な3つの基準(HAP、People In Aid、スフィア・プロジェクト(一部))が統一されてできた、Core Humanitarian Standardという新・国際基準を踏まえて、今後の国内でのジェンダー・多様性配慮の定着のためにどのような取り組みが必要か考えます。

  ▼進行  GDRR共同代表  池田恵子 (静岡大学教員)
  ▼お話 (特活)難民支援協会 常務理事 石井宏明さん

 

◉午後13:00~16:00 【フォローアップ研修】
「ワークブックを活用した学習プログラム」
4月に完成した『男女共同参画・多様性配慮の視点で学ぶ 防災ワークブック ~地域・支援団体で使える!基本知識の解説とワークショップ教材8』を使いつつ、住民・市民向けの効果的な学習のあり方について、模擬ワークショップも交えながら、研修を実施します。

※ワークブックをすでにお持ちの方は持参下さい(ワークブック代は不要です)。
※過去に当センター主催の人材育成研修に参加された方はワークブックを無料で差し上げます(参加費のみ)。
  ▼進行:GDRR共同代表 浅野幸子(大学非常勤講師)

※午後は基本的に、これまで災害と男女共同参画・ジェンダーについてある程度知識のある方を対象として想定しております。

 
【場 所】 キャンパスイノベーションセンター東京 
  〒108-0023 東京都港区芝浦3-3-6  (地図

【参加費】
◉午前=公開研究会 300円 
◉午後=フォローアップ研修 100円+ワークブック 900円(通常 1,000円)

※ワークブックをすでにお持ちの方は持参下さい(ワークブック代は不要です)。
※過去に当センター主催の人材育成研修に参加された方はワークブックを無料で差し上げます。

【申込み】 こちらのフォームからお願いします 

【お問合せ】:contact*gdrr.org (担当・浅野)*を@に変えてください。

4月24日 福島県男女共生センター主催の「災害とジェンダーに関する人材育成トレーニングプログラム」をお手伝いさせていただきました!

4月24日(金)、福島県男女共生センターの主催による「災害とジェンダーに関する人材育成トレーニングプログラム」が、センターの研修室を会場に実施され、県内各地の自治体(防災担当、男女共同参画担当)、消防、男女共同参画センター、社会福祉協議会、公民館の各関係者から、さまざまな女性団体のリーダーまで、約30人参加されました(男性を含む)。

わたしたち減災と男女共同参画 研修推進センターでは、浅野と池田が講師として企画・運営をお手伝いさせていただきましたが、国連防災世界会議の成果と課題についても振り返りながら、基礎的事項とワークショップで学習を進めさせていただきました。新作のワークブックも提供させていただき、実際に教材を使ってみました。

朝10時半~15時半まで、盛りだくさんの内容でしたが、震災から4年経った今からこそ、防災の取り組みを進めていこう。そんな参加者のみなさんの熱気を感じ続けた一日でした!

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