「災害(復興)・防災と男女共同参画に関する講師養成研修」開催しました!

12月16・17日と、男女共同参画・多様性配慮の視点による防災対策を普及・啓発できる指導者を養成するための研修を、全国女性会館協議会と減災と男女共同参画 研修推進センターの共催により開催しました。

会場は大田区の 男女共同参画センターの学習室です。今年で3年目ですが、2日間の研修を終えた方には当センターの基礎教材のスライドを無償で提供させていただき、地域で活用いただくことにしています。

今回の参加者は、全国の男女共同参画センタースタッフ、NPO・ボランティアの中間支援組織スタッフ、地域で男女共同参画の視点による防災の普及に取り組んだり、自主防災組織で悩みながら活動している男女の若手リーダーなど12名で、熊本、新潟、広島と、被災経験のある地域からの参加もあったことから、熱い議論が交わされました。

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1日目の最初は〔1〕基礎知識として、市民、地域組織から行政職員まで、最低限知って欲しい知識について学びました。その際、特に自治会・町会、自主防災組織の男性リーダーのみなさんにも理解していただけるかどうかを一つの目標とすることで、幅広い普及に応えることが可能となるのではないか、と提案させていただきつつ、この教材を使って人前でお話をする時のポイントについてもお伝えしました。

つぎに〔2〕災害時の要配慮者支援ワークショップでは、災害時に脆弱とされる人の議論が、国際的議論と国内政策でどのぐらい違うのかと、国内の政策的な議論の経緯について説明したのち(災害弱者 → 災害時要援護者 → 避難行動要支援者&要配慮者)、模造紙とふせんを使って、一般的な小学校が避難所になったと仮定して、視覚障がい者、聴覚障がい者、肢体不自由者や車いすの人、慢性疾患の人(糖尿病・高血圧・えんげ障がいなど)、アレルギー疾患(喘息・食物アレルギー・アトピー性皮膚炎など)、乳幼児・子ども、外国人、が、それぞれどのようなことに困るのかを考えました。

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ワークショップ最後に、参考資料を配布しつつも、支援に関する知識よりも大事なことは、相手の立場に立とうとする気持ち、当事者に意見を求めようとするコミュニケーション力(当事者やその家族・支援者が答えを持っている)、当事者を主役として対等な立場で協働で課題解決していく体制をつくっていくことであることを確認しました。

1日目の最後〔3〕〔4〕では、地域防災活動がどのように取り組まれているのか、そこでの女性の位置付けと、女性が活躍できている地域の事例(組織体制の工夫を含む)、そして、各地の啓発事例をもとに、研修・講座のタイプや意義・効果について考えました。終了後は自由参加の情報交換会でおおいに盛り上がりました。

2日目は最初に、〔7〕で男女共同参画・多様性配慮の防災についての国際動向と国内政策について説明したのち、〔8〕では災害時の女性と子どもに対する暴力の実際と対策の方向性について学んだ上で、避難所に貼り出す暴力防止のポスターを作るワークショップを行いました。素晴らしいアイディアばかりで、災害時の実際の啓発に役立ちそうです!

午後、〔9〕では今回のメイン教材の一つである、当センター発行の『ワークブック』の教材の紹介を詳しく行いながら、短いワークを行いました。

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最後に、〔10〕では、男女共同参画センターや女性センター等の防災上の役割(平常時・災害時ともに)について、内閣府男女共同参画局の指針等も踏まえて考えた上で、地域組織等との連携も視野に入れた今後の事業展開についてアイディアを出し合いました。

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男女共同参画の推進に平時から取り組むメンバーだけでなく、地域で活動する男性の防災リーダーやNPOの中間支援組織の方も参加くださったことで、幅広い議論ができました。

受講された方には、今後の各地での事業の実施や、講師としての活躍を期待しています。

(文責:浅野幸子)

<講師養成研修のプログラム>

1日目 (13:30~17:30)

〔1〕基礎知識~男女で異なる被災経験と対策の方向性~ 
〔2〕災害時の要配慮者支援ワークショップ      
〔3〕地域防災の基礎と女性の活動状況  
〔4〕研修の種類と対象、意義、効果   
〔5〕質疑応答
〔6〕情報交換会(自由参加)

2日目 (9:30~16:00)

〔7〕国際動向および国内政策と現状
〔8〕災害時の女性と子どもに対する暴力とその対策 
〔9〕やってみよう!避難生活に関するワークショップ
〔10〕女性関連施設の役割とこれから
     
~プログラム&今後の取組みを考えてみよう!~
〔11〕質疑応答

9月9日 避難所・避難生活学会で勉強して来ました!

9月9日、東京の水道橋で第2回避難所・避難生活学会が開催されたので勉強してきました。

学会の会長は新潟大学で災害時の要援護者支援、エコノミークラス症候群の問題などに取り組んでこられた榛沢和彦先生で、医療関係者を中心に、東日本大震災や熊本地震、阪神・淡路大震災の事例などとともに、被災者の命と健康を守るために広範な議論がなされました。議論の対象は、避難所、在宅避難者、仮設住宅での避難生活がメインですが、都市計画系先生や弁護士・法学系の先生からの報告もあり、被災者支援に関する法制度の現状と問題点なども提起されました。

避難生活を通した、身体機能の低下、関連死、孤独死などをどのように防いでいくのかという具体策はもちろんのこと、日本の災害対策における、被災者支援をめぐる法整備や関係者間の連携など、幅広い課題が視野に入れられた充実した学会でした。

*大会の詳細プログラムはこちら→ http://dsrl.jp/gakkai2/

■どのように健康問題が生じたのか?

なかでも、大規模災害のたびに問題となる避難所の生活環境や支援のあり方についての、専門的な調査に基づいた提起に、問題の深刻さを改めて認識させられました。

最初に報告に立った石巻赤十字病院の植田信策先生は、東日本大震災の時の石巻市内の避難所環境の主な制約要因を、①広汎なインフラ破壊によるライフライン復旧の遅れ、②大量の瓦礫による支援物資の搬入困難、③住環境の喪失による避難生活の長期化、④流入した海の泥による粉じんの飛散、⑤寒冷期から夏期まで避難生活が長期化したことをあげました。

その結果、脱水(衛生状態悪化による嘔吐下痢症、飲用水の不足、不衛生な屋外簡易トイレの使用忌避による水分摂取抑制などが原因)、低体温症(暖房器具・燃料・毛布などの不足、津波でぬれた結果)、筋量や身体能力の低下(密集生活で長期間、姿勢や行動が制約された生活が原因。高齢者では自立度が低下)、不眠・高血圧(床での雑魚寝による睡眠中断が多い。不眠は高血圧の誘因にもなる)、咳・喘息(避難所内の粉じん吸入が原因。床の雑魚寝で悪化)、深部静脈血栓症(DVT。いわゆるエコノミークラス症候群。脱水による血液が粘性を高め、活動低下により下肢血流のうつ滞、避難時の外傷による血管内皮障害などが原因)の問題が起きてしまっていたとのことです。

 熊本地震の被災地からも、避難所及び仮設住宅おける被災者の心身の健康問題について報告がありました。また、テント泊や車中避難といった、熊本地震ならではの避難形態と健康課題についても指摘がありました。なお、熊本県では、「復興にはまず健康!」というポスターを作って、復興リハビリテーション活動を推進中で、地域密着型リハビリテーションセンターを各地に立ち上げて、住民の健康支援をしていく体制を取っているそうです。
このように、東北の事例などを踏まえ、会場では、今後の避難生活の長期化に備えた対策の必要性が共有された形となったように思いました。

■避難所運営に必要な女性、多様性の視点

なお、午後のプログラムには、男女共同参画と災害・復興ネットワーク(JWNDRR)代表の堂本暁子前千葉県知事より、「避難所運営に必要な女性、多様性の視点」と題した報告もなされました。

特に、東日本大震災の被災地で診療にあたった医師を対象に行った、避難所・診療所での医療・健康に関する医師会調査では、震災後におおく見られた疾患とともに、医師自信が避難所で困った理由も聞いており、特に女性への対応については、女性用診察スペースがなく、十分に診療ができなかったという現実や、妊婦への対応が不十分、母乳不足や哺乳力低下といった問題も生じていたとのことです。

国連防災世界会議で採択された「仙台防災枠組み」で、防災政策・計画・基準を企画・立案する際には、女性・子ども・青年・障害者・貧困者・移民・先住民・ボランティア実務担当者・高齢者などの、関係するステークホルダーを関与させる必要があること、女性の参加、女性の能力開発が重要であるとされていることなどについても、わかりやすく説明がなされました。

こうした国際的な潮流について、災害現場では影響力の大きい医療関係者の方々に知っていただくことはとても重要なことだと思いました。

避難所内の真菌浮遊については、避難所の床に直接敷かれた布団と接していた床に、びっしりと白いカビが生えた写真も投影され、いかに劣悪な状況だったかが想像されました。

そして、こうした状況に、簡易ベッドを導入しただけで、咳症状の減少、不眠の解消、腰痛の減少、歩行速度の上昇、身体的精神的ストレスの優位な改善、一部で血栓の減少が見られるなど、被災者の方の心身の健康改善につながったという報告もなされました。

植田先生は、仮設住宅でも心身の健康問題が起こっていると指摘します。同じく午前に報告した盛岡市立病院の佐々木医師の報告によると、仮設住宅紀地上権に着目し、血栓症の人が多い仮設団地は、元の居住地域から離れた不便な場所、傾斜がきつい場所など位置する傾向があるとのことです。

■今後の対策のために

阪神・淡路大震災以降、避難生活の問題は繰り返されてきました。その起こり方に多少の差はあれ、原因や現象は似通っています。持病の悪化、肺炎やインフルエンザ、下痢、血栓症などにより命を落とす人、状態が悪化する人、寝たきりになる人などを生んでしまってきましたが、避難所や仮設住宅の環境改善、適切な支援により改善の余地がたくさんあります。特に、医療関係者と被災した自治体、地域リーダー、ボランティアなどによる効果的な連携が求められます。

加えて、被災者救援のための法律である災害救助法が、生活復旧段階である中・長期的な避難生活に十分対応できていない(古い時代につくられた法律)、災害救助法を被災した自治体や支援者が十分に理解できていない(限界はあるが運用次第でさまざまな支援が可能だが、知らないために、自治体としての支援が限定されてしまう)、といった問題もあります。

これから、防災に取り組む女性が増えていくことでしょう。一方で、災害もさまざまな形を取っていつ襲ってくるともわからない時代となっています。

今後は、医療や法律などの専門家とも連携させていただきながら、男女共同参画・多様性配慮の災害対策・被災者支援の質の向上に努めていく必要があると思いました。

(文責 浅野幸子)

「イザ!カエルキャラバン!」合同研修会体験記

神戸のNPO法人プラス・アーツが開発した、子ども向けの防災プログラム「イザ!カエルキャラバン」の普及のため、同法人が、プログラムを実践したい人向けの合同研修会が、7月に東京で開催されました。

減災と男女共同参画 研修推進センターの連携講師を務めてもらっている、神奈川災害ボランティアネットワーク理事の塩沢祥子さんが参加し、体験記を寄せてくれました。女性や多様な人たちの地域防災活動への参加を議論すると、必ず出てくる、子育て世代の参加を高めるには?という声。こんなプログラムの存在を紹介するのも良いかと思います。

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熊本地震をはじめ、全国各地で頻発する地震からも、日頃から災害に備える大切さを考える機会がこれまで以上に増えている今日。とはいえ、地域の防災訓練を開催するとなると、若い家族をはじめとする新しい参加者を呼び込めるよう、毎年頭を抱える関係者も少なくないはず。そこで、防災訓練で運営側として携わる私は、以前から気になっていた、子どもも大人も《楽しみ》ながら《防災を学ぶ》がコンセプトの、「イザ!カエルキャラバン!」合同研修会に参加してきました。

▼「イザ!カエルキャラバン」のウェブサイトはこちら
http://www.plus-arts.net/?p=15458

「イザ!カエルキャラバン!」は、子どもたちや若い親子を対象に、震災時に必要な「技」や「知識」を身につけてもらう新しい防災訓練のシステム。美術家・藤浩志さんが全国で展開するおもちゃの物々交換プログラム「かえっこバザール」のシステムと、ゲーム感覚で楽しみながら消火・救出・救護などの知恵や技を学べる「防災訓練プログラム」を組み合わせたプログラムです。2005年に神戸で始まり、全国各地のみならず海外にも広がっています。(NPO法人プラス・アーツHPより)

会場に入ると、まず目を引くのがユニークなカエルのキャラクターと、壁や床一面に並べられた防災教材の数々。そして、高校生からシニア層まで幅広い参加者で満員状態、早くも期待が高まってきます。

前半の講演では、「イザ!カエルキャラバン!」のプログラム開発の経緯と概要、開催事例などの総合的な紹介がありました。そして、机上でメモを取るだけでなく、早速やってみましょう!ということで、まずは折り紙の要領で紙食器作り、防災体操(火事・津波、助けを呼ぶ、毛布担架を表現した体操)などを体験。休憩をはさんで後半では、防災体験プログラム「ミニ・イザ!カエルキャラバン!」として、毛布を使った運搬訓練でタイムを競う「毛布で担架タイムトライアル」、災害時に必要とされる家の中にある物を覚える「持ち出し品なぁに?」、紙芝居を楽しみながら学ぶ防災ゲーム「なまずの学校」など、様々なコーナーを、参加者の興味関心に応じて順々にまわります。

屋外イベントであれば、カエルを的にした「水消火器で的当てゲーム」で消火器の使い方を学ぶ(研修会は屋内のため紹介説明のみ)なども人気があるとのこと。どれも家族や友達と遊びながら防災のことを学び、そしてイザという時に役立つ知識と技術を体験することができるでしょう!

また、子どもたちにとって一層魅力的なのは、防災体験プログラムに参加したり、いらなくなったおもちゃを会場に持ってくるともらえる‘ポイント’を貯めて、おもちゃの購入(かえっこ)ができること。さらに、人気の高いおもちゃをオークション形式で購入できるなど、子どもたちが夢中になる仕組みが随所に散りばめられていました。防災イベントのこれまでのイメージや考え方をガラリと変える斬新さに驚きとワクワク感が込み上げてきました。

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写真は、この研修とは別に、いわき市で地元のグループが実施したカエルキャラバンのプログラムの一部の様子。子どもたちは、並べられた防災グッズを短時間で覚えたあと(すぐに布で隠されます)、何が置いてあったか思い出しながら手をあげて答えていきます。その後、講師がグッズを1つひとつ取り上げながら、なぜそのグッズが大事で、どのように活用できるかについて丁寧に説明しました。

今回研修会に参加してみて、防災は命にかかわる大切な取り組みであるけれど、子どもの視点で考え、自発的に参加してみたくなる発想の転換と、イベント演出を中心にしたプログラム構成に工夫を凝らすことにより、いつも決まった顔ぶれだけでなく、これまで防災訓練などに参加しようとしなかった子どもや家族を呼び込める期待を実感することができました。

「イザ!カエルキャラバン!」のこれまでの実績と、地域に応じたアレンジ事例などから、地域の住民が主体となって、一度きりのイベントではなく毎年の楽しみとして行われるイベントとして親しまれるよう、運営する側に立った目線で訓練の企画から具体的なオペレーションまで学べる素晴らしい機会でした。また、研修会終了後には、質問等に対応する個別相談会を受け付けていることも心強くなります。今回の学びや体験を持ち帰り、ぜひ次のアクションへつなげていきたいと思います。

(塩沢祥子)

6月8日・10日「災害ボランティアコーディネーター養成講座 運営者コース」報告

「災害ボランティアコーディネーター養成講座 運営者コース」でお話させていただきました

(東京ボランティア・市民活動センター主催)

今や大災害に「災害ボランティアセンター」が立ち上がるということは、広く一般にも認識されていますが、その実際の活動と本来的に期待されていることは多様で幅があります。また、実際に大災害が起こると、目の前の業務に追われて十分に機能が発揮できなくなる傾向も被災地ではみられます。

そこで、東京ボランティア・市民活動センターでは「25の事例・視点から学ぶ 災害ボランティアセンター設置・運営のヒント」を作成しました。当センターの浅野も作成に参加しました。

そして6月8日と10日、主に都内市町村の社会福祉協議会職員を対象に(一部NGOからも参加)、この冊子作成に参加・協力した災害支援のNPO/NGOや社会福祉協議会のメンバーなども各セッションごとに登壇する形の「災害ボランティアコーディネーター養成講座 運営者コース」が実施されました。
 

●災害ボランティアコーディネーター養成講座 運営者コース

主なテーマは下記の通りです。

男女共同参画の視点の防災の取り組みは、幅広い関係者、特に、地域コミュニティや行政の危機管理部門、要配慮者支援に関わる部門、そして、災害ボランティア活動に関わる人たちなどにも知っていただくことが重要です。浅野も作成関係者として登壇させていただきましたが、大変貴重な機会をいただきました。

各セッションでは、登壇者がそれぞれ執筆した事例等と絡めて10分程度発言したのち、参加者が各自持ってきた災害ボランティアセンターの運営マニュアルなども見ながら、テーマに沿って議論する形をとりました。

2)ボランティアの安全衛生について
健康リスクや公衆衛生的な安全衛生の観点に加えて、浅野からは暴力リスクの問題と対応体制(被災者同士、被災者と支援者、支援者同士)、個人情報などの管理について提起しました。

3)被災者のニーズ把握について
積極的なニーズの掘り起こしが論点でしたが、浅野からは、性別の視点でのニーズ把握の重要性について説明しました。特に女性が家族のケア役割を追わざるを得ない現状の中にあって、特に乳幼児・高齢者・障害者などの支援と女性の支援は裏表の関係ともいえます。

6)災害ボランティア・NPOにおける支援の視点について(寄り添い・エンパワメント)
被災者への寄り添いとエンパワメントが論点となっており、浅野からは、被災女性たちがプライバシーや安全も保たれない状況の中で、家族の世話に追われてパワーレスな状態となってしまう状況いついて説明し、寄り添い支援や女性が安心して話をしたり意見が出せる状況を作っていくことの重要性、そして、脆弱な立場におかれがちな人たちこそ、主体性を取り戻し、リーダーシップも発揮できるように支援していくことの重要性についてお話しました。

7)災害ボランティア・NPOにおける平時の取り組みを考える
国連防災世界会議の「仙台防災枠組」の概要および災害リスク削減の考え方の説明とともに、平時から地域・社会を安全・安心で持続可能なものにしていくことが、災害の被害を防ぐことにつながるという考え方が国際的には主流であることをお伝えし、平常時の地域福祉の推進や貧困問題や暴力問題・男女不平等の改善と、災害時の被災者支援・対応体制については、表裏のものとして考えていきましょうと提案しました。

両日とも、人道支援の最低基準「スフィア・プロジェクト」の抜粋も紹介しながら、ジェンダーの視点が、単に女性の支援にとどまらず、被災者支援のあらゆる側面に関係していることをお伝えし、男女共同参画センターや女性団体との平常時からの連携を提案しました。

(文責:浅野幸子)

 

<講座の内容> 〜は登壇者。登壇者のうち女性は、浅野と神元氏

【6月8日(水)】
1)災害ボランティアセンターの設置目的について考える
  〜ADRA Japan:渡邉氏  文京区社協:平石氏
   ピースボート災害ボランティアセンター(PBVC):上島氏

2)ボランティアの安全衛生について
  〜震災がつなぐ全国ネットワーク(震つな):松山氏  GDRR:浅野

3)被災者のニーズ把握について
  〜震つな:松山氏 GDRR:浅野 大島社会福祉協議会:鈴木氏

4)災害ボランティア・NPOの連携(民間×民間)について
  〜大島社協:鈴木氏 ピースボート災害ボランティアセンター:上島氏

【6月10日(金)】
5)災害ボランティア・NPOと行政との連携(官民連携)について
  〜大島社協:鈴木氏 (PBVC):上島氏
   いたばし総合ボランティアセンター:神元氏

6)災害ボランティア・NPOにおける支援の視点について
  (寄り添い・エンパワメント)
  〜大島社協:鈴木氏 いたばしボラセン:神元氏 GDRR:浅野

7)災害ボランティア・NPOにおける平時の取り組みを考える
  〜大和市社協ボラセン:浅見氏 GDRR:浅野
   東京災害ボランティアネットワーク:福田氏

 
※補足
災害ボランティアセンターについて少し浅野なりに補足します。現在、災害ボランティアセンターは、各市町村や都道府県の社会福祉協議会が、自治体との協定に従って設置・運営を担うというケースが大半です。

しかし、社会福祉協議会(以下、社協と略記)は日頃から地域福祉に関わる業務を担う組織であり(小地域福祉活動の振興、権利擁護、ボランティアセンターの運営のほか、高齢者・障害者等の直接支援事業を行っているケースもある)、災害支援の専門性を積んでいる人が配置されているわけではありません。

ところが災害ボランティアセンターを設置すると、一般ボランティアの受け入れとともに、ドロ出しやがれき撤去(それに伴う資機材の調達・貸出なども含む)、物資整理、避難所運営支援など、さまざまな被災者支援ニーズへの対応に追われて、災害ボランティアセンターが期待される幅広い役割や、設置主体となる社協が持つ資源や専門性を有効に生かすこともできなくなってしまう傾向もみられます。

またそもそも、災害ボランティアセンターは、同じ自治体内に複数あっても問題はないはずですし(事実、被災エリアが広い場合はサテライトが設置されるケースも多い)、必要に応じて、社会福祉協議会以外の民間団体も災害ボランティアセンターを設置するケースもあってよいはずです。大切なのは、関係者が被災者目線に立ってニーズの把握やアセスメントができるかどうか、そしてさまざまな主体と柔軟に連携・情報共有してコーディネートできているかどうかではないしょうか。

「より良い暮らし」をつかむまでの長い道のり ― 大地震から1年を迎えるネパールの女性たちの今

ネパールは大地震発生から間もなく1年を迎えますが、新憲法公布や燃料危機などの影響を受け、順調に復興が進んでいるとは言えません。しかし、地震をきっかけに、新たな活動を始めた女性たちも少なくありません。
 

12月と2月の現地訪調査から、ダンス・ムーブメント・セラピーなど精神面での支えとなる活動、復興住宅への改良かまど導入の展望、また作成中の「ジェンダー・多様性配慮、紛争再発予防の視点を取り入れた災害支援の好事例集」の進捗状況について報告します。
 

【日時】 2016年4月15日(金)午後6時30分~8時30分

【場所】 日本女子会館  5階 大会議室MAP
港区芝公園2-6-8 / 都営三田線「芝公園駅」、都営大江戸線「大門駅」、JR「浜松町駅」から徒歩3-8分

【報告者】
◆田中雅子(ネパール地震ジェンダー配慮支援の会 代表/上智大学教員)

◆鶴井視記子(同 調査研究担当/株式会社サステイナブル 国際協力コンサルタント)

【参加費】 500円(資料代等)

【定員】 40名(先着順)

【主催】ネパール地震ジェンダー配慮支援の会

【共催】株式会社サステイナブル

【申込】参加登録:参加ご希望の方は、info@sustainable-inc.jp

に、「お名前」、「ご所属」、「メールアドレス」をご連絡ください。メールの件名は「ネパール大地震報告会」でお願いします。

「フォトボイス展—女性たちの写真と声が伝える東日本大震災  &撮影者の話しを聴く会〜大震災から5年〜私たちの今とこれから〜」

NPO法人フォトボイス・プロジェクトより、エセナおおた(大田区立男女平等推進センター)との共催によるフォトボイス展のお知らせです。

被災者自らがカメラを手に、風景を切り取りながら、被災経験や避難生活の思いを言葉にしています。

撮影者のお話の会も2日間開催されます。
東日本大震災から5年。被災女性たちの声に、思いにあらためて触れてみませんか?

《フォトボイス展—女性たちの写真と声が伝える東日本大震災》

◆会期:3月14日(月)〜3月31日(木)
◆時間:9:00〜21:00 最終日は14時まで
◆会場:エセナおおた 1階展示コーナー

 

《撮影者の話しを聴く会〜大震災から5年〜私たちの今とこれから〜》

1 3月21日(月・祝日)13:00〜15:00
被災地から3人の女性(宮城県石巻市・女川町、福島県川内村)
2 3月22日(火)19:00〜20:30
首都圏に広域避難している女性お二人

◆会場:エセナおおた 会議室 B
◆対象:原則大田区在住・在勤・在学の方
(区外の方もOK)
◆定員:各界30名
◆申込先:FAX 03−5764−0604
Eメール escena@escenaota.jp

◆申込方法:次の6項目ないし7項目を記載してください。
(1)フォトボイス報告会 (2)〒住所 (3)名前(ふりがな)
(4)年齢 (5)電話番号 (6)FAX番号 、メールアドレス
(7)保育希望の方は子どもの名前、年齢(月齢)と保育カード送付の
ためのFAX番号かメールアドレスを明記

(個人情報は適切に管理し、講座目的以外に使用しません)

<詳細> チラシはこちらから→チラシのダウンロード

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子育て世代の女性が多く来てくださいました!市民向け講座「男女平等の視点から〜避難所生活について考える」(名古屋市)

9月27日、名古屋市男女平等参画推進センター イーブルなごやの主催事業として、市民向け講座「男女平等の視点から~避難所生活について考える」を開催されました。名古屋市内で女性の目線での防災活動を進めているグループ「エンジェルランプ」の企画・運営によるもので、当センターの浅野がメインの講師をつとめさせていただきました。

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午前の講演、昼食は防災食の試食、そして午後のワークショップと丸1日のスケジュールでしたが、託児付きで、防災食の試食もあるということで、多くの子育て中のママさんの参加がありました。地域の防災活動を担っている男性の参加者も何割かおり、性別・世代を超えた交流となるよう、グループで着席していただきました。

午前中は、まず家族防災の基礎知識と、避難生活を中心になぜ地域での助け合い活動が必要か、性別の視点でどのような問題が起こり、なぜ女性の参画が大切かについてお話しました。

昼食前には、エンジェルランプ代表の椿佳代さんから災害時の食について説明があり、その後、アルファ米、パスタなどバラエティに富んだいわゆる防災用食品とともに、ビニル袋に入れた薄切りの人参・ジャガイモ等の材料を、熱く沸かしたお湯に入れてそのまま置いておく「保温調理」で作った肉じゃがなども用意されました。各テーブルともに、午前の講義の内容もあってか、防災食を囲んで話に花が咲いていました。

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エンジェルランプ代表 椿佳代さんによる
「災害時のアイディアレシピ」の説明

午後のグループワークでも、みなさんお互いに積極的に発言しあっておられました。来るべき大災害に備えて、性別・多様な立場を認め合いながら助け合うことの重要性を実感していただけたようです。

若い方たち、とくに小さなお子さんのいる世代は、災害に対して学びたいという気持ちを持っていても、子どもにもまだまだ手がかかる中で、どこでどのように学べばよいのかわからない、講座などに申し込むのもちょっと勇気がいるといった方が多いと思います。

ですから、今回のように託児支援付きで、食を間に挟みながら、家庭防災、そして地域での助け合い活動について段階的に学べる内容は、参加しやすかったと思います。

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「災害時の連携を考える全国フォーラム」と「団体力パワーアップ講座」

東日本大震災の経験から理解された災害対応の課題の一つは、被災者支援活動をより円滑にサポートし、支援の漏れや偏りを起こさないためには、全国域の災害対応ネットワークが必要だということです。行政と民間団体、民間団体同士の連携をつくり出し、情報の共有と支援の調整をするための仕組づくりが必要とされています。

平常時から、被災者支援を行う関係者が、市民セクター間(NPO・NGO、災害ボランティアセンター等)で、また産官民(経済界/国、県の対策本部など)等のセクターや地域の災害対応ネットワークを越えて連携を強化促進し、お互いを理解しておくことが必要とされています。また、大災害時には、支援活動の全体像を把握し、支援を調整する機能が求められます。災害前から、これらの連携体制の議論が進んでいれば、より有益かつ迅速な支援活動が展開できます。

そのために、「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」が準備されており、立ち上げのための「災害時の連携を考える全国フォーラム」が、2016年2月12日(金)、13日(土)に東京都内で行われました。
(フォーラムのウェブサイトはこちら http://www.jvoad.jp/forum2016/ )

当センターは、その第6分科会「多様性に配慮した被災者支援:課題と展望」のパネルディスカッションに参加し、「女性に配慮した被災者支援の課題と展望」について報告しました。この分科会では、障害者、女性、外国人、高齢者などに配慮した被災者支援の課題と展望を各パネリストが報告し、「災害時において多様な人々が支援からこぼれない体制(取組・仕組み含む)」について議論しました。

東日本大震災では、とりわけ緊急期においては、女性対象の支援や男女共同参画の視点を持った支援を行うことすら難しかったという課題があります。その理由は、まだ男女共同参画や多様性の視点による災害支援の必要性や具体的な取り組みが周知されていなかったこともありますが、まさに、災害支援を行う行政や民間セクターと、男女共同参画の視点を持った支援者との連携がまったく築かれていなかったことも原因でした。状況は改善してきてはいるものの、現時点でも、「ボランティアセクターと男女共同参画セクターの連携が深まらない」、「防災の研修を受けた女性たちが自主防災組織・ボランティアセンターと繋がれない」、「行政の男女共同参画担当部署と危機管理部署、他部署の連携促進が遅い」という課題が見られています。また、セクシュアル・マイノリティの位置づけや、重なり合う脆弱性の扱い(例えば、ジェンダーと障害)も、まだまだ議論されていません。
 
ところで、このJVOADの設立準備とは別に、全国女性会館協議会が中心となって、「大規模災害時における男女共同参画センターの相互支援システム」も構築されつつあります。これは、全国の男女共同参画センター(女性センター)を結ぶ災害復興支援のためのネットワークです。災害時に男女共同参画の視点を持った支援、女性支援をスムースに行うための試みで、男女共同参画という一つのセクター内での広域連携を目指すものだといえます。

この動きに呼応する形で、個々の男女共同参画センターを拠点に一つの市内で活動している男女共同参加系の団体が、災害時の地域の被災者女性支援を想定して連携する試みも見られるようになって来ました。静岡市女性会館(指定管理者:NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか)では、2007年以来、災害・減災関係の講座を開催してきました。2016年1月31日には、「団体力パワーアップ講座 日頃の活動を現在に活かす」と題して、災害・復興時に団体の持つ力を活かして協力し、お互いの力を補い合える関係をつくるための講座を行いました。当センターのメンバーがファシリテーターを務め、女性会館の利用者団体がお互いをよく理解し、また団体の組織力を分析し、災害時の強みを発見するワークショップが実施しされました。

「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」と、「大規模災害時における男女共同参画センターの相互支援システム」は、その目的に共通する部分が多くあります。「災害時の連携を考える全国フォーラム」で「多様性に配慮した被災者支援」が重要な課題として取り上げられたことは、大きな前進です。これから築かれていく全国域の災害対応ネットワークでは、多様性への配慮は、専門技能を持った支援団体が行うだけではなく、すべての支援者に初期設定として組み込まれた発想でなければなりません。そのためにも、男女共同参画セクターとの連携は、ますます不可欠です。

災害ボランティア団体の間で、そして男女共同参画団体の間で、現在は別々の場所で行われている「災害時の連携」への試みが、相互に有効な形でさらに連携することが必要だと、強く感じました。

『男女共同参画・多様性配慮の視点で学ぶ防災ワークブック』等の富山県女性財団での活用について

富山県女性財団から、当センターが作成したワークブックを活用した、県内での普及・啓発活動の様子について寄稿いただきましたのでご紹介します。

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富山県女性財団は、男女共同参画に関する学習をしているグループ等を対象に、出前講座を開催しています。今年度は、減災と男女共同参画研修推進センター(GDRR)が作成した『男女共同参画・多様性配慮の視点で学ぶ防災ワークブック』及び啓発スライドを活用して、出前講座メニューに「災害・防災について男女共同参画の視点から考える」を新設しました。

これまでに実施した出前講座の受講者からは、「日ごろから男女共同参画が必要だということを改めて認識できた」「こういう話を各公民館でも広めていき、みんなで考えていく必要があると思う」「災害・防災については、平常時の備えが大切と分かったつもりでいたが、具体的な状況を考えてみることが少なかったと気付いた」等の感想が届いています。

出前講座については、「サンフォルテだより Vol.97」p7をご覧ください。
→ http://www.sunforte.or.jp/attach/DL/41/attach/DL_41_20151030024624-3.jpg

「防災の主流化」研修(JICA主催)より

今年3月に行われた仙台防災会議で採択された「仙台防災枠組」(2015-2030)の基本的な考え方は、社会に潜む脆弱性の解消も視野に入れた「災害リスク削減」です。つまり貧困対策、ケア、就労や雇用、医療制度、社会保障制度、地域政策など、社会の脆弱性と関わる分野と災害リスクを重ねあわせて対策を取ることが大切だということです。

日本政府が行う防災分野での国際協力も、その方向性を目指していますが、発展途上国から災害関連の政策を担う公務員を招いて行われている研修(「防災の主流化」研修)の一環として、先日都内で、各国の政策・制度整備状況の報告会が開催されたため参加してきました。ちなみに当センターは、この研修の一コマで「災害リスク削減のジェンダー主流化」の講義・演習を担当しています。

研修生は、12カ国から15人で、危機管理担当だけではなく、保健医療や社会福祉担当の省庁や、警察、市民防衛(Civil Defense)部署の人も複数いました。残念だったのは、研修生が全員男性だったことです。

まず研修の冒頭で、講師から仙台防災枠組に触れながら災害リスク削減の説明がありました。
1)防災や発災後の救援体制の充実だけではなく「災害リスク削減」を政策として明示すること、2)社会経済環境面のすべての政策分野と災害リスク削減を関連付けるためには、他の省庁と連携することが重要なこと、3)そのためには災害が起こった後ではなく事前に投資を行う必要があることなどが強調されました。

報告の中から印象に残ったものを幾つか紹介します。南米のチリでは、保健分野の国家戦略の中に災害対応が位置づけられ、保健省内の各部署が災害時に連携できる仕組みが紹介されました。ジェンダーの話はありませんでしたが、先住民(インディオ)団体との連携について指摘がありました。また、チリでは、自治体と大学とコミュニティが協働し、日中だけではなく真夜中にも津波避難訓練をしているそうです。フィジーの防災対策は、農村海洋開発・防災省が担っているようですが、報告者によると、単一の省庁が担っていても開発政策と防災を結びつけるのは、これからの課題とのことでした。一方、バングラデシュでは、15の省庁で担当分野の政策に災害リスク削減を統合するためのアクションプランが作成済みだそうです。

多様なバックグラウンドを持つ参加者の報告は内容が多岐にわたり、これから新しい政策や制度を作り上げていくのだという熱意が感じられるものばかりでした。災害リスク削減の発想は、ぜひ日本国内でも主流になってほしいものです。

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  JICA研修の様子

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